202302060 初心者クエスト 不可欠彩度レルム 不可欠彩度レルム 第2部 不可欠彩度レルム 第2部 3 - 不可欠彩度レルム-2 不可欠彩度レルム 第2部-2 不可欠彩度レルム 第2部-2
【マクリル】
…………
【パンドラ】
…………
【ダモクレス】
…………
【プタハ】
…………まぁ、そうだな
【プタハ】
彼女達も悪気があって
救助に来た訳ではないと
言ったのではないだろう
【プタハ】
キル姫の身体能力であれば
通れるであろうルートがあったのは
わかっていたことだからな
プタハが取り繕うことで 地盤沈下が早まりそうなほどの 重い空気が少しだけ軽くなった
【パンドラ】
私も言葉足らずだったわ
それは…ごめんなさい
【ダモクレス】
えっと、自己紹介しないとだよね
クレスはダモクレスだよ！
【プタハ】
我はプタハだ
そなた達は？
【パンドラ】
私はパンドラ
そしてこっちがマクリル
【マクリル】
マクリル…です
【パンドラ】
それじゃあ、
足りなかった部分の説明をするわね
【パンドラ】
私達はこの事態の原因を
調べるためにここまで来たの
【パンドラ】
原因が『裏側』に由来するものなら
これ以上の被害は防げるかもしれない
【ダモクレス】
『裏側』…？
【パンドラ】
今私達がいる世界と表裏一体の世界
その干渉が起こす『揺らぎ』による
穴から魔獣が現れる、という話よ
【マクリル】
この街に『揺らぎ』の兆候があって
それで調べてたら、こんなことに…
【パンドラ】
起きてしまったことは仕方ない
だけど、拡大する被害を
食い止めることはできるわ
【プタハ】
…なるほど
各地で魔獣騒ぎが起きていると
聞いていたが、この街にも…
【パンドラ】
『裏側』を感じ取れるマクリルが
濃い気配を感じるって言うから
私達はここまで降りてきたの
【パンドラ】
他のフロアにも
同じように逃げ遅れた人々
それにキル姫もいたわ
【マクリル】
でも、私達は助けられない…
【ダモクレス】
…事情があるなら仕方ないね
それでもこうやって危ないところに
来てくれたんだから、感謝だね！
【パンドラ】
そう言ってもらえると助かるわね
【パンドラ】
それに私達が来られたことで
上の救助活動にも影響が
あるかもしれないわ
「救助活動」という言葉に 人々が熱を持つ
外、地上の情報が得られない今 パンドラの言葉は人々にとって まさに希望の光だった
だが、それは一時のもの 不安が完全に取り除かれた 訳ではないことは誰もが理解していた
【マクリル】
…パンドラ
もうこの下は感じないよ
【パンドラ】
それじゃあこの辺りに…
なるほど、完全に理解したわ
【プタハ】
『裏側』がどういうものか
詳細はわからぬが…この下にはもう
誰もいないのも理由だろうか？
【マクリル】
そう…かも？
【パンドラ】
誰もいない…
プタハが中で救助を？
【プタハ】
そんな大それたことではない
ほんの少し、皆の希望になろうと
励んでみただけのことだ
【プタハ】
けれど、出来る限りのことはした
いないと断言してもいいだろう
【ダモクレス】
すごいよね！
愛の成せるものだよね！
【プタハ】
ふふ、褒めても何も出ないぞ？
【パンドラ】
なるほど
【パンドラ】
感情が大きく動いている人々が
集まっているここに濃く気配を感じた
可能性はなくはないわね
【マクリル】
…………
【パンドラ】
ひとまずここで調査を始めましょう
…まぁ私はわからないから
マクリル頼りだけれど
【マクリル】
うん…やってみる
【パンドラ】
…と、調査し始めたけど
マクリルは気付いたことも
すぐ言わないのよね
【ダモクレス】
お疲れさま～！
【パンドラ】
…ダモクレス
あなたは向こうにいなくていいの？
人々をあまり刺激しないよう 調査と称してパンドラとマクリルは ダモクレス達とは離れていた
【ダモクレス】
うん、プタハがみんなのこと
見守っててくれるから大丈夫！
【ダモクレス】
ふたりのことが面白そ…じゃなくて
何してるのかなーって思ってさ
【マクリル】
…ふふ、ダモクレスは正直だね
【パンドラ】
…短い付き合いだけれど
マクリルがそういう会話をするのが
