610144212 ティルフィング エタニティオブラブ
『美しい花を見るため』
新たな目的に向かって、 旅を続ける マスターとティルフィング
【ティルフィング】 マスターが言う “いい場所”とは、 どこにあるのですか?
それは、着いてからのお楽しみ と、答えをはぐらかすマスター
【ティルフィング】 わかりました 楽しみは大事に取っておきますね
笑顔で返すティルフィング
穏やかで満たされた時間が 過ぎてゆく
――と、彼女がなにかを発見した
【ティルフィング】 あれは…
見上げる彼女
【ティルフィング】 勇壮で…美しいです
彼女の瞳に映っていたのは、 街の観光地になっている 大きな城だった
【ティルフィング】 この街には世界中から観光客が 集まっているようですね
【ティルフィング】 異なる国、異なる文化… さまざまな人々が共存する世界を 見ると思い出しませんか?
辛いことも、たくさんあったね… とマスター
【ティルフィング】 …えぇ
【ティルフィング】 でも、悪い事ばかりでは ありませんでしたよ
【ティルフィング】 特に印象に残っているのは――
城を見上げる彼女
【ティルフィング】 大きなお城で、 新生ラグナロク王国の 女王に就任したことですね
【ティルフィング】 私には、 勿体無さすぎる お話でした
【ティルフィング】 ほんと…懐かしいですね
と、表情を綻ばせる彼女
すると、マスターが、
実はあのお城に、 懐かしい人を呼んであるんだ と、彼女に告げた
【ティルフィング】 え?懐かしい人? 誰でしょうか?
【ティルフィング】 それも、会ってからの お楽しみ… でしょうか
笑顔を湛え、 二人は城へと向かった
【ティルフィング】 あっ!あなたは…!
驚くティルフィングの前に 立っていたのは――
【グランテピエ】 久しぶりね
【アルマス】 私はちょっと前に 会ったけどね
【ティルフィング】 グランテピエ! アルマス!
【グランテピエ】 ふふ、変わってないね ティルフィング
【ティルフィング】 あなたたちの方こそ、お元気そうで
【グランテピエ】 ずっと会いたいなって 思ってたんだ
【グランテピエ】 前の世界でもこの世界でも 君には大きな使命を 背負わせてばかりだったから…
【グランテピエ】 ちゃんとお礼を言いたくて たくさん話しを聞きたくて だから、会えて嬉しいよ
【グランテピエ】 ふふっ、それでマスターは ちゃんとティルフィングを エスコートできてる、かな?
君にはかなわないな、 と苦笑いのマスターが ポリポリと頭をかく
【ティルフィング】 大丈夫、 マスターはちゃんと やってくれてますよ
ともあれ、 久方ぶりの再会を 懐かしむ四人
城の中を歩きながら、 四人は思い出話に花を咲かせる
【ティルフィング】 ディスラプターズの皆さんや リサナウトは元気に やっているでしょうか?
【グランテピエ】 うん、リサは元気だよ たまに騒ぎを起こす時もあるけれど 心配はいらない、かな
【グランテピエ】 ヘレナたちとは一緒に各地を巡って 支援活動をしてるんだ みんな本当に頑張り屋さんなんだよ
【ティルフィング】 ふふっ、アナタたちの活躍は 私の耳にも入っていますよ 人々のためにありがとうございます
【グランテピエ】 それを言うなら、 ティルフィングのほうこそ アルマスから話は聞いてるよ
【グランテピエ】 そうだ、私の知らないアルマスの話 聞かせてくれない、かな
【アルマス】 お姉ちゃん!?
慌てるアルマスを尻目に マスターはアルマスのことを 語っていく
【グランテピエ】 へえー アルマス、すごい活躍してたんだね!
