202212190 限定クエスト 雪下の騎士流離譚 雪下の騎士流離譚 ストーリークエスト 雪下の騎士流離譚 ストーリークエスト後編 7 - 雪下の騎士流離譚-ED 雪下の騎士流離譚 後編-ED 雪下の騎士流離譚 後編-ED
懐かしいあたたかさ 怒りの熱さで忘れてしまった とても懐かしいあたたかさ
それは知っているようで 知らないような不思議な感覚
【???】 ――――、――
自分じゃない自分 かつての自分へ掛けられた優しい声 キラーズがかすかに共鳴している
かつて、アロンダイトの マスターだった少年
【???】 おつかれさま、アロンダイト
その一言ですべての不義が 赦される訳ではない
けれど、その一言を ずっと求めていたのだろう
それは、自分の感情から 他者との交流から目を背けていては 絶対に手に入ることのない…
アロンダイトにとっての――
【アロンダイト】 …………
アロンダイトは ベッドの上で目を覚ます
夢で見たモノは 瞬きする間に靄がかかり 思い出せなくなっていく
だが、その胸に残る あたたかな感情に想いを馳せる
【アロンダイト】 …私自身も暴走した私も そうならなかった可能性は 求めてはいなかった――
アロンダイトはふと気付く
そうであったならば 「揺らぎ」を引き起こしたはず
【アロンダイト】 …ふふ、やはり私より 暴走した私のほうがよっぽど 忠義に厚いんですね
すぅ、すぅという 可愛らしい音に気付き 横を見るアロンダイト
【アロンダイト】 …また、あなたに救われました
枕元にいる、泣きはらして目元を 真っ赤にして気絶するように眠る シタにそっと声を掛ける
シタの自分に対しての行動は 自分の不義が如何なるものか 見せてくれたのだと、今は理解できる
【アロンダイト】 ずいぶん、迷惑をかけましたね
シタの髪を撫でるアロンダイト
【アロンダイト】 エクスカリバー… 私の聖杯とは、きっと――
アロンダイトが雪崩から 村を救ってしばらくのある日のこと
【シタ】 …旅に出るんですね
【アロンダイト】 はい、じきに冬も明けますし ちょうどいい頃合いかと
子供のように泣きじゃくるシタと 開き直って意見を言うアロンダイト
ふたりはややあって なんとか仲直りをしたのだった
【シタ】 ミトゥムちゃんが悲しみますね
【アロンダイト】 いえ、その節はミトゥムに たくさん迷惑を掛けましたし むしろホッとするのではないかと…
【シタ】 そんなことありませんよ ミトゥムちゃんは良い子ですから
ふたりの仲直りを村人達に伝え 村を救った大英雄を讃える宴会を 開いたのもミトゥムだ
そこで、例の親子がアロンダイトへ 感謝と謝罪を伝えるよう促したのも ミトゥムなのだが…
それはまた別の話
【シタ】 …この辺りの春はまだ遠いですけど 吹雪の多い時期は越えましたし 旅立ちにはいい日、ですね
【アロンダイト】 寂しいですか?
【シタ】 アロンダイトさんがちゃんと考えて 自分に向き合って決めたことです そんな理由で引き留められません
【アロンダイト】 私は寂しいと思っています
【シタ】 っ!
【アロンダイト】 でも、行かなければなりません
【シタ】 …………そう、ですね
【シタ】 寂しいです
【シタ】 アロンダイトさんがいないと わたしはとても寂しいと思います
【シタ】 でも、ちゃんとお見送りします
【アロンダイト】 ええ、ありがとうございます
【シタ】 アロンダイトさんにとっての聖杯 見つかるといいですね
【アロンダイト】 …片鱗は見えました いつか手にすることができると 私は信じています
シタの頬に手を寄せ 微笑むアロンダイト
自分のことを見つめ直し 他者と交流して新たな世界を その目で見て回る為の旅
かつて壊そうとした世界の その先にある新たな世界を 見定める為の旅
【アロンダイト】 それが私 アロンダイトの聖杯探索
聖杯、聖なる杯 そう、すべてを受け止める 杯を自身で探し出すのだ
【アロンダイト】 だから、まずは自分を受け入れる 感情も、過去も、すべてを…
【シタ】 きっと、見つかりますよ
シタは微笑む
【アロンダイト】 それでは、いってきます
アロンダイトは歩き出す
いつか帰る場所と呼びたい存在に 背を向けて、未来へと歩き出す
雪下の騎士流離譚 END
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