240131103 アフロディーテ 『ラブ・ハーモニー』
【アフロディーテ】 今日のわたしのしたことは、 「美しい」とは違う…
【アフロディーテ】 だとしたら、どうすればわたしは 「美しい」ことができるか…
いまだに考察モードの彼女と 一緒に歩いているマスター
しばらく歩いていると、 透き通った水の流れる水辺へと 辿り着いたふたり
その水辺を眺めながら、 マスターは綺麗だなぁと 小さくつぶやいた
【アフロディーテ】 え…?あ、あぁ… そう、綺麗、ですわね
マスターの声を聞いて、 アフロディーテは考察の世界から 帰ってきたようだ
【アフロディーテ】 水辺、ですか… 水浴びをするのも、 よさそうですわね
【アフロディーテ】 せっかくですし、気分転換に 水浴びでもしませんこと?
【アフロディーテ】 では、お先に失礼させて もらいますわね?
そう断るが早いか、 彼女は水辺に入っていき、 ぱしゃりと水を浴びる
【アフロディーテ】 ふう…ずいぶんと長いこと 歩いていましたし、 この冷たさが心地よいですわね…
そう言って水浴びをする 彼女の姿は、 まるで女神のように美しかった
すらりとした手足についた 大粒の水滴が光を反射し…
降り注ぐ太陽光は 彼女を祝福しているようだ
水辺に浸かる彼女の姿に見とれ、 アフロディーテを褒めちぎる マスター
【アフロディーテ】 あら、突然に どうしたのですか?
この場所で水浴びをする アフロディーテは今日一番 美しいとマスターは告げる
自分の思う「美しい」とは、 こういうことだとも、マスターは 彼女に伝えるのだった
【アフロディーテ】 なるほど… マスターにとっては、今この瞬間が 最も美しいのですね…
マスターに感化され、水に浸かった まま考察に入るアフロディーテ
【アフロディーテ】 それは、常にある美しさではなく、 偶発的な組み合わせによって生まれる 美しさであって…
【アフロディーテ】 単に、わたしの姿が水着だから 美しい、というわけではなく…
【アフロディーテ】 あぁ、そういうことなのですね… マスター、わかりましたわ
【アフロディーテ】 マスターが美しいと感じたのは、 わたしの姿とこの水辺の風景が 完璧に調和しているからですね?
長い考察の末、アフロディーテは ひとつの答えに辿り着いたようだ
【アフロディーテ】 そう…「美しさ」とは、 押しつけるものではなく、 心に芽生えてくるもの…
【アフロディーテ】 そして、美しいもの同士が 完璧に調和することによって、 より美しいものが生まれる…
【アフロディーテ】 これは奥義に通じますわね 『ラブ・ハーモニー』 これが、わたしの新奥義ですわ!
【アフロディーテ】 マスター、申し訳ありません わたしが間違っておりましたわ
【アフロディーテ】 わたしの美を押しつけてしまい、 失礼いたしました…
非礼を詫びるアフロディーテだが、 その姿さえも美しく、マスターは いまだに見とれていた
【アフロディーテ】 ふふっ… マスターってば、まだわたしの姿に 見とれているんですの?
ずっと自分のことを見つめている マスターに、アフロディーテは 嬉しそうな笑みを向けるのだった
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