【アルマス】 ちょっと、マスター 盛り過ぎ
この後も 久しぶりの四人の会話は 続いていく
【ティルフィング】 グランテピエもアルマスも お元気そうで良かった 会えて嬉しかったです
【グランテピエ】 ティルフィング、 言うのが遅くなっちゃったけれど
【グランテピエ】 ずっとこの世界を守ってくれて ありがとう
【グランテピエ】 今私たちが元気に過ごせているのは、 あなたがこの世界の平和を 守ってくれていたから、だよ
【アルマス】 その通りよ ラグナロクのことも、 あんなお別れだったから、嬉しかった
【ティルフィング】 そんな… それこそ、盛り過ぎです
【グランテピエ】 ふふっ また会おうね、 ティルフィング
【ティルフィング】 また、必ず
【アルマス】 じゃあね マスターも気を付けて 旅を続けるのよ
別れを惜しみつつ、 四人は城を後にした
【ティルフィング】 マスター、懐かしい再会を ご用意してくださり、 本当にありがとうございました
【ティルフィング】 とても嬉しかったです
【ティルフィング】 グランテピエや アルマスと話していて、 心底思いました
【ティルフィング】 ラグナロクが復活して、 世界が救われて、 本当に良かったと
【ティルフィング】 実は… 私もずっと 心残りだったのです
【ティルフィング】 地上に行ったあの日…、 世界を救おうと 決意しました
【ティルフィング】 でも…
【ティルフィング】 ラグナロクと レーヴァテインの関係…
【ティルフィング】 そして、私に訪れた長い… 長い孤独の時間…
【ティルフィング】 思えば、地上でも… 本当に悲しいことが多過ぎました
【ティルフィング】 原点として長い孤独を過ごし、 アナタと再会できた後も
【ティルフィング】 平和な世界に何かが足りないと ラグナロクのことを 考えることがありました
【ティルフィング】 だから、救えて本当に良かった 諦めずにいられて良かった
【ティルフィング】 本当に、 感謝しても、 し切れません
真摯な態度で マスターに頭を下げる彼女
だがマスターは、 やめてよ、こっちは君に その10倍は助けられてるんだから
と、あっけらかんと笑って見せる
【ティルフィング】 本当に… アナタのそういうところに
【ティルフィング】 私は救われ… そして…
【ティルフィング】 愛しさを感じるのです
え?今、なんて言ったの? 聞き返すマスターに、 彼女は頬を赤くして答える
【ティルフィング】 な、なんでもありません
【ティルフィング】 そ、それに――
はぐらかすように、 彼女が矢継ぎ早に 言葉を紡いでいく
【ティルフィング】 そこから、また 色々と思い出していたのです
【ティルフィング】 人々にとって、 願いはやはり重要なのだと いうことを
【ティルフィング】 世界が変わって…
【ティルフィング】 私の前に現れた少女、 ミーミル
【ティルフィング】 彼女は、 ラグナロクを想う人々の願いから 生まれた存在でしたね
【ティルフィング】 そんな彼女が旅の中で、 遂げていった成長
【ティルフィング】 そして、遂には… 様々な人々の強き願いから、 ラグナロクが復活したこと
【ティルフィング】 思い知りました
【ティルフィング】 幾多の世界を巡って、 分かったのです
【ティルフィング】 出自や育ち、性別や年齢、 立場や思想… 例え、違っていても
【ティルフィング】 どの時代も、 人々の願いは 平和と幸福であると
【ティルフィング】 心穏やかに、 満たされた人生を送ること
【ティルフィング】 それこそが、 この世に生を受けた者たちの 使命なのだと
【ティルフィング】 あ、す、すみません… 気持ちが昂って、 私ばかりベラベラと…
うぅん、嬉しいよ とマスター
そんな君に見せたい場所がある この先だよ
【ティルフィング】 美しい花が見える場所ですね!
マスターに連れられ、 彼女は小高い丘を登る
そして、とうとう この旅のフィナーレである 目的地へと辿り着いた
【ティルフィング】 こ、これは…!
目の前には、広大な草原
そこに生えている立派な一本の巨樹
【ティルフィング】 この木は、まるで… ユグドラシルのような…
【ティルフィング】 それに…
巨樹の下には、 果てしない花畑が
【ティルフィング】 ここは…
【ティルフィング】 マスターと私が… 初めて会った場所みたい
すごくよく似てるでしょ だから、君を連れて来たかったんだ 僕たちの始まりの場所
原点の場所
と、優しく微笑むマスター
【ティルフィング】 始まりの…場所
そんな特別な場所だから、 君に伝えたい事がある と、彼女の目を見つめるマスター
【ティルフィング】 は、はいっ…!
初めて出会ってから… 長い…本当に長い時間、 一緒にいてくれて
ありがとう
君がいなければ、 今の僕はなかった
いっぱい助けてくれて、 元気づけてくれて、 勇気づけてくれて、
ありがとう
そして、これからも
よろしくね
マスターのとても優しい声に 包まれた彼女
【ティルフィング】 ……
知らずのうちに、 頬を涙が伝っていた
【ティルフィング】 お礼を言うのは、私の方です
【ティルフィング】 確かにここまで、 辛く苦しい戦いの連続でした
【ティルフィング】 でも、いつでもそばに アナタがいてくれたから…
【ティルフィング】 アナタの存在が私の心の中を、 たくさんの花で 満たしてくれていたのです
【ティルフィング】 アナタは私にとって、 花のような人
【ティルフィング】 いつも…喜びと癒しをくれる
【ティルフィング】 本当に…感謝いたします
【ティルフィング】 この、私たち二人の 始まりの地で宣言させて頂きます
【ティルフィング】 私の願いは、 マスターの傍にいることです
【ティルフィング】 出会ったあの日から、 アナタを守ると誓いましたから
涙で濡れた、 その笑顔はどこまでも美しく、 輝きを放っていた
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