901010001 地上編 1章 大樹を目指して 第1話 マスターの適合者
【ゼロ】 くそっ!
【ゼロ】 …ルシファー達の襲撃から 何ヶ月経ったと思ってるんだ? 出撃命令はいつ出るんだよっ
【???】 あの、すみません… 司令室はどこに…?
【ゼロ】 誰だ、お前? …見ない顔だな。新しい研究員か?
【???】 アルンといいます ボクはあなたの――
【ヴァリン】 アルン! やっぱり迷ってたわね。 ここは入り組んでるから…
【ヴァリン】 って、ゼロ! ちょうど良かったわ
【ゼロ】 出撃命令はまだか、ヴァリン! 本部の体制もとっくに整ってるだろっ
【アスクレピオス】 相変わらずだね、イライラ王子は
【ゼロ】 うるせぇ、腹黒メガネ! なんでお前までここにいるんだっ?
【アスクレピオス】 もちろん、今度の作戦で 君と同行するからだよ 幼馴染みのよしみで手伝ってあげよう
【ゼロ】 今度の作戦? …ヴァリン、出撃命令が出たのか!?
【ヴァリン】 ちょっと! 説明するから静かにしてっ
【ヴァリン】 随分待たせたけど、 ようやく見つかったわ アンタのマスターが
【ゼロ】 マスター?なんで今更、 マスターをつけるんだよ 俺は今まで――
【ヴァリン】 アンタがバカだからに 決まってんじゃない! このバカ!
【ゼロ】 急になんだ!? 人をバカ呼ばわりするんじゃねえ
【ヴァリン】 バカだからバカって言ったのよ!
【ヴァリン】 魔獣に囲まれたとき、 勝手に獣血を解放したことを 忘れたの!?
【ヴァリン】 いい?アンタ達キラーメイルは、 魔獣の血肉を取り込んで、 その力を手に入れた戦士なのよ
【ゼロ】 …………
【ヴァリン】 でも魔獣の血に侵され、暴走して… いつ魔獣化してしまうかも分からない そんな危険と隣り合わせなのっ!
【ゼロ】 でも、神器から抽出された “キラーズ<武器種>”が その魔獣化を抑えてくれるんだろ?
【ヴァリン】 アンタって、ほんと 何回言ってもわかってくれないのね!
【ヴァリン】 だから、魔獣化を抑えてくれる “キラーズ”が 狂気の原因でもあるって…
【ヴァリン】 何度言ったら理解してくれるのよ!
【ゼロ】 …理解はしてる
【ヴァリン】 キラーズの狂気因子は、 女性の肉体しか受け止められない
【ヴァリン】 でも男のアンタに適合したのは、 魔獣の血肉がキラーズを受け止めた からなのよ…少量だけれどね
【ゼロ】 じゃあ、大丈夫じゃねぇのか?
【ヴァリン】 だっから!
【ヴァリン】 キラーズを安定させる “バイブス<共鳴種>”を持つ マスターが必須なの!
【ヴァリン】 少しでも暴走の リスクを減らすために!
【ゼロ】 分かった。わかったから、 そのマスターとやらを さっさと連れてこい
【ヴァリン】 連れてこいって… アンタの目の前にいるじゃない アルンがアンタ達のマスターよ
【ゼロ】 こいつがっ? …まだガキじゃねえか
【ヴァリン】 この数ヶ月、必死に探して ようやく見つけた適合者よ
【ヴァリン】 新人なのは間違いないけど、 仕方ないでしょ!
【ゼロ】 チッ…分かったよ じゃあ、さっさと 作戦を説明してくれ
【ヴァリン】 ちょっと! なんなの、その態度! アンタはいつもいつも――
【ティルフィング】 ヴァリン、落ち着いて はい、チョコレート
【ヴァリン】 ふむぅっ…!?こ、これは! 舌の上でとろける滑らかさと 程よい甘さ!至福の味わいだわ~♪
【アルン】 急に人が変わったような…
【ゼロ】 ヴァリンは チョコレートが大好物なんだ
【ゼロ】 機嫌を取るときはこれに限る 覚えておけ
【ゼロ】 ティルフィング、助かったぜ お前も作戦に参加するのか?
【ティルフィング】 はい。でも、詳しい話は後で 外に魔獣が集まってきています
【ゼロ】 初陣だな、マスター 邪魔にならないよう、 ヴァリンと一緒に大人しくしてろ
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