310121211 アダマス・D. plug・アイム 身の丈を超えた大願
【アダマス】 あたしに燃やされたいってのは、 あんた…?
マスターの目を見据え、 尋ねるひとりの姫
【アダマス】 …ってわけじゃなさそうだね
【アダマス】 まあ、いいや
【アダマス】 あんたと一緒なら たくさん燃やせそうだし、 ついてってあげる
【アダマス】 あたしはアダマス・ D(ドミネイト).plug(プラグ)・ アイム
【アダマス】 炎に魅せられ、 すべてを焼き尽くす女よ
ニヤリと不敵に微笑む彼女
その瞳の奥には、 炎のような苛烈さが 宿って見える
これが、アダマスとマスター 二人の出会いだった
――朝
【アダマス】 おはよ♪ 眠気覚ましに大きな炎を…
【アダマス】 …ダメ?どうして? きっとみんな飛び起きるわよ?
【アダマス】 はあ…わかったわ ああ~燃やしたいなぁ
そう言って、 指先に小さな炎を 作って見せる彼女
思った通り、苛烈で 過激な性格のようだ
そんな苛烈さは、 昼食の時にも――
【アダマス】 料理っていうのも、 やってみると面白いわね じわじわと食材に火が通って…
【アダマス】 あんたも、こんがり焼けたら 少しは見れるように なるんじゃないの?
悪戯っぽく笑い、 また炎を出して マスターを驚かす
【アダマス】 ふふっ、なにビックリしてるの?
【アダマス】 なんでも燃やしたくなるのは、 悪魔アイムの影響よ 仕方ないでしょ?
なんでも燃やしたくなる衝動は、 戦闘の時には特に顕著で――
【アダマス】 ほら、ほら!
【アダマス】 ちんたらしてたら、 あたしが燃やしちゃうよ?
【アダマス】 あっはははっ! 燃え盛りなさい!
大きな炎で、 一気に敵を燃やし尽くす
さらに戦闘が無い時でも……
【アダマス】 ねぇ、マスター あれ、燃やしていい? いいわよね?
衝動にかられ、 建物を燃やそうとしたがる
【アダマス】 え?なに?ダメ……?
そんなこと、 もちろんマスターが止めるのだが、 そうなると……
【アダマス】 なんで命令されなきゃなんないのよ!
【アダマス】 だったら、 あんたを燃やしてやろうか!?
こんな感じで、 いつもマスターに噛みつく
そんな調子のため、 彼女は入隊数日にして、
すっかり姫達に怯えられ、 距離が出来てしまっていた
【アダマス】 ……ふん
【アダマス】 …ったく、 どいつもこいつも 情けないわねぇ
このままじゃ孤立するのでは… そう心配したマスターは、 彼女に声を掛け……
【アダマス】 なに?余計なお世話よっ! このマヌケマスター!
…ようとしたが、 またすぐに罵倒されてしまった
なぜ、そんなに僕を嫌うんだい? 尋ねるマスター
【アダマス】 ……ふん
【アダマス】 あたしが入隊した時、 あんた言ったわよね?
【アダマス】 『世界を救いたい』って
【アダマス】 その時、思ったの
【アダマス】 大した力も無いくせに…って
【アダマス】 いい?知らないなら、教えてあげる
【アダマス】 身の丈を超えた大願を持つ奴は、 いつか自分の炎で身を滅ぼすものよ
【アダマス】 そうなる前に… 大言を吐くあんたを、 あたしの炎で焼いてあげようか?
手から炎を出して脅す彼女に、 マスターは怯むことなく反論する
世界を救うなんて、 確かに僕の身の丈を超えた 願いかも知れない…と
【アダマス】 『かも』…じゃなくて、 そうなんだっての
彼女の目を見据え、 マスターは言い放つ
だけど… 絶対にやり遂げてみせる 人々を守るために……と
【アダマス】 ………
【アダマス】 ……本気?
【アダマス】 だったら……
【アダマス】 やれるかどうか、 見せてもらおうじゃない
だが彼女から出た言葉は、 炎とは対照的な 冷ややかなものだった
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