240171203 スイハ 零式・蒼海の氷霧矢
【スイハ】 マスターのマネをしようとして 守るべき人から目を離すなんて… 私は間違っていた…!
【スイハ】 マスターを見つけ出せたなら… もう、絶対離さない…! だからお願い、姿を見せて!
荒れ始めた海を見やり スイハは唇を噛み締め… その目をハッと見開いた
砂浜から少し離れた海上、 そこに浮かぶマスターの姿が あった
【スイハ】 どうしてあんなところにっ!? まさか、敵に追い詰められて…
スイハは近くの浮き輪をつかむと 勢いよく海へと飛び込む
必死に沖へと進んだ彼女の目が 波間に漂うマスターと… 襲いかかる異族達の姿をとらえた
【スイハ】 マスター!
【スイハ】 …だめ、このままでは 間に合わない…!
【スイハ】 …今は、今は他の誰もいらない! ただ一人、大切なマスターだけを!
【スイハ】 マスター…! 私は、あなたのそばに…!
純粋にそれだけを念じた 必死の願い
それが彼女の力を解放し スキル『零式・蒼海の氷霧矢』を 目覚めさせた
手の内に生じた光の矢が 瞬く間に海面を走り抜け… 敵ごと海面を固く凍てつかせる!
【スイハ】 マスター…!
彼女はその氷の道を 一気に駆け抜け…
異族の手からマスターを 救い出したのだった
気がつけば周囲の氷も溶け、 波も穏やかになっていた
スイハとマスターは 疲れきった体を浮き輪に預け ほっと息をつく
【スイハ】 皆と仲良くしたい… この気持ちは本物…
【スイハ】 ですが…そこにマスターが いなければ意味がありません
【スイハ】 …良かった、マスターが無事で (…良かった、マスターが無事で)
意識しないままに 彼女の口から漏れていたのは 心の中の素直な言葉
マスターはそれに気がついていたが あえて指摘はせず ただじっと、彼女のことを見つめる
【スイハ】 …こほん、なんでしょうか 私の顔に、なにかついていますか?
助けてくれて、ありがとう そう伝えるマスターに、 スイハは静かに言葉を返す
【スイハ】 ありがたいお言葉です ですが、当然の役目ですから
いつもの調子に戻った彼女だが マスターは彼女の頬が赤らむのを 見逃しはしなかった
おずおずとしたスイハの眼差しが マスターの視線とぶつかって…
二人はしばしものも言わず 穏やかな波間に ただ揺られ続けるのだった
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