240192212 フェイルノート・誓約・ルシファー 誓約されし溟海の闇弓
真夏の太陽の下、 ビーチバレーを楽しむ姫達
【フェイルノート】
………ふん
フェイルノートは、 目の前で躍動するグラマラスボディを 悔し気な目で見ている
【フェイルノート】
…チッ
また舌打ちしている彼女に、 ほら、落ち着いて …と、ドリンクを渡すマスター
【フェイルノート】
……なにか用？
隣に腰掛けたマスターは、 彼女に言う
みんな、それぞれ個性がある 君は、君のままでいいんだよ …と
【フェイルノート】
…なんのことかしら
素っ気なくそう呟き、 もらったドリンクを一口飲む彼女
そんな彼女の隣にそっと マスターは腰を掛けて話を待った
【フェイルノート】
はぁ……わかってるわよ
でも…
【フェイルノート】
認めたくはないけれど…
羨ましいものは羨ましいわ
素直に告白した彼女に、 そんな君だから出来ることも、 きっとあるよ…と、微笑むマスター
【フェイルノート】
……そうかしら
もちろん！ マスターが満面の笑みで答えた その時――
【フェイルノート】
…！
【フェイルノート】
あれは……異族！
彼女の言葉通り、 海岸には異族の群れが出現していた
【フェイルノート】
私も向かうわ
お前様に嫌なところばかりを
見せるわけにもいかないものね
フェイルノートに先んじて、 討伐に向かう姫達
グラマラスボディを バインバイン躍動させ、 次々に異族を倒していく
【フェイルノート】
……ぬぅぅぅ、これ見よがしに！
冷静に敵に対応はするものの 嫉妬が隠せないフェイルノート
――と、
【フェイルノート】
……！
【フェイルノート】
なに…？悲鳴……？
見ると、 形勢不利になった異族の一体が、 小さな女の子を人質に取っている
【フェイルノート】
やってくれたわね…
【フェイルノート】
その子を放しなさい！！
だが異族は少女を抱えたまま、 物凄い速さで海面を泳いで 逃げていくのだった
【フェイルノート】
…くっ！
急いで海に入り、異族を追う姫達
だが人質を取られていることもあり、 容易に追いつくことは出来ない
【フェイルノート】
考えなさい、考えるのよ
この状況をどう打開できるかを…
【フェイルノート】
……！！
その時、彼女の脳裏に マスターの言葉が浮かんだ
無駄がないことが良いことも あるはずだよ
そんな君だから出来ることも、 きっとあるよ
【フェイルノート】
私だから…出来ること！
次の瞬間、彼女が海に飛び込んだ
いくら泳ぎの得意なフェイルノート でも、異族は人質を取っている！ どうするの！？と、口々に叫ぶ姫達
だがフェイルノートの泳ぎを 見たマスターは声を上げる そうか、その手があったか！
一方、姫達から逃げ果せたと 海上で得意げな異族
――と、その時！！
【フェイルノート】
ぷはぁっ…！
【異族】 ギギッ……！？
【フェイルノート】
はぁ…はぁ…やっと追いついた
なんと、目の前に フェイルノートが顔を出したのだ
【異族】 ギギギ……！？
【フェイルノート】
どうして？
…って思ってるわよね？
【フェイルノート】
簡単よ
【フェイルノート】
私は他の姫達と違って
水の抵抗が少ない上に
泳ぎも得意なの
【フェイルノート】
お前が泳いでいる下を、
潜水で泳いで追いついたってわけ
気付かなかった？
【異族】 ギギッ！！
【フェイルノート】
まったく…
こんなこと、
私に説明させないでくれる？
【フェイルノート】
やっぱり…気に入らないから！！
異族を攻撃し、 少女を救い出すフェイルノート
被弾した異族は、 また泳いで逃げていく
【フェイルノート】
もう大丈夫よ
海岸まで泳げるかしら？
力強くうなずく少女を見据え、 フェイルノートは宣言する
【フェイルノート】
安心して？
悪者は残らず……
やっつけてくるから！！
すぐ近くの海岸にいる マスターの所まで、 泳いでいく少女
【フェイルノート】
頼んだわよ、お前様！！
海岸に到達した少女を抱え、 マスターが親指を立てて見せた
【フェイルノート】
やぁっ！！
次の瞬間、 凄まじい速度で異族を追い、 海岸に上がる彼女
【フェイルノート】
……ふぅ
【フェイルノート】
これで全部かしら…？
合流した異族の群れに向かって、 威勢よく啖呵を切る
【フェイルノート】
私の知恵で道を示し、
ルシファーの力で勝利を掴むの
【フェイルノート】
それがフェイルノート・
誓約(コール)・
ルシファーの王道よ
【フェイルノート】
弱者が怯え続ける世界はもう終わり
強者として、みんな
私が守ってあげるわ！
【フェイルノート】
無駄がない、この動きでね
マスターの言葉で気付きを得た 彼女は、新たなる力を獲得
【フェイルノート】
くらいなさいっ！
新技！『誓約されし溟海の闇弓』！！
その大いなる力で、見事 異族の群れを撃破するのだった
【フェイルノート】
これが強者の証よ
――数時間後
フェイルノートは、 マスターに自身の心のうちを 語っていた
【フェイルノート】
強者たるもの、
いかなる時も輝きを
失ってはならない
【フェイルノート】
…なんて、
偉そうに言ってたけど
【フェイルノート】
お前様には
見破られていたようね？
私の虚勢を
【フェイルノート】
でも、もう大丈夫よ
【フェイルノート】
お前様のおかげで…
私には私なりの良さがある！
そう思えるようになったから
フェイルノートは胸を張り、 堂々と宣言する
それは良かった …と、微笑むマスター
だが……
【フェイルノート】
………
マスターの視線は、 『ある部分』に注がれており…
【フェイルノート】
お前様……
そんなマスターを、 冷ややかな目で見ながら、 彼女は呟く
【フェイルノート】
私の水着姿を見て、
『無駄がない』と
思ったでしょう？
【フェイルノート】
怒らないから、
正直に言ってみなさい
【フェイルノート】
さあっ…！
腕を組み、怒った顔は 恐ろしくも、 どこかいじらしかった
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