200031211 ギャラルホルン 唐突な出会い
ワイワイと人々が行き交う 午後の街中
ここは大通りにある喫茶店――
小さな女の子が一人、 静かに紅茶を飲んでいる
【ギャラルホルン】 ………
カップをテーブルに置き、 道行く人をぼ~っと眺めている 女の子
【ギャラルホルン】 ………
その目は、子供には 似つかわしくない 寂しげなものだった
【ギャラルホルン】 ……!
【ギャラルホルン】 あれは…
女の子は、道行く人々の中に オドオドしている人物を見つける
その人物は、なにやら 街のならず者達に 絡まれているようだ
【ギャラルホルン】 ………はぁ
彼女はため息をついた後、 静かに呟いた
【ギャラルホルン】 誰かを苦しめようとする人間は 世界中にいる
【ギャラルホルン】 ……まあ、 わかってたことだけどさ
一方、こちらは 先程からならず者達に 絡まれている人物
マスターだ
とっととその金、渡しやがれ! ならず者の一人がマスターに凄む
いや、これは 大事なものを買うお金だから と、にこやかに対応するマスター
しかし、その笑顔が ならず者達の神経を 逆撫でしたようだ
ふざけやがって! と、一人が マスターに殴りかかった
――と、その時
【ギャラルホルン】 やめなさい
現れたのは、 喫茶店にいた 小さな女の子だった
【ギャラルホルン】 よってたかって 弱い者いじめなんて…
【ギャラルホルン】 やっぱり世界は 絶望に染まっているわね
ガキはすっこんでろ!! と、凄むならず者達
【ギャラルホルン】 アナタ達には…… 世界の嘆きが 聞こえないかしら?
うるせぇ! 掴み掛かってくるひとりに対し、 彼女が構えを取ろうとした時……
【ギャラルホルン】 !?
彼女を守ろうと割って入った マスターが殴られてしまった
【ギャラルホルン】 ……アナタ、なにしてるの?
呆れる彼女をよそに もっと痛い目見せてやろうか!? と、ならず者達がますます調子づく
【ギャラルホルン】 ほんと…いい加減にして
そんな彼らに対し、 ギャラルホルンの怒りが 小さく爆ぜる
彼女の発した風圧によって 吹き飛ばされるならず者達
得体の知れない力に怯えた彼らは、 おずおずと逃げて行った
【ギャラルホルン】 まったく…
服についた埃を払いながら ため息をつく彼女に 怪我はない?とマスターが言う
【ギャラルホルン】 それはギャラルの台詞 なんだけど…
だが、彼女の言葉をスルーし、 マスターがさらに問いかける 君は…キル姫なの?
【ギャラルホルン】 見たらわかるでしょう? アナタの知るキル姫とは 少し違うかもしれないけど
【ギャラルホルン】 はじめまして、ギャラルホルンよ ギャラルって呼んでくれて 構わないわ
【ギャラルホルン】 世界の悲劇が幕を下ろす時…
【ギャラルホルン】 終焉の訪れは間もなくよ
終焉…? 訳が分からず、 呆気に取られるマスター
【ギャラルホルン】 じゃあ、用事は済んだから
優雅に立ち去ろうとする彼女 しかし、マスターは……
【ギャラルホルン】 …え?街の案内……?
来たばかりで、 右も左も分からないんだ 頭を下げ、頼み込むマスター
【ギャラルホルン】 それでキョロキョロしてて、 さっきの人達に 目を付けられたのね?
ここで出会ったのも なにかの縁と思って… お願いできないかな?
真っ直ぐな目のマスターを 見た彼女は…
【ギャラルホルン】 ………
【ギャラルホルン】 ……しょうがないわね
【ギャラルホルン】 結果的にギャラルを守ろうとして 殴られちゃったわけだし
【ギャラルホルン】 …いいわ お詫びとして、 引き受けてあげる
ありがとう! マスターは彼女の後に ついていくのだった
【ギャラルホルン】 この街はさほど大きくはないけど、 流通は発達してるから 買い物するのに困ることはないわよ
見た目は子供だが、 大人びた口調でしっかり者の彼女に 感心するマスター
一方のギャラルホルンは…
【ギャラルホルン】 この人、隊を率いる マスターだって言ってたけど…
【ギャラルホルン】 なんだか、頼りなさそう…?
【ギャラルホルン】 でも…
ねぇ、あの店はなに? 行ってみようよ! はしゃぐマスター
それを見て、彼女は…
【ギャラルホルン】 悪い人じゃなさそう
その後、しばらくして――
【ギャラルホルン】 え?洋服屋?
隊の姫達に買ってあげたくてね いい店、知らないかな? マスターが尋ねる
【ギャラルホルン】 さっき盗られそうになってたのは、 そのお金だったのね
【ギャラルホルン】 それよりも……
【ギャラルホルン】 アナタの服もボロボロじゃない 一緒に買っちゃえば? いいお店、知ってるわよ
彼女に案内され、 マスターは洋服屋へと向かった
流行りとか分かんないし… どれがいいんだろう…? と困った表情のマスター
すると……
【ギャラルホルン】 ねぇ、ねぇ!
【ギャラルホルン】 今年のトレンドは、 心が弾むような 明るいカラーだそうよ
【ギャラルホルン】 特に鮮やかなピンク、イエロー、 グリーン辺りが来るみたい!
この店に来るまでは 淡々と案内していたのに… 彼女の変化に少し驚くマスター
【ギャラルホルン】 ほら?姫達だけじゃなくて、 マスターもオシャレしなくちゃ
【ギャラルホルン】 ねぇ、これなんてどうかしら? アナタにピッタリだと思うけど
テンションの上がった彼女により、 いつの間にかマスターの 着せ替えタイムに突入していた
【ギャラルホルン】 ぬひひひひ! 見た目は悪くないんだから もっと攻めても大丈夫だよ
【ギャラルホルン】 姫達みんなを驚かせちゃおう♪
クールで大人びた印象だったが、 今は年相応の子供のように はしゃいでいる彼女
【ギャラルホルン】 すごくいいと思うわ! とってもかわいいっ! あはは!
こんな無邪気な笑顔も出来るんだ、 とマスターは微笑ましく思うのだった
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