830201 天上編 第8章 王都決戦 第3話 最終目的地 バトル開始前の会話
【ディーン】 おい、急げ! 追いつかれるぞ!
【トト】 う、うん! でもさ…、爺ちゃんの暦って、 そんなにすごいものだったんだね
【エドガー】 ですが…、それだけ重要なものを なぜ耕民区などで 作成させたのですか…?
【ノーブル】 世間を納得させるだけの 正確な暦を作るには、 巨大な天体望遠鏡が不可欠だ
【ノーブル】 だが…、それを設置できるだけの 天文台を王都に建設すれば、王政府に 気付かれるのは目に見えている
【ディーン】 だから、あんな要塞みたいな 天文台を耕民区に作ってたのか…!
【ノーブル】 うむ。私は暦の完成を、 この王都で待ち続けた
【ノーブル】 いつでも世に公表できるよう、 学界での地位を維持しつつ…
【ノーブル】 王政府に計画を悟られぬよう、 細心の注意を払いながら
【ノーブル】 フレンネル大公も、 同様になに食わぬ顔で 普段通りの日々を送られていたのだ
【トト】 ねぇ…。教授は、 爺ちゃんと友だちなんだよね?
【ノーブル】 友だち…?もちろんだ 彼とは、切っても切れぬ 相棒のような関係だからな
【トト】 それなのに… どうして爺ちゃんを 放っておいたのさ?
【ノーブル】 …なに?
【デュリン】 確かに…。アナタほど影響力が ある人なら、医者のひとりぐらい 派遣することもわけないはず…
【デュリン】 いくら王政府に 悟られぬためとはいえ、
【デュリン】 失明の危機にある学者さまを 放っておくなんて、 ちょっと冷たすぎるんじゃない?
【ノーブル】 失明の危機…? …なんの話だ?
【デュリン】 学者さまの話よ 今、あの人は失明の危機にあるの… 知らなかったの?
【ノーブル】 なんだと!?あのバカ…! どうして、いつも肝心なことを…!
【ノーブル】 クッ… それで、容態は!? まだ、間に合うのか!?
【ティルフィング】 わかりません… ですが、芳しくないことは事実です
【ノーブル】 !! 今となれば、 我々の繋がりを隠す必要もない…
【ノーブル】 わかった! すぐにでも、医者を向かわせよう!
【トト】 ホント!? やった…!!
【ティルフィング】 ありがとうございます! これで大丈夫よ、トト! お爺さんの目はすぐに良くなるわ!
【トト】 うん!
【ティルフィング】 …!? …ミョルニル!!
【ミョルニル】 …! このーっ!!!
【ミョルニル】 危なっ…! ありがとー、ティルフィング!!
【ティルフィング】 よかった…! でも、あの漆黒の矢はどこから…?
【レーヴァテイン】 …あのアルテミス? なにもモーションは 見えなかったけど…
【ティルフィング】 …この王都を守護する部隊だもの この遠距離でも正確に 射抜ける技があるのかもしれない…
【ティルフィング】 警戒しながら、進みましょう …みんな、急いで!!
【ティルフィング】 キラープリンセス一人一人の戦闘力が 高まってきている…
【ティルフィング】 大聖堂に近付いているということ なのかしら…?
【ノーブル】 うむ。間もなく 見えてきてもおかしくはない
【デュリン】 大聖堂周辺は、 厳重な警備態勢が敷かれているはず… 気をつけて
【ティルフィング】 ええ。シェキナー…
【ティルフィング】 あのアルテミス、この距離からでも 正確に狙ってくるみたい 警戒しておいて
【シェキナー】 わかってます 最大の警戒レベルで当たります
【レン】 それで、教授…父さんは、 どうしてアナタ達と 関わることになったの…?
【ノーブル】 そう…、ジョンとの出会いだな?
