310407213 モラルタ 狂奏歌劇・狩
その時、モラルタを呼ぶ声がした
【モラルタ】 !?
振り返ると、そこにはマスターの姿 息が切れている
【モラルタ】 なっ、なんでここに!?
どうやら、 モラルタを迎えにきたようだった
【モラルタ】 迎えに…? なんで?
心配だったから と、マスターがモラルタに告げる
【モラルタ】 しん、ぱい…?
動揺するモラルタ それは、無理もないことだった
今までベガルタ以外に モラルタを心配してくれる人は いなかったからである
【モラルタ】 ん? 胸の奥がなんだか むずむずするぞ…?
そんなモラルタには気づかず マスターは持っていたバスケットから クッキーを取り出した
奴隷区の子供から貰ったものだ それをモラルタに渡す
来年もまた一緒に楽しもう とマスターが言う
【モラルタ】 来年?
ハロウィンは毎年ある 来年のハロウィンも一緒に過ごそう モラルタに約束するマスター
【モラルタ】 …“また”があるなら ベガとマスターと ハロウィンを迎えたい
【モラルタ】 そのために 私はベガルタを守る …マスターのことも!
モラルタの目に、今まで見たことのない 光が灯ると、突然叫び出す
【モラルタ】 『狂奏歌劇・狩』だ!
【モラルタ】 ふふふ どーだ、新しい力に目覚めたぞ
マスターを守りたいという想いから 得た新しいスキルだった
マスターは微笑み、モラルタに感謝を告げる そして、手を差し出した
ベガルタを置いてきている 早く戻って安心させるべきだと モラルタを促すマスター
【モラルタ】 うん…!
モラルタはマスターの手を 勢いよく取る
【モラルタ】 うわ…マスターの手、 ベガより全然大きいぞ…!
初めての感触に戸惑うモラルタ
【モラルタ】 なっ、なんでモラのこと 一人にしたのっ
【モラルタ】 一人にするなんて かわいそうじゃない!!
急にマスターを意識してしまい 恥ずかしくなったのか 八つ当たりを始めるモラルタ
それを気にせず、マスターは お菓子の入った バスケットをそっとモラルタに渡す
このバスケットのお菓子を ベガルタへのお詫びにしよう そう言って、マスターが微笑む
【モラルタ】 …………
無言のまま、 モラルタはバスケットから キャラメルを取り出す
【モラルタ】 その前に…
そのキャラメルをマスターに 力強く差し出すモラルタ
マスターが不思議そうにしていると モラルタの明るい声が、街の静寂を 切り裂くように響いた
【モラルタ】 はい、 迎えに来てくれたお礼!
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