210101110 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第10章 勝利を招く悪魔 ―フレイルティ― 第1話 誓約の条件-11
【ツカサ】 みんな、遅くなってごめん
【ツカサ】 ゴウバラさんに呼ばれて、 ここの奏官四人で集まってたんだ…
【アフロディーテ】 あまり実りのある話し合いでは ありませんでしたわ…
【クレイ】 無事で良かったよ 向こうの戦いは、どうなってる?
【ツカサ】 あっちも退いたよ だから、こっちに来ることが できたんだけど…
【シェキナー】 不自然な撤退に見えました 決して、こちらが優勢だったとは 言えない状況でしたのに
【エロース】 空気がギスギスしてましたよね~… まだ、こないだの件を引きずってる んでしょうか~?
【ムラマサ】 先日の件というと、 ティファレトをこちらにお連れした ときの一悶着ですね…
【エンクウ】 …………
【クレイ】 ゴウバラさんは理解を示してくれた ようだったけれど、他の二人が 態度を硬化させているようだね
【ツカサ】 あの人達は、前からああだから…
【ツカサ】 とにかく、今は休んでよ 部屋を用意させるから シェキナー、頼むね
【シェキナー】 はい マスターは一緒に行かないの ですか?
【ツカサ】 私はちょっと壁を見てくる アフロディーテ、お願い
【アフロディーテ】 ええ、喜んで♪
【シェキナー】 では、皆様はこちらへ お部屋に案内します
【エロース】 次の戦いに備えて、 ゆっくり休んで下さいね~
【ヴァナルガンド】 ありがとうございます
【クレイ】 助かるよ
【ムラマサ】 感謝致します
【エンクウ】 かたじけない…
【ムラマサ】 主君…先程から少し様子がおかしい ような…どうされたのでしょう?
【エンクウ】 …………
【クレイ】 ああ、ここにいたんだな
【エンクウ】 クレイ殿…何用かな?
【クレイ】 君の方こそ、何かあったのかい?
【エンクウ】 …………
【クレイ】 ムラマサが心配していたよ こういうことは奏官同士の方が 話しやすいと思ってね
【クレイ】 …シェキナーのことかな?
【エンクウ】 ほう…お見通しであったか…
【クレイ】 以前、話してくれただろう? 君の家族のこと…出家した理由を… あのとき…
【エンクウ】 父と兄の訃報が届いた
【エンクウ】 我が家は勢力拡大の勢いに乗って 中心部に攻め入り そこで手酷く敗北を喫したそうだ
【エンクウ】 父も兄も退くことを良しとせず、 最後は中心部にいるキル姫の一人…
【エンクウ】 シェキナーの矢によって 倒れたという
【クレイ】 シェキナー… まさか彼女と会うことになるなんてね しかも、そのマスターが…
【エンクウ】 うむ… ツカサ殿とはな 縁とは…分からぬものだ
【エンクウ】 拙僧は、シェキナーを恨んで おったわけではない 恨んでは…いないのだ…
【エンクウ】 すでに親兄弟と縁を切った身 何より、戦の常であろう そう理解しておるのに…
【エンクウ】 シェキナーと相対した折、 心が揺らいでしまった
【エンクウ】 拙僧は、そのことを恥じておる… いまだ弱きままの自分自身に…
【クレイ】 それは…仕方のないことだよ… そう簡単に割り切れるものじゃない
【クレイ】 肉親というのは、 そういうものじゃないかな
【エンクウ】 …面目ない 坊主が惑うとは、修行が足りぬな
【クレイ】 構わないよ 患者の心を診るのも医者の仕事だから
【クレイ】 …ツカサは気づいているのかな? 君の話は彼女も聞いていたはず だけど
【エンクウ】 どうであろうな… ツカサ殿の年齢を考えると、 当時はまだ幼かったろう
【エンクウ】 その頃、シェキナーを率いていたのが ツカサ殿とは限るまい
【エンクウ】 クレイ殿、このことはツカサ殿には 話さないでくれ… 頼む
【クレイ】 分かった …大丈夫かい?
【エンクウ】 心配をかけてすまぬ もう少し己の内で整理をつければ 落ち着くであろう
【クレイ】 そうか なら、私はこれで…ん?
【エンクウ】 如何した?
【クレイ】 いや…気のせいだと思う…
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