540192212 フェイルノート・誓約・ルシファー 誓約されし穿界の星弓
お茶をし終わった後、 街をブラブラ歩く フェイルノートとマスター
マスターが ピタリと立ち止まる
【フェイルノート】 どうしたの、お前様?
マスターが、 とある遊技場を見つけた
【フェイルノート】 へぇ、かわいいぬいぐるみね
【フェイルノート】 この輪っかを投げればいいのかしら?
置かれたぬいぐるみに 輪っかを入れられたら 景品として貰えるそうだ
【フェイルノート】 おもしろそうじゃない
【フェイルノート】 さあ、ゲームを始めましょう
【フェイルノート】 絶対に負けないわよ!
元々、勝負事が大好きな彼女
マスターと競い合いながら、 輪投げを楽しんでいる
【フェイルノート】 お前様…… フェイルノートとは元々、 『必中の弓』を意味する武器
【フェイルノート】 その私に勝負を挑んだのが、 運の尽きだったわね
【フェイルノート】 はぁっ!
次々に狙ったぬいぐるみに 輪を投げ入れていく
【フェイルノート】 ふふふ、どうかしら?
見物人達は 彼女を『輪投げの王』と呼び、 称賛の声を上げている
【フェイルノート】 てことで、この勝負…… 私の圧勝ね
大盛り上がりのうち、 二人は遊技場を後にした
その帰り道、 ぬいぐるみを彼女に プレゼントするマスター
【フェイルノート】 …! これは……
勝負としては フェイルノートの完勝だったが、
マスターは彼女が気に入った ぬいぐるみをゲットしていたのだ
【フェイルノート】 ……ありがとう
マスターの好意が、 素直に嬉しいフェイルノート
そんな彼女に、 マスターは告げる
君は世界を統べる王として、 平和に導くと言ってくれたけど
僕は、ありのままの君と 対等な関係でいたいと思っているよ
【フェイルノート】 …!
【フェイルノート】 ………お前様
【フェイルノート】 嬉しいわ そんな風に言ってもらえるなんて
【フェイルノート】 本当はずっと……
【フェイルノート】 こうして隣に並んで 歩きたいと思っていた
【フェイルノート】 そういう関係になりたいと…… 思ってた
【フェイルノート】 普通のキル姫として いや、普通の女の子として そんな関係を…
【フェイルノート】 お前様がそう言ってくれるのなら… これからは――
その時!!
【フェイルノート】 危ないっ!!
【魔獣】 ガアアアアアアア!!
【フェイルノート】 ……くっ!
フェイルノート……!! マスターの叫びがこだまする
【フェイルノート】 ……ふっ
だが彼女は、 倒れることなく マスターに告げる
【フェイルノート】 ダメみたいね 私がそうしたくても……
【フェイルノート】 天はそれを許してくれないみたい
普通の人間であれば即死 キル姫でさえも重傷を 負うであろう攻撃
そんな攻撃を受けても 傷一つ付いていない フェイルノート
【フェイルノート】 やっぱり私は、 普通の女の子になんてなれない
【フェイルノート】 ルシファーという…… 魔王の力を得てしまった存在だから
【フェイルノート】 でも、お前様の言葉は…… すごく嬉しかったわ
【フェイルノート】 本当に対等になれたら…… そう思えただけで幸せだった
【フェイルノート】 その気持ちだけ…… ありがたく貰っておく
【フェイルノート】 おかげで心は固まったわ
【フェイルノート】 たとえ、望むような幸福が 訪れないとしても…… 私は一人じゃない
【フェイルノート】 私は絶対に!! お前様を守り抜く!!
【フェイルノート】 それが私の…… 使命だから!!
【魔獣】 グギャーー!?
【フェイルノート】 目障りよ? 今すぐ消えなさい
【フェイルノート】 新技『誓約されし穿界の星弓』!!
新たな力に目覚めた彼女の攻撃が、 恐るべき速度で飛んで行く
【フェイルノート】 逃れられると思って?
【魔獣】 グギャーーーーッ!!
それは瞬く間に、 魔獣を葬り去ったのだった
【フェイルノート】 このゲーム、私の圧勝ね
横に並んで街を歩く2人
フェイルノートはボロボロになった ぬいぐるみを腕に抱えながら、 マスターに語り掛ける
【フェイルノート】 強者として、 私はどのような業も背負うわ
【フェイルノート】 強大な力を得るために、 なんの代償もないはずがない
【フェイルノート】 この力を得た時から、 覚悟はできているのよ
【フェイルノート】 でも、本当に お前様の気持ちは嬉しかった
【フェイルノート】 それだけで… また明日から頑張れるわ
爽やかな笑顔を見せる彼女
吹っ切れた彼女の瞳には、 これまでにない力強さが みなぎっていた
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