540013213 アルテミス・疑彩 彩果てに乱れる桔梗
【アルテミス】 …くっ!
自分の行いは正しかったのか? 戦場に遅れてきた姫は、 間違っていたのだろうか?
心に葛藤を抱えたまま戦うアルテミス
【アルテミス】 …!
そんな彼女の目に、 老婆の家の様子が 飛び込んできた
姫が老婆を置いて、 こちらに参戦しようとしている
【アルテミス】 お婆さんは、まだ熱がある…
【アルテミス】 そんなお婆さんを置いて、 戦闘に参加し、勝利し、 理想の世界に近づける…
【アルテミス】 本当に…それでいいの…?
【アルテミス】 正しき行動とは…!?
あれこれ思い悩む彼女に、 マスターの檄が飛んだ
なにが正しいかなんて 誰も分からない!
君がやってきたことが、 正しいか間違いなのかも!
答えは…… 自分で作っていくものだ!と
【アルテミス】 !!
【アルテミス】 ……私は
【アルテミス】 今まで自分を痛めつけるために 鍛えてきた… でも、それは…ただの逃げだ
【アルテミス】 自分の行動を正当化する為の、 辛いことから目をそむける為の 誤魔化しだ
【アルテミス】 私は……
【アルテミス】 もう逃げない
【アルテミス】 逃げちゃいけない
【アルテミス】 理想の世界の為、 散って行った人々のために…!
【アルテミス】 そして、こんな時のために…… 私は力を使う!!
戦闘に参加しようとしていた姫に、 アルテミスが叫ぶ
【アルテミス】 戻りなさい! 今は…あのお婆さんを守って!!
【アルテミス】 ここは私が引き受けるから!
【アルテミス】 老婆のような弱き者も… 心優しき姫も… 私がすべて守る!!
そう決意し、 弓を握る手に力を込め、 彼女は再び戦うのだった
それから数日後―――
【アルテミス】 ふぅ…ふぅ…
アルテミスは、 また一人で 特訓に励んでいた
やっぱり真面目だね 彼女に声を掛けるマスター
【アルテミス】 …ふふ
【アルテミス】 全てを守ろうと決意した今、 これくらい当然です
弓を置き、彼女が語る
【アルテミス】 今まで、理想の世界を創るためには、 自分の手を汚してでも 不要な人々を消し去る…
【アルテミス】 そう決意していました
【アルテミス】 でもマスターに触れ… 少し考えが変わりました
【アルテミス】 あのお婆さんを助けて、 全て守ろうと思ったことで…
【アルテミス】 自分がこれまで不要な人々を 切り捨ててきた行為は間違っていたと …強く思うようになりました
【アルテミス】 でも…救いも出来ました
【アルテミス】 今までは、自分の行いと 罪悪感の間で葛藤していました
【アルテミス】 でも、ただ耐えて 悪になるのではなく、
【アルテミス】 『救いたい』と思う 自分の気持ちを大事にしよう… そう思えるようになったんです
【アルテミス】 そしたら… 少し心が軽くなりました
微笑むアルテミス
【アルテミス】 でも…
【アルテミス】 キル姫の使命である、 マスターを守ることよりも
【アルテミス】 老婆を助けることを優先することが 本当に正しい選択だったのか… 今でも答えは出ていません
【アルテミス】 その答えは… これから探していきます
【アルテミス】 あなたと共に
森の中に温かで優しい風が吹いた
【アルテミス】 以前は…
【アルテミス】 無闇に近づかないで… そう言いましたが、 今は逆です
【アルテミス】 あなたは本当に不思議な存在 私には計り知れないほどに…
【アルテミス】 もっと、 知りたいと思ったのは 初めてです
【アルテミス】 もう少し、近くで あなたのことを 見させてくれますか?
こちらを覗き込む彼女の表情は、 とても穏やかで美しかった
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