【ノーブル】 …我々の計画は、 王政府に気付かれた段階で すべてが破綻する
【ノーブル】 ゆえに…常に、王政府の動きを 注視しておく必要があった
【ノーブル】 …君のお母さんは異族の襲撃を受け、 亡くなられたそうだね?
【レン】 私が幼い時に、 人民区に現れた異族の手にかかって… それが?
【ノーブル】 最愛の妻を失った、 君の父・ジョンの怒りは…
【ノーブル】 異族から、やがて王政府に 向けられるようになったのだ
【ノーブル】 なぜ人民区にまで、 異族の侵入を許したのかと…
【ノーブル】 王政府は なぜ対応に遅れているのだ…、と
【ノーブル】 異族を野放しにするかのような 王政府に疑問を抱き…
【ノーブル】 記者活動の傍ら、 その動きを探るようになったらしい
【レン】 …確かに、父さんは番記者として、 王政府によく出入りしていたみたい
【ノーブル】 言葉は悪いが…。王政府の動きを 注視しておきたい我々にとって、 ジョンはうってつけの存在だったのだ
【ノーブル】 我々が王政府による人口調整を 探っていると話すと 彼はすぐに耳を傾けてきたよ
【ノーブル】 …君達、外壁の地下に存在する 通用路のことは?
【ディーン】 見たよ。地下水路の、 異族が行き来してる穴のことだろ?
【ノーブル】 そうだ。あれこそまさに、 王政府が異族の流入を 助長している証…
【ノーブル】 異族撲滅を掲げる 王政府の裏の顔そのものだ
【ノーブル】 フレンネル大公の導きで、 あの通用路を目の当たりにし…
【ノーブル】 ジョンは我らとともに 行動することを決意したのだよ
【レン】 …それで、父さんは どのようなことをしていたの?
【ノーブル】 王政府の動向の監視… そして、各人の連絡役だ
【レン】 連絡役…?
【エドガー】 …王政府に繋がりを悟られぬよう、 皆さんは関係を断っていたんですね?
【ノーブル】 その通り…。ジョンがその役目を 担ってくれたおかげで、 意思疎通が円滑になったのだ
【ノーブル】 …だが、 ようやく軌道に乗り始めた矢先、 思わぬ事態が発生してしまった
【デュリン】 思わぬ事態…?
【ノーブル】 耕民区のとある村で… “カミノツカイ”が目撃されたのだ
【トト】 …! それって“祀官様”のこと…!?
【ノーブル】 なに…?
【ティルフィング】 …!? …レーヴァテイン!!
【レーヴァテイン】 !?…クッ…!!
【ティルフィング】 …! また…黒い矢…!
【レーヴァテイン】 なにこの矢の威力…? 格段に重いんだけど…
【ティルフィング】 やはり、矢を放つ動きを 目視出来なかった…!
【ティルフィング】 いったい、 どうやって攻撃を 繰り出しているの…?
【ノーブル】 “祀官様”…?
【デュリン】 エゼル村… いえ、当時はディブロ村ね…
【デュリン】 カミノツカイを目撃したことで “悪魔の子”と排斥されたナパルは、 このトトの恩人なのよ
【ノーブル】 なんと…! そこにも君らは関わりがあるのか…!
【ノーブル】 フレンネル大公も その情報を確認しに、視察と称して ディブロ村へ行かれたのだぞ?
【デュリン】 聞いたわよ ナパルは、フレンネル大公を 恩人だと言っていたわ
【デュリン】 この子は… 大公に身を寄せるために、 私達と旅してきたのよ
【ノーブル】 そうだったのか… 大丈夫、大公は 必ずや生き延びておられるはずだ
【トト】 うん…!
【ノーブル】 ともかく… その目撃事件は、 我々に大きな衝撃を与えた
【ノーブル】 傍観を決め込むと見ていた神々が、 動きを見せたのだからな
【リベリオン】 だが… 王政府の背後に神々がいることは、 フレンネルから聞いていたんだろ?
