200041211 フリズスキャールヴ 高みより見る者
みんな、がんばれ!! 戦場にマスターの声が鳴り響く
姫達は圧倒的な数の敵に、 かなりの苦戦を強いられている
まさに絶体絶命
――と、その時
!!
【フリズスキャールヴ】 ………
マスターは戦場を 見下ろせるであろう高台に、 人影を見つけた
【フリズスキャールヴ】 ………
それは、ひとりの美しき女性だった
【フリズスキャールヴ】 ………
彼女はこちらに加勢するでもなく、 また敵方につくでもなく、 ただただ傍観している
【フリズスキャールヴ】 ………
一瞬、気に留めたマスターだったが、 絶体絶命の状態は続いている
すぐさま気持ちを切り替え、 戦闘の指揮に没頭するのだった
【フリズスキャールヴ】 ………
高台からは、 そんなマスターを 彼女が静かに見つめていた
数時間後――
マスターの隊は 全員 満身創痍ながらも、 なんとか勝利
今夜の野営地を探すため、 傷ついた体を引きずりながら、 荒野を進んでいた
すると――
【フリズスキャールヴ】 ………
!!
突如、先ほどのキル姫が 隊の前に現れた
『今、攻撃してこられたら…』 手負いの姫達の間に緊張感が走る
【フリズスキャールヴ】 …………
黙って、こちらを見据える彼女
緊張感も最高潮に達しようとした時、 まぁまぁまぁ、と マスターが間に割って入った
【フリズスキャールヴ】 ………
君、さっき高台から見てた人だよね? マスターが明るく尋ねる
【フリズスキャールヴ】 ……!
少し沈黙の後、彼女が口を開いた
【フリズスキャールヴ】 わらわの名はフリズスキャールヴ
【フリズスキャールヴ】 そなたらの敵ではない
【フリズスキャールヴ】 それにしても、あの戦闘のさなか、 わらわを見つけておったとは驚きじゃ
どうして戦いを眺めていたの? 別にどちらにつくわけでもなく …と、彼女に尋ねるマスター
【フリズスキャールヴ】 それは、わらわが……
【フリズスキャールヴ】 “終焉”を望む者だからじゃ
終焉…? マスターが尋ねる
【フリズスキャールヴ】 ……ふむ
【フリズスキャールヴ】 死は安息、破滅は救済じゃ そう受け入れよ
【フリズスキャールヴ】 仮にあの場で全滅していたとしても、 それは絶望ではない 救いじゃ
【フリズスキャールヴ】 ゆえに、わらわは そなたらに加勢しなかった
そう答えた彼女に、マスターは言う
僕はそうは思わない 僕にとっての救済とは…
決して諦めずに、 最後の最後まで終焉に抗うこと
つまり、新しい道を探すこと だからね …と
【フリズスキャールヴ】 …………
そう笑顔で応えたマスターは、 野営地を探すため、じゃあねと 隊を率いて移動を始めるのだった
……が、
【フリズスキャールヴ】 …………
まだ、なにか……? 後を付いてくる彼女に、 マスターが尋ねる
【フリズスキャールヴ】 皆、怪我をしているようじゃが… 治療のあてはあるのか?
いや、これから探そうかと… そう答えるマスターに彼女は言う
【フリズスキャールヴ】 だったら、わらわが教えてやろう
【フリズスキャールヴ】 ついてくるがよい
どうして…? 尋ねるマスター
【フリズスキャールヴ】 新しい道を探すと言ったそなたに 興味が湧いたのじゃ
いつの間にか、 彼女の後ろを歩いている マスターの隊
これが、 フリズスキャールヴとの 出会いだった
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