珍しいことだというのはわかるわ
【ダモクレス】
え、何々？
何の話！？
【マクリル】
…ちょっと、似てたから
ダモクレスの明るいところ
【ダモクレス】
えー！
もしかしてマクリルの大事な人の話？
【マクリル】
うん、とっても大事な私の相棒…
私を理解して安心させてくれる
特別な存在…
【ダモクレス】
それってすごーく愛だよね！
クレス、マクリルと仲良くなれそう！
もっとお話聞かせて！
【マクリル】
…………ふふっ
【パンドラ】
意味深な笑みね…
【ダモクレス】
…はぁ、こんな風にみんなとも
愛を語り合えたらいいのになぁ
【マクリル】
みんな…助けた人のこと？
【ダモクレス】
こんな状況だから
まだ助けたなんて言えないけどね
【ダモクレス】
なんだか励まそうとしても
上手くいってない感じがしちゃって…
【マクリル】
こっちに来たのも、それが理由？
【ダモクレス】
うん、本当はね
みんなのことはプタハに
お願いしたほうが上手くいくんだ
【マクリル】
でも…励ましてくれるのは
どんな状況だって、嬉しい、よ？
【ダモクレス】
わぁ！
マクリルってとっても優しいねー！
【マクリル】
その…ダモクレスと似てる
マナナンならそう言うかな、って
【マクリル】
私もマナナンに励ましてもらったり
手を引いてもらったりすると
嬉しいから…
【ダモクレス】
うーん、愛に溢れた
トークは最高だねぇ――あれ？
話をするダモクレス達のもとへ 怒声が響いてくる
【ダモクレス】
どうしたの、みんな！
【プタハ】
まずは落ち着くのだ
話はそれからだ、いいなふたりとも
【男１】 …ああ
【男３】 ふんっ
【マクリル】
すごい怒鳴り声が聞こえたけど…
【プタハ】
ああ…ちょっと、な
プタハの話によるとパンドラ達が 使ったルートで脱出するか留まるか で揉めてしまったのだという
【ダモクレス】
…みんな、すごいよ！
【ダモクレス】
脱出って決断も
留まるって決断もすごい
【男１】 …どういう意味です？
【ダモクレス】
だって、危機的状況で
しっかり考えて選択できるって
とっても勇気が必要な行為だからさ
【ダモクレス】
うん…クレスはその選択を
愛の伝道師らしく受け止めちゃうよ！
【男２】 …別にアンタのためじゃない 受け止めるとかどうとか言われてもさ
【ダモクレス】
うん、それもわかってる
だけど、その気持ちもクレスは
大事に受け止めるよ
【女２】 …やっぱりわからないのよ キル姫には
【ダモクレス】
え…？
【女１】 ええ…いつ崩れるかわからない 天井の下にいる人間の気持ちは 理解できないんでしょうね
【男１】 ああ、我慢の限界だよ いざとなれば生き延びられる あなたの楽観的な考えには
【ダモクレス】
そ、そんな…
【プタハ】
言い過ぎだ
少し頭を冷やそう
【プタハ】
今の言葉にどういった
経緯があったとして
非常事態における感情は不安定
【プタハ】
言ってしまったと後で自分を
責める必要もない…ないが
落ち着いて改めて話そう
【ダモクレス】
…………
ダモクレスへの不満の爆発 そこへプタハが間に入り 人々を注意しつつ、なだめる
【プタハ】
…どちらの選択をするにせよ
もう少し情報が必要だ
【プタハ】
パンドラ、マクリル
そなた達の話を今一度聞かせては
もらえないだろうか
【パンドラ】
もちろんそれは構わないわ
【プタハ】
…情報を整理すると
少しずつでも移動したほうが
助かる可能性が高いやもしれぬな
【パンドラ】
そうね、私達は最速ルートを
選んで降りてきたけれど
徐々にであれば上に行けるかもね
【マクリル】
もっと安全な道、あったの…？
プタハの言葉で人々から 地上へ向かおうという声が大きくなる
【プタハ】
そうだな…
皆がその気であれば
道は切り拓ける
【男達】 よし、行くぞ！
【女達】 おー！
【ダモクレス】
…………
蜘蛛の糸のような希望に縋り 立ち上がる人々を見つめるダモクレス
【マクリル】
…………
そしてそのダモクレスの 姿を見つめるマクリルだった…
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