【ノーブル】 無論です。けれど、 この世界が神々の箱庭だとするなら…
【ノーブル】 子飼いの王政府が打倒されても、 残った人々を一掃することは ないと考えたのです
【ノーブル】 この世界の人々を駆逐してしまえば… 箱庭自体、意味を 成さなくなってしまうはずですから
【リベリオン】 …確かに、空き箱を持っていても、 なんの意味もないな
【デュリン】 最悪の状況も、 念頭に置かなければならくなった ってことなのね…?
【ノーブル】 より慎重に動かざるを 得なくなったのは事実
【ノーブル】 けれど、我らの活動に 気付いている様子は見えなかった
【ノーブル】 それよりも… 我々が問題視したのは、 その目撃報告の伝達状況だ
【エドガー】 伝達状況…?
【ノーブル】 調べを進めるうち、 カミノツカイが各地で 目撃されている実態が見えてきた
【ノーブル】 だが、その目撃報告が、 ラグナロク教会の上層部に 達していなかったのだ
【ノーブル】 しかも、あろうことか…
【ノーブル】 キラープリンセスの出動要請さえ、 満足に伝達されていない状況が 判明したのだよ
【トト】 そんなの当たり前だよ ずさんなラグナロクに期待するなって みんな言ってたもん
【ノーブル】 ずさんなどではない フレンネル大公の調べでは…
【ノーブル】 耕民区、及び人民区からの 派遣要請は、遅くとも数日の間に 王都まで届けられていた
【デュリン】 !! それって…!
【ノーブル】 すべての指令を下す大聖堂… その内部のどこかで、 派遣要請が立ち消えていたのだ
【ノーブル】 いや、意図的に揉み消されていた と言ったほうが、 正しいかもしれんな
【ディーン】 なんだと…!?
【エドガー】 黒奏官…! ヤツらの一派が…!?
【ノーブル】 おそらくな…。大聖堂に 王政府のスパイが入り込んでいると、 我々も直感した
【ノーブル】 だが、迂闊には動けん 我々の存在に気付かれれば、 すべての計画が頓挫する恐れもある…
【ディーン】 どこまで入り込んでるのかも、 わかんねぇんだもんな…
【ノーブル】 しかし、悠長にはしていられん状況に さらに我々は 追い込まれることになる…
【ノーブル】 こちらの動きを 悟られる危険があろうと、 動かざるを得ない事態が発生したのだ
【リベリオン】 …なにが起きたんだ?
【ノーブル】 ルステンシュタインから 報告が入ったのです… カミノツカイを目撃したと…!
【ノーブル】 ついに…我々の身近にまで、 神々が出現してしまったのです…!
【アルテミス】 クッ…!
【アルテミス】 王都守護隊の面子にかけても、 これ以上大聖堂に 近付かせはしない…!
【アルテミス】 街道封鎖、急いで!!
【アルテミス】 決して、ヤツらの戦闘能力が 秀でているわけではない…
【アルテミス】 こちらの連携の甘さを、 一枚岩のチームプレーで 突破されているだけのこと…
【アルテミス】 実戦経験の差が、 この状況を生んでいるのか…?
【???】 …それは、エリートゆえの 悩みといったところかしら?
【アルテミス】 …!? …誰だ!?
【???】 王都で安穏とした日々を 送っているアナタ達に…
【???】 日々、最前線で殺し合いを 積み重ねている彼らを止めるのは 荷が重いのかもしれないわね
【アルテミス】 黒い…私…!?
【???】 アナタ達に花を持たせようと 思っていたのだけれど、 もはやここまでね
【???】 …後はこちらで引き受けます 邪魔はしないで
【アルテミス】 ガッ!!!う、うぐ…! そ、そうか…あの黒い矢は、 お前が…カハッ!!!
【???】 さぁ… 狩りの時間と行きましょうか
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