560202212 ネス・擬装・ランサー 自由な発想
【ネス】 規律を作る時は、 物事の全体を見る目と、 柔軟な思考が大切…
ラグナロクが残した 言葉の意味を考えるネス
じっと考えるだけじゃ 答えに辿り着けないよ?と、 気晴らしに彼女を町に誘うマスター
【ネス】 えぇっ!? 規律では、あと1時間は 槍の特訓をしないと…!
規律に縛られてちゃ、 見えないものもあるんじゃない? とマスター
【ネス】 …!そ、それは…
ラグナロクも焦ることないって 言ってたことだし と、彼女に言う
【ネス】 確かに…そうなんですが…
戸惑う彼女を やや強引に連れ出し、 町へと向かうのだった
【ネス】 あっ!これは…
町は今、お祭りの時期だった
【ネス】 色んな出店があるんですね
【ネス】 どこかに 槍のヒントは ないでしょうか?
見ると、次々と出店に 入っていくマスター
【ネス】 もしかして…
【ネス】 マスター、 ただお祭りを 楽しんでるだけなんじゃ…
心配そうな彼女に、 射的をやろうと誘うマスター
【ネス】 もうっ! そんなことしてる場合じゃ ないですよ~~~!
だが聞く耳持たず、 オモチャの銃を片手に、 マスターは射的に挑戦する
【ネス】 …やれやれ
だが、なかなか賞品に弾が届かない
【ネス】 無理ですって、マスター こういうのは元々、 届かないように出来てるんですよ
そうか、だったら…と、
敢えて離れてみたり、 異なる角度から発射してみるなど 試行錯誤を繰り返すマスター
【ネス】 子供ですかっ! 恥ずかしいから辞めて下さいっ!
顔を真っ赤にする彼女に、 マスターは答える
射的ラインギリギリで撃とうとすると かえって視野が狭くなるから、 敢えてやってるんだ…と
【ネス】 …!
【ネス】 視野が狭く……
【ネス】 そうか… 当たらないなら…
【ネス】 それを補う力を……!
――と、次の瞬間、
キャ~ッ!と 町の向こうから悲鳴が聞こえた
【ネス】 あれは…!魔獣!!
数体の魔獣が町に出現したのだ
【ネス】 行きましょう、マスター!
現場に急行する2人
【ネス】 待ちなさい!
【ネス】 あなた達が町に入って 良いという規律は 存在しません
【ネス】 わたしが相手になります!!
槍を取り出し、彼女が戦闘に入った
だが――
【ネス】 くっ…!強い…!!
応戦するも、 巨大な魔獣に苦戦を強いられるネス
槍の攻撃も見切られており、 すべてかわされてしまう
【ネス】 こんな巨体でなんて俊敏な…!
【ネス】 あっ!!
一瞬の隙を突かれ、 槍を地面に叩き落とされてしまった
襲いくる魔獣
ネス!落ち着いて! 君なら、出来る! 叫ぶマスター
マスターの声を聞くと同時に ラグナロクの言葉も 思い出す
【ラグナロク】 柔軟な思考が大切だわ
【ネス】 …!? そういうことだったんですね!
【ネス】 当たらないなら… それを補う力を!!
地面に落ちた槍に触れた瞬間、 ネスの身体が 強烈な光に包まれた
【ネス】 これがわたしの… 新たな力です!!
現れたのは、 重火器に装着された槍
【ネス】 理解しました
【ネス】 規律だけでは 見えないものもある
【ネス】 お見せしましょう… 未熟を補う力を!!
【ネス】 『虚構をも癒す氷の真槍』――ッ!
勢いよく槍を発射し、 見事 魔獣を討ち果たすのだった
勝利の後、 彼女はマスターに告げる
【ネス】 わたし…
【ネス】 いつの間にか、勝手な規律を 作ってしまってたみたいです
【ネス】 規律を作る時は、 物事の全体を見る目と、 柔軟な思考が大切
【ネス】 規律とは、 わたしが槍に抱いていた 凝り固まったイメージだったんです
【ネス】 槍は突く、斬る、叩く だけの武器だと
【ネス】 そして物事の全体とは、 わたし自身のポテンシャルのこと
【ネス】 筋力は乏しいけど、 元々、杖を使っていたので、 魔法系の技が得意です
【ネス】 そして柔軟な思考とは、 そんな魔法系の技を槍に取り入れても 良いという常識を破った自由な発想
【ネス】 マスターのように、 全体を違った角度から見てみたら、 それに気づけたんです!
【ネス】 槍とは… 常に自由な発想で扱う武器だという 新しい規律を見出しました!
テンションが上がって来たのか、 徐々に早口になってゆく彼女
【ネス】 規律って、常に時代に応じて 変化、順応させなくちゃいけなんだね お兄ちゃん!
………え?お兄ちゃん? 耳を疑うマスター
【ネス】 ………え?
【ネス】 あっ! す、すみません…つい!
別にお兄ちゃんでもいいよ、 と微笑み、答えるマスター
【ネス】 う、うんっ…
【ネス】 これでまたひとつ、 新しいことに気付けました 少しは皆さんのお役にも立てるはず…
【ネス】 ねぇ、お兄ちゃん…
【ネス】 わたし、 少しは大人になれたかなぁ…?
そう言って、覗き込んでくる彼女は、 とてもいじらしくキュートだった
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