210144211 ティルフィング はじめてのおつかい
【ティルフィング】 ええっと… イチゴと、メロンと、 ブルーハワイと…
小さな指を ひとつずつ曲げながら、 ティルフィングはぶつぶつ呟く
【ティルフィング】 …うん! たのまれたかきごおりは これでぜんぶですね!
【ティルフィング】 おみせにつくまでに わすれちゃったら たいへんです
【ティルフィング】 ねんのため、もう一かい たしかめておかないと…
頼まれたおつかいを 懸命にこなそうとする ティルフィング
そんな彼女を、 マスターは隣で そっと見守っていた
【ティルフィング】 よしっ! これだけかくにんすれば きっとだいじょうぶ♪
【ティルフィング】 …あれ? どうかしましたか?
【ティルフィング】 いつもまじめでえらい、ですか? そ、そうでしょうか?
【ティルフィング】 えへへ…♪ お兄さんにほめられるの、 とってもうれしいですっ!
【ティルフィング】 あ、おみせがみえてきました! いきましょう、お兄さんっ
嬉しそうな表情で 砂浜を元気に走っていく
マスターはその背中を ゆっくりと追いかけた
【ティルフィング】 すいませーん! かきごおりくださーいっ!
【ティルフィング】 ええと、あじは… イチゴと、メロンと、 それから…
指折り数えながら 注文するティルフィング だが、指が一つ余ってしまう
【ティルフィング】 あ、あれっ? あともう一つ なんでしたっけ…?
買う味をうっかり忘れてしまい、 あたふたと慌てる ティルフィング
そんな彼女に マスターがそっと耳打ちする
【ティルフィング】 あっ…そ、そうでしたっ ブルーハワイも おねがいします!
【ティルフィング】 うう…ごめんなさい がんばって おぼえたはずなのに…
自分の不甲斐なさに ティルフィングは しゅん…と落ち込んでしまう
励まし代わりに、 何か好きなものを 買ってあげようかと言うと…
【ティルフィング】 えっ、いいんですか!? わぁいっ♪
【ティルフィング】 …はっ!い、いえ! やっぱりいいです、 えんりょします!
【ティルフィング】 みんなにないしょで、 私ひとりだけ ズルはできませんから…!
指をもじもじと絡ませながら 俯いてしまうティルフィング
これくらいいいのに、と 思ったがマスターは何も 言わなかった
小さいながらも 彼女にはしっかりした考えがある その気持ちを尊重したかったのだ
【ティルフィング】 わぁ~っ…♪ どれもすっごく おいしそうですね!
【ティルフィング】 お兄さんっ! はやくみんなのところに もどりましょう!
はしゃぐティルフィングに、 転ばないようにね、と やさしく声をかけるマスター
しかし、その直後―
【ティルフィング】 えっ!? あれって…!!
砂浜に突如現れた異族
マスターは彼女に、 姫たちのところに急ごう、と 呼びかけようとするが…
【ティルフィング】 お兄さん、 かくれてくださいっ!
【ティルフィング】 ここは私が なんとかしてみせます…!
真剣な表情で、 迫りくる異族に立ち向かう ティルフィング
だが、そんな彼女の背中は、 恐怖でぶるぶると震えていた…
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