250051103 ヴァジュラ 『至純至精ビーナス』
自分の姿を捜すマスターから逃れ ヴァジュラは一人、 自己嫌悪におちいっていた…
【ヴァジュラ】 はぁ…またしくじっちゃったなぁ どうして素直になれないんだろう あたしってヤツは…
【ヴァジュラ】 マスターは、あたしのことを 気遣ってくれていたのに… 一人でへそ曲げて…
【ヴァジュラ】 マスターがあたしより 上達したことに 嫉妬しちまった…くっ!
【ヴァジュラ】 ヴァジュラ…あんた、情けないよ よりによってマスター相手に こんな…つまらないことで!
【ヴァジュラ】 でも…マスターに なんて謝ればいいんだよ なんて…言えば…いいんだよ…
【ヴァジュラ】 はぁ、自己嫌悪だぜ… …ん? なんだ?
浜辺のほうがやけに騒がしい いったいなにがあったのだろうかと ヴァジュラは声のほうへと向かう
浜辺に着いたヴァジュラは 沖を見て騒ぐ人だかりに近づき、 その一人に声をかけてみる
【ヴァジュラ】 …なんだって!? 子供がボートで沖に流されたぁ?
【ヴァジュラ】 そうか…離岸流ってヤツか あれに乗ると、 一気に沖まで流されるからね
【ヴァジュラ】 わかった! あたしが助けに行くよ どっちの方に流され…え?
【ヴァジュラ】 若い男がその子を助けに? サーフボードでパドリングして? …それ、絶対にマスターだ!
【ヴァジュラ】 …え、赤毛の女の子が来たら 伝えてくれって? な、なにを…?
『もしも赤毛の女の子が ここに来たら フォローは頼むと伝えて欲しい』
【ヴァジュラ】 赤毛の女の子って…! それ…あたしのことだよ…っ! マスターっ!!
ヴァジュラは慌てて海に飛び込む マスターが自分のことを 信じて待ってくれているのだ!
ヴァジュラは沖合で流されている ボートを見つけ、 乗っていた子供とマスターを見つけた
【ヴァジュラ】 まったく…一人で なに無謀なことしてるんだよ!
【ヴァジュラ】 …え、先に行ってても、 後から絶対にあたしが来るって …信じてたから?
【ヴァジュラ】 マスター…アンタってやつは…! まったく、ば、バカだよ! …まったく…っ!
どんな時にでも自分を信じてくれる マスターの真心に気づき、 ヴァジュラの胸が熱くなる
【ヴァジュラ】 早く戻らないと… また流されちまう! さ、戻るよ!!
けど、男の子を連れて 波に乗るのは… そう言い淀むマスター
【ヴァジュラ】 大丈夫! まかせとけ!! マスターの信頼が力をくれたんだ!
【ヴァジュラ】 さ、マスターはしっかり 男の子の抱えてんだよ! 『至純至精ビーナス』!!
彼女は新たなスキルを習得し その力でマスター達の乗ったボードを 一気に浜辺へと運んだのだった
【ヴァジュラ】 あ、ありがとう! これで…また一つ強くなれた! 成長できたよ、マスター!!
一人、浜に戻ってきたヴァジュラに マスターは凄かったよ 本当にありがとうと笑顔で言った
【ヴァジュラ】 え、あ、う、うん… ま、マスターにもそんなに 喜んでもらえるなんて…
マスターの真っ直ぐな想いに、 ヴァジュラはなんだか 気恥ずかしくなる
【ヴァジュラ】 ほ、ほら、砂まみれだから シャワー浴びにいこう! なにやってんだよ、行くよ…っ!
【ヴァジュラ】 はーっ、さっぱりした! マスターもさっぱりしたって? そりゃ良かった…
【ヴァジュラ】 ま、マスター、あのさ… さっきは、わ、悪かったよ
【ヴァジュラ】 あたし、大人げなかったと思う 本当にごめん…
素直に謝るヴァジュラの言葉に 優しく微笑むマスター
【ヴァジュラ】 え、許してくれる? …そ、そうか、良かった!
【ヴァジュラ】 それならさ、もう一度 練習につきあってくれよ!
【ヴァジュラ】 マスターのアドバイス、 試してみるから!
【ヴァジュラ】 早く波に乗れるようになって… マスターと一緒に、 サーフィンを楽しみたいからな
【ヴァジュラ】 なあ、いいだろう? イヤとは言わせないぜ…?
マスターは自分と楽しみたいと 言ってくれるヴァジュラに 嬉しそうに頷くのであった
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