540202213 ヒョウハ・神令・テュール 虚に灯す激情の贈呈
【ヒョウハ】
…くっ
思うように矢を撃てず ヒョウハは苦戦を強いられていた
【ヒョウハ】
くそー！
なんでこんな…っ！
ヒョウハ、落ち着いて しっかり狙っていこう とマスターは檄を飛ばす
【ヒョウハ】
ああ…っ！
ありがとう、師匠！
【ヒョウハ】
しっかり、狙って…っ！
当てる！
弓矢を撃ち放ち 見事に一頭の魔獣を仕留めた ヒョウハだったが…
【ヒョウハ】
…まただ
なんで、こんな気持ちになるんだ？
【ヒョウハ】
気を張り詰めなきゃいけないのに
師匠の指示を受ける度に
気が緩む…ッ！
【ヒョウハ】
ああ、こんなの、あたしらしくない！
戸惑ってしまったヒョウハは 接近してきた魔獣へ攻撃を外し 反撃を食らってしまう…！
【ヒョウハ】
ったぁ…！
しまったぁ…
大きく体勢を崩したヒョウハを 抱きかかえるような形で マスターが支えた
マスターは 戸惑わなくていいんだ、と ヒョウハへ声をかける
【ヒョウハ】
え？
でも、こんな中途半端な状態で
うまくいくはずが…
君がそう感じたなら それでいいんだ、と マスターは励ます
【ヒョウハ】
…本当に、それでいいのか？
だって、敵が目の前にいるから
集中しなきゃいけないのに…
【ヒョウハ】
あたし、師匠がいてくれるから
だからきっと大丈夫だって
…気が緩んでるんだ
それは悪いことじゃないよ 信じてくれてるってことだから とマスターは力強く頷いた
【ヒョウハ】
信じる…？
あたしが、師匠を…
【ヒョウハ】
…ああ、そっか
そうだったのか！
超爆・わかったぁー！
【ヒョウハ】
師匠がいてくれるから
あたしは百人力だったんだ！
【ヒョウハ】
いつも支えてくれるから
信じてくれるから、あたしは
安心しきってたんだ！
マスターに支えられながら つき物が取れたように すっきりとした顔をするヒョウハ
ヒョウハ、頼むよ！ とマスターは呼びかける
ふたりの目の前には 追撃を仕掛ける魔獣が迫る
【ヒョウハ】
おう！
そのまま支えといてくれ
師匠！
【ヒョウハ】
それが、あたしの力になる！
はぁぁっ！
『虚に灯す激情の贈呈』ーッ！
迷いなく弓を引き絞ったヒョウハは 今まで以上の力を発揮し 魔獣を見事に撃ち抜いた
【ヒョウハ】
あぁー！
超爆・スッキリしたーっ！
魔獣を仕留めると同時に 悩みも解決できたヒョウハは 気分よさそうに声を上げる
【ヒョウハ】
やっとわかったよ、師匠
温かいって気持ちが！
【ヒョウハ】
熱いでも寒いでもないってことは
ちょうどよくて、心地よいって
ことなんだな！
ヒョウハなりに 納得できたようでよかった とマスターは胸を撫で下ろす
【ヒョウハ】
中途半端なものは嫌いだけど
この気持ちはちょうどいいな！
【ヒョウハ】
いやぁ、よかったよかった
めでたしめでたし…
【ヒョウハ】
…あれ？
そういえばなんであたしは
こんな悩んでたんだっけ？
【ヒョウハ】
って、ああー！思い出した！
ヒョウハは慌ててポケットを探り 綺麗に包装されたチョコを 取り出した
【ヒョウハ】
へへ、師匠のために
特別に作ったんだぞ！
【ヒョウハ】
…受け取ってくれよな、師匠
少しだけ頬を染めながら ヒョウハは綺麗に包装された チョコレートを手渡すのだった…
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