830101 天上編 第8章 王都決戦 第3話 最終目的地 バトル開始前の会話
ラグナロク大聖堂グランドタワー マスターカテドラル
【教会職員】 …大祀官様、 お取込み中失礼いたします
【大祀官】 …何用ですか? 今は、洗礼の儀の最中です… お控えください
【教会職員】 いえ… 教皇様より、緊急の通達です
【大祀官】 緊急…?
【教会職員】 “闇より生まれいでし悪魔” リベリオンが、王都へ侵入… こちらへ向かっているとのこと
【教会職員】 これよりこの大聖堂も 臨時警戒態勢に入ります
【大祀官】 …! そうですか…わかりました
【大祀官】 皆さん、 緊急事態宣言が発令されました…
【大祀官】 洗礼の儀は、ここで一時中断します 速やかに、サウスタワーの メディプレイスへ移動してください
【教会職員】 メディプレイスは、 大奏官達が仮想戦闘訓練を行う 瞑想の場…
【教会職員】 そこで、彼らに戦闘の 手ほどきを受けてください
【教会職員】 そののち… 隣接する訓練場で、
【教会職員】 特定のマスターを持たぬ キラープリンセス達との 面通しを行います
【大祀官】 …突然の実戦に 戸惑われるかもしれませんが、 案ずることはありません
【大祀官】 バイブスが適合し、 旅の伴侶となるキラープリンセス達と そこで出会うはず…
【大祀官】 彼女達がアナタ方を 守ってくれることでしょう
【大祀官】 そこから アナタ方の旅は始まるのです
【教会職員】 状況が落ち着き次第、 洗礼の儀は再度執り行います さぁ…急ぎ、サウスタワーへ
【大祀官】 …現在の避難状況は?
【教会職員】 ノースタワーを完全封鎖… 評議会、及び史書棟の職員達は そちらへ避難しております
【教会職員】 大祀官様もお急ぎください
【大祀官】 “闇より生まれいでし悪魔”… まさか、これほどまでに 早く到達しようとは…
【大祀官】 …我らの未来を占う決戦の時が、 目前に迫っているのですね…!
【ディーン】 …追っ手は見えない ひとまず、振り切ったみたいだな
【ティルフィング】 パラシュに感謝しなければ… 彼女がいなければ、 切り抜けられなかったはずです
【リベリオン】 まったくだ。ともかく先を急ぐぞ… 教会を正すことが、 アイツを救ってやることにもなるんだ
【ティルフィング】 はい
【デュリン】 それより、教授達はどうする気? まさか、このまま連れて行く つもりじゃないわよね…?
【リベリオン】 もちろん、置いて行く 派手な戦闘になるのは 目に見えているからな
【レン】 待ってよ…! 教授達って…それって、 アタシのことも言ってるの!?
【トト】 仕方ないんだよ。大聖堂には、 キラープリンセス達が 待ち受けてるんだ…
【トト】 二人には危険すぎるんだよ
【リベリオン】 お前もだぞ、ボウズ
【トト】 ええっ、僕まで…!? どうしてだよ!?
【ノーブル】 いや…我々がついていったところで 足手まといになるだけ、 賢明な判断だ
【ノーブル】 そもそも、私には やらねばならんことがある… どの道、同行は出来ん
【トト】 …? やらなきゃいけないこと…?
【ノーブル】 これほどの騒ぎとなってしまっては、 もはや一刻の猶予もない
【ノーブル】 君が届けてくれた この暦を手に… 私は大仕事を為さねばならん
【レン】 大仕事…? いったい、なにをする気なの…?
【ノーブル】 世界中の人々に呼び掛けるのだよ 真実を世に伝え、 人々の目を覚ますのだ…!
【ティルフィング】 暦を使って、人々の目を覚ます…? それは、どういうことなんですか…?
【ノーブル】 この暦には…ルステンシュタインが 星の巡りから導き出した、この大陸の “真の歴史”が記されておる
【ノーブル】 王政府により公表され、世の人々が 信じている歴史。その“矛盾”を、 この暦は明らかにしておるのだ
【デュリン】 この大陸の“真の歴史”…?
【ノーブル】 端的に言えば… 王政府が公表している歴史は、 作為的に短縮されておる
【ノーブル】 人々が紡いできた歴史… さらには、人類誕生の起源… 果ては、この星が誕生に至るまで
【レン】 この星の誕生の時期まで…!?
【ノーブル】 うむ。通説では、この星の誕生は 5億年ほど前とされておる
【ノーブル】 だが、ルステンシュタインの 計算からすれば、それは もっとはるか昔の話…
【ノーブル】 46億年ほど前にまで遡るようだ
【ディーン】 は!? なんだよ、それ…!?
【ノーブル】 天文学をかじった者ならば、 容易に弾き出せることだと ヤツは言っていた
【ノーブル】 だが…、王政府の公表する歴史が 根付いた状況下で、
【ノーブル】 ルステンシュタインの訴えが 受け入れられるはずもない
【ノーブル】 事実…その学説は異端とみなされ、 ヤツは学界を追われる立場にあった
【デュリン】 …そんな立場にある学者さまの説に、 どうして教授は目を向けたの?
