540172211 スイハ・擬装・セイバー 手探りの特訓
それは彼女が、 マスターの隊に入隊した頃…
【スイハ】 スイハです… よろしくお願いします
あまりにも端的な自己紹介に 他に何か言うことはないかな? と促すマスター
【スイハ】 他…ですか? …そうですね
【スイハ】 私のキラーズが担うのは
【スイハ】 勇気
【スイハ】 勇気とは、決して折れぬ不屈の刃
【スイハ】 刻まれし歴史に、 我らが革命の御旗(みはた)を 掲げるため、
【スイハ】 私は勇気をもって、戦い抜きます 七つの光は御旗(みはた)とともに
そう凛々しく マスターに宣言した彼女
【スイハ】 では…失礼します
一礼し、颯爽と去ってゆく
その背中を、 憧れの眼差しで見送る姫たち
気高さと戦闘への意識の高さ、 どんなときでも慌てることなく 冷静で的確な対応
早くもスイハは、 姫たちに一目置かれる存在となった
しかし……
【スイハ】 私に用ですか…? なんでしょう?
【スイハ】 用がなければ、 こちらで失礼します
その寡黙で素っ気ない態度、 事務的な返事なども相まって、 いつの間にかスイハは…
『近づきがたいクールビューティー』
という扱いになっていった
【スイハ】 ………
しかし、実際の彼女は…
【スイハ】 あぁ~、本当はもっと みんなと喋りたいのに~~~っ!!
【スイハ】 …はぁ、でも言えない
仲間ともっともっと 関わりを持ちたいと思う コミュ障少女だった
そんな、ある日――
【スイハ】 はああああ!
早朝から剣の特訓に励むスイハ
そして、 その稽古相手として…
【ラグナロク】 いいわ その調子よ
ラグナロクがスイハの 稽古をつけるのだった
【スイハ】 はぁ!はぁ!
日も登り、 特訓を終えたスイハは ラグナロクに尋ねる
【スイハ】 はぁ…はぁ… どうですか、ラグナロク? 少しはあなたに近づけていますか?
【ラグナロク】 ……そうね ただ……
彼女が何かを言い掛けた時、
二人とも、起きるの早いんだね と、マスターが姿を現した
【スイハ】 あ、おはようございます 今日は、お早いのですね
【スイハ】 寝癖がついてる…か、かわいい… 教えてあげた方がいいのかな…… でも、もう少し見ていたいかも…
心ではそう思いながらも、 口には出して言えない彼女
ラグナロクと一緒になにしてたの? マスターにそう聞かれ、答える
【スイハ】 け、剣の特訓を
そっか、頑張ってるね と、マスター
【スイハ】 “擬装”《イミテイト》により 扱う武器が変わったので…
そう呟く彼女に、マスターは言う 普通なら慣れない武器を扱うには、 すごく時間がかかるのに
君はもう上手く使いこなし始めてるよ すごく頑張り屋さんなんだね、と
【スイハ】 …! (そ、そんなこと…!)
【スイハ】 あ、あの… (私、本当は……)
マスターになにか 相談したいことがあるようだが、 口下手な彼女
上手く切り出せない
スイハがなにも言えないまま、 あまり無理しちゃだめだよ と、マスターは行ってしまった
【スイハ】 は、はい… (いつも気にかけて下さって、 ありがとうございます…)
心で呟くも、 その礼すら言えない 彼女だった
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