110140450 ロストラグナロク編(失われた千年王国編) 第14章 ミッシング・ゴッド 第4話 千年王国の孤独-5
【新世界の人々】 我々が地上の支配者となって久しい 全ての生命を思いのままとする 技術の確立まであと一歩だ
【新世界の人々】 機械と生命の融合 完全なる生命の創造 我々に不可能なことなど何もないぞ
【新世界の人々】 世界の神秘は全て解明され、 我々は神の領域へと近づきつつある 全ての実験が成就するとき
【新世界の人々】 我々は今度こそ“バベルの塔”を 完成させ、“千年王国”へと 至るのだ!!
【ティルフィング】 永き平穏の日々は、しかし、 人の心に傲慢の種を植え付けたのかも しれません…
【ティルフィング】 数限りない実験が為されました あらゆる事柄が研究の俎上に乗り、 分析・解析されていったのです
【ティルフィング】 そして、人工的な神の創造へと 人々は邁進していきました
【ティルフィング】 神が人を創造したように、 今度は人が神を創造する 「神」と「人」の逆転――
【ティルフィング】 それがあの頃の人々が目指していた 最終目標…新たな“バベルの塔”です
【???】 “バベルの塔”計画によって 当時の人間達は人工の神を 作り上げようとした
【???】 ところが、 それは私の予想していたものとは 異なっていたんだよ
【フェイルノート】 お前の予想と違った? 人工の神とはどんなものだったの?
【???】 人間達が作ろうとしていた「神」は… 口にするのもおぞましいものを 増幅する存在だった
【???】 アレが完成してしまったとき、 人々はより深く強く他者と繋がり、 互いを知ることになる
【???】 そういう代物だったのだよ あの「神」は
【マキナ】 私は人々の思いを繋ぐために 生み出された「神」だったの…
【マキナ】 争いは些細なすれ違いや勘違いから 生まれることがある
【マキナ】 他人を平気で攻撃できるのは 相手の痛みを感じられないから
【マキナ】 他者と繋がり、共感し、共鳴できれば すれ違いや勘違いは起こらない
【マキナ】 相手の痛みを自分のものとして 感じられれば、無自覚に他者を 傷つけることもない
【マキナ】 同じように、他者の喜びを 自分のことのように喜べる 幸せを分かち合える
【マキナ】 私を造り上げようとした人達は、 そんな理想を抱いていたわ
【マキナ】 でも、私は「覚醒」する前に 捕らえられ、地底深く封じられた… 存在意義を否定されたの
【ゼロ】 …………
【マキナ】 もう、この世界に 私の居場所はないのね… 誰も私を必要としていない
【ゼロ】 お前には悪いが、この世界は ハッピーエンドの一つだと思うぜ
【マキナ】 分かってる… この世界にとって、私だけが異質… 異物なんだ…
【マキナ】 地上に出てくるべきじゃなかった… ずっと封じられたままでいれば 良かったのに…
【ゼロ】 …………
【マキナ】 ねえ、ゼロ 斬ル姫達は今、どうしているの?
【ゼロ】 概ね、俺と同じだよ 中にはキラーズを取り除いて 人間に戻った奴もいる
【ゼロ】 キラーズ自体、 もう活性化することはないだろうな 戦う必要がない
【マキナ】 そう… それはきっと、幸せなことなのよね
【ゼロ】 …どこへ行くんだ?
【マキナ】 私が封じられていた場所… 地底監獄ビフレストに戻るわ そこで、また眠りに就くの…
【マキナ】 もう二度と目覚めない眠りに
【ゼロ】 …付き合わせてくれ 案内くらいはしてやれる
【ゼロ】 なあ、マキナ あの頃の人間達はどうしてお前を 作ったんだろうな?
【ゼロ】 どこまでもいっても自分は自分、 他人は他人だ 完全な理解なんてあり得ない
【ゼロ】 共感も共鳴も、所詮はまやかし 自己満足に過ぎないんじゃないか
【マキナ】 だからこそ、だと思う…
【ゼロ】 何だって?
【マキナ】 本当に理解し合いたかったから… 自己満足で終わらせたくなかったから
【マキナ】 本当の意味で、 繋がり合いたかったから… 私を生み出したんだと、思いたい
【ゼロ】 そうか… それこそ、傲慢だと思うがな でも、まあ、悪くねぇ
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