540173212 スイハ・擬装・セイバー 宴を彩る水の飛剣
【スイハ】 う、うぅ、うぅぅ…
店頭に並んでいたケーキを 欲しそうに唸るスイハ
や、やっぱり買ってあげようか…? とマスターは声をかける
【スイハ】 …はっ いえ、私は大丈夫です 私には…
スイハはその資格が ないって思うの? と尋ねるマスター
【スイハ】 …はい みんな、立派な方ばかりですので それに比べて私は…
スイハも立派だよ とマスター
【スイハ】 マスターはいつも私を褒めて くれるけど…
【スイハ】 でも… 今回の戦闘でこの街が守られたのは みんなの力があったからです
【スイハ】 この剣を握ったときから 私がみんなを守ろうと、 そう思っていたのですが…
【スイハ】 …うまく、いきませんでした
そう言って、スイハは すっかり落ち込んでしまう
マスターは優しく微笑んで スイハの手を取る
【スイハ】 えっ、ちょ、マスター!?
今日はスイハが守った街を 堪能しよう! と提案するマスター
【スイハ】 ですが…
普段がんばってるんだから 今日くらいは羽を伸ばそうよ とマスターは伝える
【スイハ】 …わ、わかりました マスターがそこまで言うなら…
スイハは戸惑いながらも マスターの手を握り返して 一緒に歩を進めるのだった…
【スイハ】 ど、どこに行くんですか? マスター すっかり郊外に来てしまいましたが…
キミに見せたい景色があるんだ とマスターがスイハの手を握り 小高い丘を上っていくと…
【スイハ】 ここは…喫茶店ですか?
以前、街の人達から この場所がいいって話を 聞いたことがあるんだ、とマスター
【スイハ】 はぁ…なんていい香り なんだか、懐かしい感じがします
空いてるみたいだし 外のベンチに座ろうか とマスターは勧める
【スイハ】 あ…は、はい
【スイハ】 マスターとふたりで喫茶店…っ! 嬉しいけど、いいのかなぁ…
スイハは何を頼む? 自家製ケーキがオススメらしいよ とメニューを手渡すマスター
【スイハ】 えっ、け、ケーキですか!? …いえ、しかし、えっと コーヒーだけで、いいです…
ケーキは頼まなくていいの? とマスター
【スイハ】 …はい
【スイハ】 私には、マスターに甘える 資格なんてないんです…
…そう?と疑問を覚えながらも コーヒーをふたつ頼み ベンチに座るマスター
【スイハ】 あ、このベンチ… とてもいい眺めです! 街を一望できますね
街を一望するには、ここが 一番いいお店だと聞いてたんだ とマスターは答える
【スイハ】 そうだったんですね とても綺麗です…
この街を守ったのは、 スイハの力なんだよ とマスター
【スイハ】 …私ひとりの力では ありませんでした みんなが私を守ってくれたから…
みんなで支え合って この景色が守れたんだよ とマスターは微笑む
【スイハ】 え? ど、どういうことですか?
スイハがみんなから守って もらったと感じたとき…
それでもスイハは戦い続けてくれた それは何のため? とマスターは尋ねる
【スイハ】 私はただ みんなの力になろうと必死で…
そうやってスイハがみんなを思って 戦って、支え合って守れたのが この街なんだよ、とマスター
【スイハ】 …っ!
たしかにひとりの力じゃない でも、スイハがいなかったら 守れなかった、とマスター
だから、スイハが守ったって 言ってもいいんじゃないかな とマスターは微笑む
【スイハ】 私が、この街を守った…?
その通りですよ あなた達のおかげで街の景色 が守られたんです
声とともに、喫茶店のドアが開き ケーキを持った店員が顔を出す
【スイハ】 えっ…!?
これはあなた方への私達からのお礼と ささやかですが祝いの品です と喫茶店の店主は伝える
【スイハ】 私の剣は、守られてばかりでは なかったんですね…! そうでしたか…ふふっ
そういうことなら ありがたくいただこうか とマスターはスイハに勧める
【スイハ】 …は、はいっ 今度こそ、いただきます!
ケーキを受け取るスイハ
街の人達からの感謝に溢れた ケーキを味わったスイハは 迷いの晴れた表情で立ち上がる
そして剣をすらりと抜き放ち 改めて誓いを立てるかのように そっと力を込めた
【スイハ】 気持ちを強く持てず すみませんでした、マスター
【スイハ】 私の剣は守るという使命を しっかり果たせていたんですね
【スイハ】 私は私自身の成果を 卑屈になることなく 受け止めたいと思います…!
自分の剣に誇りを持てたとき 『宴を彩る水の飛剣』 がスイハに宿っていた
【スイハ】 これからも、守ってみせます みんなの場所を守るために、 この剣を持つ決意をしたんですから!
そう言ってスイハは マスターに向かって 嬉しそうに微笑むのだった…
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