620121213 ミーミル 大いなる世界から得た親愛
【ミーミルの日記】 新たなる旅の記録七日目――
【ミーミルの日記】 敬愛するティルフィング様
【ミーミルの日記】 マスター様と再び旅を始めて、 早いもので一週間が経過しました
【ミーミルの日記】 お変わりなくお過ごしでしょうか
【ミーミルの日記】 ミーミルはあれからも、 『美しい』を探し続けております
【ミーミルの日記】 街を離れ、 木々の緑や透き通る湖を見たり
【ミーミルの日記】 夕焼けに染まる真っ赤な空を見たり
【ミーミルの日記】 大自然で懸命に生きる 野生動物の姿を見たり
【ミーミルの日記】 また、人々が 丹精を込めて作った田や畑、 建造物を眺めたり
【ミーミルの日記】 ティルフィング様の仰った 『美しい』に近づきたくて、 毎日を旅しております
【ミーミルの日記】 そのような日々の中で、 私は、はたと気づいたのです
【ミーミルの日記】 それは――
――と書いたところで、 ミーミルの部屋に マスターが入ってきた
また日記書いてたの? あまり遅くならないようにね と、優しく語りかけてくる
【ミーミル】 …マスター様
筆記具を置いた彼女は、 マスターに問い掛けた
【ミーミル】 マスター様…… 『美しい』とは一体、 なんなのでしょうか?
それは、また難しい質問だね 優しく答えるマスター
【ミーミル】 はい、おそらく答えをひとつに 絞ることはできないと思います 人の心次第ではないのかと
【ミーミル】 ティルフィング様がおっしゃった 『美しい』もきっと、何をそう 感じるかは人の心次第なのでしょう
【ミーミル】 誰かを思いやる心、 慈しむ心
【ミーミル】 それらもまた…… 世界を彩る『美しい』ものの 一つではないのかと
【ミーミル】 あの日……
【ミーミル】 マスター様とティルフィング様が 新しい日記帳をくださった日
【ミーミル】 ティルフィング様は、 私にこう仰いました
【ティルフィング】 ミーミル、 あなたがこれまで 書き溜めた日記帳は、
【ティルフィング】 『揺らぎ』を巡る旅の記録、 報告が多かったことでしょう
【ティルフィング】 ですが、この新しい日記帳には――
【ティルフィング】 記録、報告ではなく あなたが感じた素直な気持ち
【ティルフィング】 楽しいとか、嬉しいとか そういった些細な日常の中で 積み上げた感情や…
【ティルフィング】 思い出を書き記して欲しいのです
【ティルフィング】 『美しい』はその中にあると、 私は信じています
そう、そんなことがあったんだね と、応えるマスター
【ミーミル】 私を思って下さる優しさ…
【ミーミル】 その思いを受けて、 心がとても温かくなりました きっと私は幸せを感じたのでしょう
二人からの贈り物である 日記帳を胸に抱き、 ミーミルは宣言する
【ミーミル】 マスター様、私は決めました
【ミーミル】 この日記帳を 思い出でいっぱいにします
【ミーミル】 そうすれば――
【ミーミル】 いつか旅の先で、 私にとっての『美しい』を 識ることができると思います
【ミーミル】 その時は、私が見付けた 『美しい』の答えを、 マスター様にも聞いて頂きたいのです
優しい瞳でマスターを見つめ、 微笑むミーミルだった
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