230182212 フォルカス・神令・ヘル 儚く、輝かしい花火
数日後――
【フォルカス】 ………
マスターは、 一人でビーチに座り込んでいる フォルカスを見つける
【フォルカス】 ………
なんだか少し元気が無いようだ
【フォルカス】 …あ、マスター
マスターは、 彼女にトロピカルドリンクを 差し出した
【フォルカス】 また、そんな浮かれ気分な飲み物を…
そう言う彼女に、マスターは返す
これはライチのドリンク 必要な水分を摂っておかなきゃ、 戦闘に支障をきたすかもよ…と
【フォルカス】 …! 適度な塩分も入っていて 水分が体に吸収しやすいわけですね
【フォルカス】 わかりました
ライチジュースを受け取った彼女は、 マスターとビーチに出掛ける
その中で、 マスターに心の内を吐露する
【フォルカス】 あれから少し考えました 私が…間違っているのかと…
マスターは言う 君の真面目な性格は素晴らしいこと、 間違ってないと思うよ、と
【フォルカス】 ………
【フォルカス】 でも…あれから誰も ビーチに出なくなりました…
みんなの空気を壊してしまったことを 相当気にしているようだ
――と、その時、
【フォルカス】 …花火?
スピーカーから、 数日後に開催される花火大会の お知らせが聞こえてきた
マスターは、なにげなく言う 花火って空に上っていく間は 美しくないかもしれないけど、
一瞬だけ輝かしい光を放つ だから儚くて、愛しいよね、と
【フォルカス】 …!
【フォルカス】 ………もしかしたら…
【フォルカス】 似ているかも知れませんね
…え?なにが? と聞き返すマスター
【フォルカス】 それは……
【フォルカス】 !!
【フォルカス】 こんな所にも!
気がつくと、 大勢の敵が出現していた
【フォルカス】 リゾートには大勢の人がいる…
【フォルカス】 絶対にここで食い止めます!
武器を取り出すフォルカス
【フォルカス】 行きますっ!
敵の軍勢に斬り込んでいく
【フォルカス】 くっ! やはり数が多過ぎる…! 援軍を……!
……が、 彼女が厳しく見張ってきたため、 仲間の姫達はビーチにいない
【フォルカス】 ……ふふ、 自業自得というやつですね
自分を嘲笑うも、 次第に劣勢に追い込まれていく
【フォルカス】 はぁ…はぁ…! こ、このままでは……
【フォルカス】 あっ!しまっ…!
絶体絶命のピンチ
が、そんな彼女を 助けてくれたのは―――
【如意金箍棒】 大丈夫だった?
【フォルカス】 如意金箍棒!
【フォルカス】 な、なぜここに…
【如意金箍棒】 え!そ、それはぁ~
【如意金箍棒】 だ、誰も羽目を外していないか ビーチを見回っていたの
【如意金箍棒】 ホ、ホントよ! 別に焼きそば買いに 来たとかじゃないからね!!
と言いながら、 彼女の唇には、ほんのりと ソースと青のりが着いている
【如意金箍棒】 こ、これは違うの! ビコウがどうしても食べたいって…
怒られると思い、 言い訳をしてくる彼女に、 フォルカスは言う
【フォルカス】 ウソはいけません
【如意金箍棒】 ウ、ウソじゃないよ!
【フォルカス】 でも、そのおかげで… 助かりました!
【如意金箍棒】 …え?
【フォルカス】 このまま、 助太刀 願えますか!?
【如意金箍棒】 ふふ、もちろん!!
2人は力を合わせ、 敵の群れを倒していく
【フォルカス】 なんでしょう、この安心感
【フォルカス】 仲間は私に力をくれる
【フォルカス】 この力が…仲間が… 私を強くしてくれるんだ!!
新たな力に目覚めた彼女は、 敵の軍勢を一掃するのだった
―――その夜
【フォルカス】 みなさん、どうですか? 花火でもしませんか?
急な提案に驚く姫達
【フォルカス】 これまでは すみませんでした
【フォルカス】 皆さんのためと思って 行動していましたが、かえって 窮屈な思いをさせてしまいましたね
申し訳なさそうに話すフォルカスに 姫達は、気持ちは伝わってるよ! と、笑顔で彼女に応える
【フォルカス】 皆さん… ありがとうございます
彼女を明るく迎え入れ、 みんな楽しそうに 手持ち花火に興じる
【フォルカス】 ありがとうございました、如意金箍棒 今日は本当に助かりました
【如意金箍棒】 ふふ、これも…“繋がり”って ものなのかも
彼女と向き合い、 花火をするフォルカス
――と、そこに 珍しいツーショットだね? と、マスターがやってくる
フォルカスは、 花火に火をつけるマスターに言う
【フォルカス】 因果なものです
【フォルカス】 遊んでいる姫に注意していたけど、 結果的に助けられることになりました
マスターは答える 思いっきり遊んで、思いっきり戦う それでいいんじゃないかな?
【フォルカス】 そうですね
【フォルカス】 私が気負い過ぎてたのかも知れません
【フォルカス】 マスターの言葉… 花火って空に上っていく間は 美しくないかもしれないけど、
【フォルカス】 一瞬だけ輝かしい光を放つ だから儚くて、愛しい
【フォルカス】 それを聞いて、思ったんです
【フォルカス】 私達キル姫は… 花火に似ているって
手に持った 光り輝く花火を見つめながら、 彼女が呟く
【フォルカス】 儚いかも知れないけど… 一瞬でも輝かしい光を放って 散っていきたい
【フォルカス】 ずっと暗い空を 登っていくだけじゃ哀しい
【フォルカス】 戦場に美しい花を…咲かせたい
マスターは言う だからこそ愛しい存在なんだ…と
【フォルカス】 ………ふふっ やっぱり…
【フォルカス】 あまりにも私は、 独りよがりになっていたようです
【フォルカス】 それを教えてくれたあなたには、 感謝してもしきれません
フォルカスは微笑み、 ジッとマスターを見つめるのだった
夏はもうすぐ 終わりを迎えようとしていた
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