560322212 オルフェウス・神令・フォルセティ 虚に奏でる幽顕の共演
オルフェウスの歌を聞いて 街の人達が集まって来てしまい…
【オルフェウス】 みんなー、盛り上がってるー!?
「うぇ~~~い!!」 というようにオルフェウスは 弾けんばかりの声援に包まれていた
これではもうライブみたいだ… と、彼女の持つ歌のパワーに 感心するマスター
【オルフェウス】 あ、リーダー! こっちこっちー!
【オルフェウス】 あはは なんだかすごい人だかりが できちゃったね…
【オルフェウス】 単にリーダーに新曲 聞いてもらいたかった だけだったのに
いつの間にか オルフェウスがライブを やってるって話になっちゃったもんね
【オルフェウス】 けど、まさかこんなに 人が集まっちゃうなんてなー ちょっちビックリ
これも君の歌の力だよ と微笑むマスター
【オルフェウス】 あざーっす!
【オルフェウス】 ま、なぜかしんないけど、 連日ライブやるって噂に なっちったからやらないとね~
【オルフェウス】 せっかく集まってくれたんだし ガンガン盛り上がっていこーよ!
【オルフェウス】 だって今日は リーダーがメインで 楽しんでほしいからさ…
と控え目に微笑んだオルフェウスへ ありがとう、 と優しく微笑み返すマスター
しかし… とマスターは周囲を警戒する
成り行きだったとはいえ 街の外でこれだけ 騒いでしまっては…
きゃあ! と絹を裂くような悲鳴が上がり 街の人達が凍りついた
【オルフェウス】 どうしたの… って、魔獣!?
騒ぎを聞きつけて 来てしまったかもしれない…! とマスター
【オルフェウス】 そ、そんな…っ! ひ、ひとまず戦わなきゃ…っ!
落ち着いて、オルフェウス とマスターは呼びかける
【オルフェウス】 で、でも、リーダー あ、あたし…
戦闘は近くにいる隊に任せて 街の人達の避難誘導をしよう とマスターが指示を出す
【オルフェウス】 あたしのせいだ… あ、あたしが調子に乗ったせいで 巻き込んじゃった…
しかし、オルフェウスは パニックになり ギターを手に持って…
【オルフェウス】 なんとか…なんとかしないと!
オルフェウスは単身で 魔獣の群れへ 飛び込んで行ってしまった!
【オルフェウス】 うわぁぁぁ!
オルフェウスは 悲痛な声を上げる
落ち着いて、オルフェウス! と彼女を止めるマスター
【オルフェウス】 …っ! リーダー、あたしのせいで みんなが、みんなが…っ!
大丈夫!多少怪我人は出てるけど 犠牲者は出てないから それに、
魔獣が来たのは君のせいじゃない となだめるマスター
【オルフェウス】 リーダーはそう言ってくれるけど でも、でも…っ!
それに今、君がするべきことは 嘆くことじゃない この混乱を収めることだ
君ならこのハプニングも きっとチャンスに変えられる とマスターは彼女を励ました
【オルフェウス】 あ、あたし… そんな人にはなれないよ…っ!
なれるよ、だって君の歌から とても強いパワーを感じたから とマスターは伝えた
【オルフェウス】 あたしの歌が…? …リーダーには ちゃんと、届いたんだ…
【オルフェウス】 …わかった あたし、やってみるよ!
オルフェウスは小高い丘の上に立ち パニックになっている街の人達へ こう叫んだ
【オルフェウス】 …がおー!ゾンビーだぞ! ハッピーハロウィーン!
…突然どうしたんだ? と街の人達の動きが止まる
【オルフェウス】 …みんな、魔獣が急にやって来て 怖いよね
【オルフェウス】 …でも、大丈夫だから! こんなの、大した イタズラじゃないよ!
魔獣の襲来をイタズラと 称したオルフェウス
彼女はギターを持ち直すと 力強く弾き鳴らした
♪ギュイィィィィィン!
【オルフェウス】 戦闘はあたしの仲間がしてくれる! みんなは慌てず騒がず 街まで逃げるよ!着いてきて!
ギターを弾き鳴らしながら オルフェウスは先陣を切って 街へと向かっていった…
【オルフェウス】 …よし、みんな避難できたね
安全なところまで避難し 一息つくオルフェウス
そこにマスターが 魔獣の殲滅は終わったよ と言ってやってくる
オルフェウスのおかげで 犠牲者を出さずに避難できたよ とマスター
【オルフェウス】 …うん、そーだね 治療もみんな終わったよ でも……
オルフェウスはそう答えると ギターを木に立てかけて 重いため息を吐いた
どこかしょげているように見える オルフェウスへ、どうしたの? とマスターは声をかける
【オルフェウス】 …実はさ ハロウィンに行きたいって言ったの あたしっしょ?
【オルフェウス】 その… リーダーにはいつも世話ん なりっぱなしだからさ
【オルフェウス】 今日くらいは、なんか感謝の 気持ちを伝えたいなーって 思ってたんだ…
【オルフェウス】 なのに、結局また 面倒かけちゃったなぁ~って…
彼女の思惑を知って マスターは優しく微笑んで ちゃんと伝わってるよ、と伝える
【オルフェウス】 …マジ? 伝わってた?
【オルフェウス】 あたしが最初に歌った曲… リーダーのために作ったんだけど…
オルフェウスの思い、 伝わっていたよ と頷くマスター
【オルフェウス】 …そっか だからリーダーは あたしを信じてくれたんだ
【オルフェウス】 思いを届けられるあたしなら みんなを導けるって そういう寸法だったんしょ?
寸法というか… と苦笑するマスター
【オルフェウス】 いや、いいし わかってんし
【オルフェウス】 リーダーには あたしの思いが 届いてたってことっしょ
【オルフェウス】 街の人達はあたしの声に ノッてくれてたし リーダーは心を理解してくれてた
【オルフェウス】 マジ感謝だし!
【オルフェウス】 今ならこの気持ちを音に乗せて もっといい音楽作れそう…っ!
マスターとの絆が深まり 『虚に奏でる幽顕の共演』を オルフェウスは習得していた
曲ができたら、ぜひ聞かせてね と微笑むマスター
【オルフェウス】 もちろん! ちょっち待ってな いの一番に聞かせてやるし!
オルフェウスが威勢よく 返事をしたとき
ふと、木に立てかけた ギターがぐらりと バランスを崩して倒れていく…
危ない! とマスターがギターを支えに向かう
【オルフェウス】 ちょ、リーダー!?
そんなマスターを庇おうと オルフェウスも飛び出して…
【オルフェウス】 痛た~…
ふたりはギターを庇うように 地面に倒れこんでしまった
【オルフェウス】 …って、うおっ!? リーダー、ごめん 踏んづけちった
【オルフェウス】 …重くない?
【オルフェウス】 さーせん、リーダー ま、これがあたしからの トリック・オア・トリートってことで
オルフェウスはそう言って 悪戯っぽく微笑むのだった…
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