230012203 ロンギヌス 黒式・極暑砕ク黒槍
【ロンギヌス】
はぁ…はぁ…！
撃破…！
さすがはブラックキラーズ 恐るべき力で、殲滅させていく
…だが、
【ロンギヌス】
…！
プールの向こうサイドに、 また別の異族の群れが出現
【ロンギヌス】
次から次へと…！
【ロンギヌス】
それに…！
「キャーーーッ！」
事情も知らずやってきたと思われる 若い女性
グギャギャ！
異族が、その若い女性に 襲い掛かろうとしていた
恐れおののき、 プールに落ちてしまう女性
【ロンギヌス】
あぁっ…！
女性の位置までは距離がある このままでは救助が間に合わない
【ロンギヌス】
ど、どうすれば…！？
…と、その時、
【ロンギヌス】
！！
女性を助けるため、 マスターがプールに飛び込んだ
【ロンギヌス】
マスター！
女性をプールから上げて、 逃がすマスター
女性は無事、 異族のいない方向へと 逃げて行った
それを見たロンギヌスは…
【ロンギヌス】
も～！それですよ、それ！
え？なにが…？ マスターが聞き返す
【ロンギヌス】
さっきの話の続きですけど、
私が嫉妬してたのは…
【ロンギヌス】
マスターが、他の女の子と
仲良くするからです！！
【ロンギヌス】
…ハッ！
思わぬ場面で、 つい胸の内を告白してしまった彼女
【ロンギヌス】
え、え～と！
い、今のはですね…！
今はそんなこと言ってる 場合じゃないでしょ！ とマスターは声を上げる
見ると異族がマスターへと 向かい始めていた
【ロンギヌス】
ハッ…！
慌てふためくロンギヌス 柄にもなく 見るからに落ち着きを失っていた
頭を冷やして！ と、檄を飛ばすマスター
【ロンギヌス】
冷やす…？冷やす…
そっか…！
槍を構え、
【ロンギヌス】
くらいなさいっ！
プールの水面に突き刺す彼女
すると……、
『ピキピキピキ…』と、 プールの水が凍り始める
【ロンギヌス】
はああああああっ！！
そして彼女が氷の上を駆けてゆく
彼女が放った冷気は マスターへと至りそうな 異族を凍らせ
【ロンギヌス】
せいっ！
見事、一撃で破壊するのだった
【ロンギヌス】
マスターのおかげで…
新しい力を得ることができました
【ロンギヌス】
『黒式・極暑砕ク黒槍』
【ロンギヌス】
今の技は、
そう名付けたいと思います！
嬉しそうに語る彼女
しかし、マスターは…
つ、冷た～い…出して～ と、凍るプールで震えていた
【ロンギヌス】
もう…しょうがないですね
そう言って、彼女は ガチガチ震えるマスターを プールから引き上げるのだった
その後─
【ロンギヌス】
私が嫉妬しているのは、
マスターが他の女の子と
仲良くするから…
【ロンギヌス】
さっきはそう言いましたけど…
本当はそれだけじゃないんです
【ロンギヌス】
他の姫にも嫉妬していたんです
マスターと仲良くできて…
羨ましいなって
自分の想いをマスターに 打ち明けるロンギヌス
【ロンギヌス】
それに…
【ロンギヌス】
分け隔てなく、
誰とでも仲良くなれるあなたも…
羨ましい
キミもその輪の中に入って来てよ と、マスターが優しく告げる
【ロンギヌス】
…マスター
キミがなかなか 人を信頼できないのは知っている
僕のことも、まだ信頼しきって もらってないかもだけど…
でも僕はキミを信頼しているよ とマスターは続けた
【ロンギヌス】
…！
だから、これからも一緒に… 戦って欲しい そう言ってプールに飛び込むマスター
でも！まずは一緒に泳ごうよ！ マスターは泳ぎ出す
その姿を見つめながら、 ロンギヌスは…
【ロンギヌス】
夏の暑さと…
マスターの心が…
【ロンギヌス】
私の心の中の氷を
溶かしてくれるかも…
その日、彼女は最後まで プールに入ることはなかったが、
マスターを見つめるその顔には、 穏やかな微笑みがこぼれていた
Next: 230012204