310271214 クラウ・ソラス・D. plug・ベリアル 魔眼『価値なき抵抗』
今日の任務を完了し 隊へ帰還するマスター達
先ほどの戦闘ではクラウ・ソラスが 味方をかばい、右腕に ダメージを負っていた
大丈夫だった? とマスターは声をかける
【クラウ・ソラス】 ああ、すまないマスター 後にしてくれ
素っ気無くそう言って 他の姫達のほうへ行くクラウ・ソラス
どうやら先に予定があったようだ
【クラウ・ソラス】 む…義手の動きが悪いな… 他の姫達と資材の運搬をする 契約を交わしていたんだが…
そう言って悩ましそうに クラウ・ソラスは右腕を抑える
他の姫達は気を使って 「後でいいよ」 と微笑んだ
【クラウ・ソラス】 ふむ、申し訳ない 後で必ず行こう
そう約束して クラウ・ソラスはテーブルに座り 義手のメンテナンスを始めた
【クラウ・ソラス】 …だいぶ酷使してしまったか 『右腕』が私にとっての相棒 とはいえ、つい頼りすぎてしまったか
【クラウ・ソラス】 ああ、それで、マスター 何か話でもあるのか?
そんな大事な話じゃないから、 座りながらでいいよ と微笑むマスター
【クラウ・ソラス】 …世間話か? 対価があるわけでもないだろうに 相変わらずマメな性格だな
【クラウ・ソラス】 いや、それもある意味で傲慢か ふふ、さすがはマスターだ 傲慢の限りを尽くしているな
そんな邪悪なものじゃないよ… とマスターは苦笑する
【クラウ・ソラス】 あれから私も、マスターを見習って より傲慢に戦うようにしたのだ
【クラウ・ソラス】 魔獣どもに味方が負傷させられるのも つまらないからな 今日のように庇うこともある
【クラウ・ソラス】 …最近はなんだか契約の数が 増えてしまっているのが 悩みの種なのだが…
相変わらずな部分はあるが 契約がなくとも自主的に 行動するようになったクラウ・ソラス
傲慢さが形を変えたことにより 隊の姫達からの評価も徐々に上がり 信頼を得つつあるようだった
【クラウ・ソラス】 それに、恩を売ることで 後の契約の対価を引き上げる という素晴らしい効果もある
【クラウ・ソラス】 あえて名前をつけるならば 魔眼『価値なき抵抗』 といったところだ
クラウ・ソラスはそう言って 満足そうに微笑んだ
いつも隊のためにありがとう とマスターは礼を述べる
彼女のために何かできないかと思い 義手のメンテナンスを手伝おうか? とマスターは提案する
【クラウ・ソラス】 なぜだ? 私に契約をもちかけるというのか?
みんなのために頑張ってくれる 君の力になりたいんだ と好意を伝えるマスター
【クラウ・ソラス】 …我を通すか 相変わらず、傲慢な人だ
【クラウ・ソラス】 だが、遠慮させてもらう
キッパリと断られてしまい、 どうして…っ!? とマスターは理由を尋ねる
【クラウ・ソラス】 私自身の傲慢な望みに対して 対価は貰いたくないんだ …契約にしたくない
【クラウ・ソラス】 マスターが、隊のみんなが 笑顔でいてくれれば、それが…
それ以降の言葉は 右腕を調節するネジの音に隠れて 聞こえなくなってしまった
しかし満足そうに微笑む 彼女の顔を見て、マスターも 満足そうに微笑み返すのだった
Next: 310281211