550391212 ぺろりん 終幕飾る雷華の落日
数日後――
マスターは今日も、 ぺろりんが小屋を 作っている場所に赴く
――すると
【ぺろりん】 ………
!? 驚くマスター
彼女が 作り掛けの小屋の前で 倒れていたのだ
まさか…敵に襲われたのか!? 慌てて、ぺろりんに駆け寄る
大丈夫!? 懸命に声をかけるマスター
……すると
【ぺろりん】 あ、マスターくん、 どうしたの?
ぺろりんはただ、 ぼ~っと寝転がっているだけだった
一安心したマスターは彼女に尋ねる なにしてたの…?
【ぺろりん】 ……え? なにって…… 別になにも……
そしてゴロゴロする彼女
【ぺろりん】 うぅ~~~ん
そんな様子の彼女を見て、 しっかり者の普段からの落差に 苦笑気味のマスター
昨日までのやる気がウソのようだ
【ぺろりん】 ……え?やる気……?
【ぺろりん】 なぁ~んか、なくなっちゃって……
なにかあった? マスターが尋ねる
【ぺろりん】 ……
体を起こし、 草原に座った状態で 彼女が語り出した
【ぺろりん】 勢いで作り出したはいいけど…
【ぺろりん】 あんなにも反対されると 思わなかったなぁ …って思い出しちゃって
【ぺろりん】 みんなのために作ってるって、 なんとか分かってもらいたかった
【ぺろりん】 でも上手く説明できなくて、 ちょっとケンカみたいに なっちゃって…
【ぺろりん】 あの時… なんで素直に 謝れなかったかなぁ……
膝を抱きかかえるぺろりん
いつも明るかった彼女が、 初めて落ち込んだ表情を見せた
【ぺろりん】 …!
そんな彼女の肩に手を置くマスター
大丈夫、いつかみんなも 分かってくれるよ と、微笑みかける
【ぺろりん】 ……うん
【ぺろりん】 ありがとう
ぺろりんはマスターと共に、 再び小屋づくりに着手し始めた
さらに数日が経った――
【ぺろりん】 もうすぐ完成だねっ♪
すっかり元気を取り戻した彼女
マスターは彼女に尋ねる そろそろ教えてよ これはなんのための小屋なの?
【ぺろりん】 ふっふっふ それはね……
【ぺろりん】 できてからのお楽しみだよっ♪
【ぺろりん】 でも、完成したら…… きっとみんな喜んでくれると 思うんだぁ
お昼時になり、 マスターは2人の 昼食を取りに行った
ぺろりんは一人残って、 最後の仕上げに掛かっている
【ぺろりん】 ふふっ、みんな ビックリするだろうなぁ
【ぺろりん】 完成したら……
【ぺろりん】 みんなと仲直りできるかなぁ
――と、
【ぺろりん】 …!
背後に気配を感じるぺろりん
【ぺろりん】 もしかして、みんなが 様子を見に来てくれたんじゃ…?
振り返るぺろりん
しかし……
【ぺろりん】 !!
【ぺろりん】 そ、そんな……
目の前のいたのは、 敵の一団だった
【ぺろりん】 ……くっ!
銃を取り出すぺろりん
敵の一団が一気に襲い掛かってくる
【ぺろりん】 やめて! それに手を出さないで!!
小屋を守りながら、戦うぺろりん
【ぺろりん】 ……あっ!!
しかし敵の攻撃は、 容赦なく小屋を傷つけていく
【ぺろりん】 ……やめて…
【ぺろりん】 それはみんなの…!!
…が、次の瞬間!
【ぺろりん】 うぐっ!
小屋に気を取られた隙を突かれ、 もろに攻撃を受けてしまった
【ぺろりん】 くっ…せっかく…… ここまで作ったのに…!
無残に破壊されてゆく小屋
【ぺろりん】 やめて……!
悔しさで涙がにじむぺろりん
【ぺろりん】 ……うぅぅ…
薄れゆく意識の中、 彼女の目に飛び込んできたのは…
【ぺろりん】 !!
【ぺろりん】 ……あぁ…
【ぺろりん】 み、みんな……
それは、ぺろりんと 小屋を守りながら戦う 姫たちの姿であった
遅くなってごめんね! マスターが傷ついた ぺろりんに駆け寄る
【ぺろりん】 マスターくんが… みんなを連れてきて くれたんだ…
そして、 マスターの隣には一人の姫の姿が
先日、ぺろりんと揉めた子だった
【ぺろりん】 ご…ごめんね……
【ぺろりん】 キミの言った通りだった… 素直に……言うこと、 聞いておけばよかったね…
その姫は言う マスターがみんなに言ってくれたの
ぺろりんは、 みんなに喜んでもらうために 小屋を作ってる
その言葉を信じて、 見守ってあげない?って
【ぺろりん】 ……マスターくん
だから、あなたのこと…信じるわ
【ぺろりん】 ……!
ぺろりんに微笑みかけ、 姫は戦闘に向かって行った
傷ついたぺろりんを 抱き起こすマスター 彼女に優しく語り掛ける
【ぺろりん】 マスターくん…
みんな、きみのことを信じてるよ だから、みんな… 君を守るために戦ってるんだ
【ぺろりん】 ……私の…ために…
【ぺろりん】 私は…
【ぺろりん】 みんなのためって言いながら……
【ぺろりん】 いつの間にか 独りよがりに なってたのかな…
【ぺろりん】 助けにきてくれたみんなのため… 信じてくれたみんなのため……
【ぺろりん】 今度こそ…! 本当に、みんなのために 戦いたい!!
次の瞬間、光に包まれ、 傷が癒えていくぺろりん
皆を思う心が、 彼女に新たなる力を 与えたのだ
【ぺろりん】 みんなの想い、受け取ったよ! 今度は私の想い、受け取ってね!!
【ぺろりん】 『終幕飾る雷華の落日』―――ッ!!
強烈な一撃を放つぺろりん
それは瞬く間に 敵の一団を殲滅するのだった
戦闘後――
壊された小屋を修復しているぺろりん
【ぺろりん】 みんな、ありがとねっ!
姫たちもみんな、手伝ってくれている
【ぺろりん】 それに…マスターくんも
【ぺろりん】 ほんとにありがとう! おかげで、みんなと仲直りできたよ
【ぺろりん】 キミって頼りになるリーダーだね♪
そして…
【ぺろりん】 じゃじゃ~ん♪
みんなの手伝いもあり 遂に小屋は完成した
【ぺろりん】 これが私たち専用の…
【ぺろりん】 サウナ小屋だーーーーーっ! いえーーーい!!
【ぺろりん】 みんな、私よりも ずっと前から戦ってたでしょ?
【ぺろりん】 だから、 疲れてる体を癒して欲しくて!
ぺろりんの思いやりに、 感謝する姫たち
【ぺろりん】 うぅん、感謝するのはこっち! 私一人じゃ作れなかったよ
【ぺろりん】 でも、みんなと一緒なら出来た! 本当にありがとう! これからも……
【ぺろりん】 仲良くしてね!
飛びっきりの笑顔を見せるぺろりん
そんな彼女に、マスターが尋ねる あの…男性用のサウナもあるのかな?
【ぺろりん】 ……え?
【ぺろりん】 あ~~~~~っ! 忘れてた~~~~~っ!!
そりゃないよ~! マスターの叫びと 姫たちの笑い声がこだまする
【ぺろりん】 大丈夫! ちゃんと作ってあげるから♪ ねっ?
その笑顔はとても優しく、 温かかった
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