【ノーブル】 “蝕”だ。政府が公表する歴史では… 天災を伴った蝕が定期的に生じ、 その度に人口が激減したとされている
【ノーブル】 だが…ルステンシュタインの 見立てでは、蝕はそれほどまでに 頻繁には生じていないらしい
【デュリン】 蝕が頻繁に起きているように、 歴史が書き換えられている…?
【エドガー】 …!蝕を…人口調整の擬装として、 利用しているということですか!?
【ノーブル】 左様。私はそもそも… 口減らしをするかのように定期的に 起こる天災を、奇妙に感じていた
【ノーブル】 もし、公にされている歴史が 意図的に作られたものだとしたら…?
【ノーブル】 政府の意に則した形に、 歴史が捻じ曲げられている としたなら…?
【ノーブル】 ルステンシュタインの説を耳にし 私はそう考えたのだ
【デュリン】 つまり、このラグナ大陸の歴史は… 王政府の都合のいいように、 塗り替えられてるってこと…!?
【ティルフィング】 …!? …伏せて!!
【レン】 え…!?
【アルテミス】 いたぞ! 回り込み、退路を塞げ!!
【ティルフィング】 クッ…! 見つかった…!
【リベリオン】 教授…講義中に申し訳ないが、 移動しながらで頼む
【ノーブル】 う、うむ…!
【ティルフィング】 行きましょう、マスター!
【ディーン】 ヤベェ…! 回り込まれたぞ…!
【ティルフィング】 いえ、まだ手薄です! 前方は私とレーヴァテインで 切り拓く…
【ティルフィング】 後方のガードは シェキナーとミョルニルでお願い!
【ミョルニル】 わかったーっ!
【ノーブル】 グッ…! …うぬ…足が…
【レン】 教授、大丈夫…!?
【エドガー】 無理もない、 我々とともに駆け回っているんだから …教授、肩をお預けください
【ノーブル】 すまない… それより…君に聞きたいことがある
【エドガー】 僕に…? なんですか?
【ノーブル】 君はさっき… 王政府による歴史の塗り替えを、 人口調整の擬装ではと言い当てた…
【ノーブル】 どこからか その話を聞いていたのか…?
【エドガー】 …話せば長くなるんですが
【エドガー】 僕らもさまざまな手掛かりを元に、 王政府が人口調整を 施しているという結論に至ったんです
【ノーブル】 なんと…!? これは驚いた…まさか我々以外に、 その結論に辿り着く者がいたとは
【レン】 …我々とはフレンネル大公や、 父さんのことですね?
【ノーブル】 うむ…。…君には、 我々のこれまでのいきさつを 知る権利がある
【ノーブル】 君の父…ジョンが最期の瞬間まで、 いかなることに命を賭けていたのかを 伝えねばなるまい
【レン】 …! お願いします!ほんの少しでも… 父さんの本当の姿を知りたいんです!
【ノーブル】 それにはまず、 我々の出会いから話し始めねばならん
【ノーブル】 ルステンシュタインは 天文学の見地から…
【ノーブル】 私は独自に調べていた、 人口調整の見地から…
【ノーブル】 ともに、王政府の公表する歴史に 疑念を抱いていた
【ノーブル】 双方の視点から迫れば、 この大陸の真の歴史が 明らかになるかもしれん…
【ノーブル】 そう考えた私は 彼を研究室に招き入れたのだ
【デュリン】 フレンネル大公も そこに合流したということ…?
【ノーブル】 ルステンシュタインの学説に 興味を持っていたのは、 私だけではなかったということだ
【ノーブル】 もっとも、彼の場合… 私達へ忠告するために やって来たのだがな
【レン】 忠告…?
【ノーブル】 今はまだ、 その説を公にすべきではないと…
【ノーブル】 我々が王政府に粛清されることを案じ フレンネル大公は参じて下さったんだ
【ディーン】 つまり… フレンネル大公も 同じ見解に至っていたということか?
【リベリオン】 …当然だろう
【リベリオン】 先祖のエルライトが、 神々と結託した王政府に 処刑されかかったんだ…
【リベリオン】 その子孫であるフレンネルが、 王政府の暗躍に 気付いていないはずがない
【ノーブル】 おっしゃる通りです
【ノーブル】 我々は、このまま人々が 異族の犠牲になる状況を 見過ごすことは出来なかった…
【ノーブル】 王政府がひた隠す真実を 世に暴くことを決意したのです
【デュリン】 民に慕われる大公に、 天文学の権威… そして有識者として名高い教授…
【デュリン】 アナタ達の影響力があれば… 世間の人々も、少なからず耳を 傾けてくれるでしょうね
【ノーブル】 だが…いくら影響力があろうとも、 推論を並べただけでは民意は動かん
【ノーブル】 人々を動かすには それなりの証拠が必要なのだ
【トト】 …! その証拠が…!
【ノーブル】 そう…この“暦”だ
【ノーブル】 これを手にするまでに、 これほどの歳月がかかろうとは 思いもしなかったがな…
【ノーブル】 偽られた歴史を暴き、世に真実を 伝えるために必要な最後のピースを… 君は届けてくれたのだよ
【トト】 …!
【ティルフィング】 …ハァァァァァーッ!!
【ディーン】 よし…! 前方が拓けたぞ…!
【ティルフィング】 今のうちです!さぁ、早く!!
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