550251211 めぐみん ご安心ください
姫達の前を、 雪が吹き荒んでいる
マスターの隊は、 極寒の地を行軍していた
姫達が行動不能になる 時間帯が来る前に なんとかしなければ……
そう思ったマスターは 途中見つけた山小屋で、 皆と共に暖を取ることにした
吹雪は激しさを増すばかり
このままでは、 食料も底を尽きてしまうだろう
これから一体どうすれば…… マスターが悩んでいると――
【めぐみん】 ご安心ください、マスター!
【めぐみん】 ここは、紅魔族随一の 魔法の使い手にして
【めぐみん】 最強の攻撃魔法『爆裂魔法』を操る、 このめぐみんにお任せください!
【めぐみん】 皆さんのため、 私が食料を探しに行ってきます!
張り切った笑顔を見せるめぐみん
しかしマスターは、 そんな彼女を制止する いくらなんでも危険だよ、と
だが……
【めぐみん】 なにを言っているのですか、マスター このままでは下手をすると 全滅してしまいます
【めぐみん】 それに、私は紅魔族随一の 魔法の使い手にして、
【めぐみん】 最強の攻撃魔法、 爆裂魔法を操る者ですよ?
【めぐみん】 我が究極の爆裂魔法で こんな吹雪
【めぐみん】 じゅわっと消し飛ばして見せます!
【めぐみん】 我が爆裂魔法の前に、 不可能の文字はありませんから
余裕の笑顔を見せる彼女に、 反論するマスター
いくら君の魔法でも 無理なこともあるよ……!
彼女が心配で、 つい言ってしまった この言葉が良くなかった
【めぐみん】 私の魔法でも……?
【めぐみん】 どういうことですか、マスター?
【めぐみん】 もしかして…… 私の爆裂魔法を 侮辱するつもりですか…?
【めぐみん】 いくらマスターとは言え、 それは……心外です!
彼女にとって爆裂魔法は己の誇り アイデンティティそのもの 彼女が怒るのも無理はなかった
【めぐみん】 いいでしょう! そこまで言うのなら、 私の爆裂魔法を改めてお見せします!
徐々に語気が強くなる彼女に、 そんなつもりで言ったんじゃないんだ
それに今は吹雪いてるし 外に出るのは危ないよ ……と、なだめるマスター
【めぐみん】 ………しかたありません マスターがそこまで言うのなら
吹雪が治まる気配はなく、 マスター達の隊は 足止めをくらっている
隊の食料も底をつきかけ 姫達にも疲れの色が 見え始めていた
ここは覚悟を決めて 行動をしなければならないと 考えていた矢先だった
マスターはあることに 気付いた
めぐみんが……いない!?
【めぐみん】 ううう、寒い!冷たい!
【めぐみん】 ですが、吹雪が止むのを待っていたら 凍え死ぬか餓死してしまいます ここで諦めるわけにはいきません
【めぐみん】 皆は疲れの為、動けません ここは私がなんとかしてみせます
【めぐみん】 絶対に食料を探し出して、 みんなを救って見せますから
【めぐみん】 そして、あわよくば マスターをあっと言わせてみせます!
一人、雪山を進むめぐみん
ほっぺを膨らませ、 プリプリ怒っているめぐみん
【めぐみん】 それにしても…… マスターに子ども扱いされると
【めぐみん】 なぜこんなにも腹が立つのでしょう… カズマを思い出してしまう からでしょうか
どうやらめぐみんの中で、 マスターとカズマという人物は 似ているところがあるようだった
【めぐみん】 今はそんなことよりも、 食料を見つけて、 マスターのもとに戻らなくては
【めぐみん】 みんなを助けられるのは 私しかいないんですから
それを原動力に突き進むめぐみん
だが………
【めぐみん】 うぅ……
大自然の猛威は甘くはなく……
【めぐみん】 くっ………
吹雪は容赦なく、 彼女の体力を奪っていく
【めぐみん】 ここは…… 爆裂魔法で…… 少しでも雪を吹き飛ばして……
【めぐみん】 ですが、爆裂魔法を撃てるのは 一日一回限り……
【めぐみん】 今、撃ってしまったら 動けなくなる……
【めぐみん】 みんなのもとへ…… マスターのもとへ 帰れなくなってしまいます……
だが食料を見つけられることもなく、 ついに体力は限界に差し掛かり……
【めぐみん】 わ…私は…… 紅魔族随一の 魔法の使い手にして…
【めぐみん】 最強の攻撃魔法… 爆裂魔法を操る… め…めぐ…みん………
【めぐみん】 これしきの…ことで……
その場に倒れ込んでしまうめぐみん
彼女の小さな体に、 雪はどんどんと 降り積もっていくのだった……
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