550171211 グリモワール・獣刻・ニーズヘッグ 理不尽への怒り
戦場に、姫の叫びがこだまする
【グリモワール】
ワタシは怒り、…
死者の怒りの具現よっ！
【グリモワール】
憤怒を纏う邪竜、
ニーズヘッグの力、
御せると思わないことね！
【グリモワール】
死者の怒りを妨げる者は…
【グリモワール】
味方であっても
焼き払うつもりだから！！
敵陣に駆け込み、 圧倒的な力でなぎ倒していく少女
その名はグリモワール
『怒りに臥す者・ニーズヘッグ』を 獣刻された姫である
【グリモワール】
くらいなさいっ！
怒りに任せ、 次々に敵を蹂躙していく
【グリモワール】
はぁぁぁぁぁっ！！
だが…
【グリモワール】
くっ…！ え、えいっ！！
【グリモワール】
鎮まれ…グリフォン！
その力は凄まじいが、 『大罪の獣』グリフォンを 自在に操れている様子はなく、
【グリモワール】
うぐっ…！
むしろ暴走する獣に 振り回されている印象だ
【グリモワール】
キ、キミ達…！
手出しは無用よ…！！
力の抑制が利かず、 仲間の姫に止められることも しばしばあった
そして、なんとか 戦闘は終了したが……
【グリモワール】
…ふん、
キミたちの助けなんかなくても、
ちゃんとできたのよ
彼女が、 感謝の気持ちを見せる 素振りはない
むしろ……
【グリモワール】
ほんと余計なこと、
しないでもらいたいわっ！
お礼を言うのではなく 逆に怒りを露わにする グリモワール
そんな彼女の態度が 他の姫達の目には『傲慢』に 映るようで…
【グリモワール】
でぇ？なに？文句あるわけ？
何かあるたびに、そんな様子なので、 味方であるはずの姫と揉める事も しょっちゅうだった
掴み合いになりそうになった、 その時―――
【グリモワール】
……マスター
【グリモワール】
なに？なんかワタシに用なわけ？
揉め事を仲裁したマスターは、 彼女と二人で話をすることにした
【グリモワール】
なに？こんな所に連れてきて
マスターは尋ねる なぜ、いつもそんなに怒っているの？
【グリモワール】
なぜって…
怒るより、楽しんだり、 笑ったりする方が幸せだと 思うけどな…とマスター
【グリモワール】
………
【グリモワール】
ワタシが怒り…
憤怒するのは…
【グリモワール】
この世界が、
笑いたくても笑えない、
理不尽なものだからよ
【グリモワール】
ワタシの怒りは…
【グリモワール】
力無き弱き者が、
力のある傍若無人な輩に殺される…
【グリモワール】
そんな理不尽な世の中を
なくすためのもの
【グリモワール】
他人を顧みない、
非道な奴は滅してしまえばいい…
だってワタシには…
【グリモワール】
それが出来る力がある
【グリモワール】
だから怒りを力に変え、
奴らを駆逐するの
でも… 言い掛けたマスターの言葉を遮り、 彼女は続ける
【グリモワール】
そこに後ろめたさは一切ない
【グリモワール】
咎められるいわれもないわ
マスターを睨みつけるように、 まくしたてる彼女
その瞳を見て、マスターは思う
【グリモワール】
…なに？
僕は勘違いをしていた… この子が抱える『大罪の獣』は “怒り・憤怒”ではない…
その怒りを押し通そうとする “傲慢”なのだと…
【グリモワール】
なにか文句でもあるわけ？
そう言い放ち、 彼女はマスターの元を 去っていった
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