340031213 アポロン・聖鎖・ラドゥエリエル 天戒『創造の記録』
アポロンとマスターはその後も、 行く先々で人々の困りごとを 解決していった…
荒れた大地の開墾、 悪徳商人の成敗… 流行病の根絶…
困りごとを耳にする度、 すぐに駆けつけ解決する そんな毎日を送り…
そして遂には、目立った 困りごとは無くなってしまった
【アポロン】 と、いうわけで~! アポロンのなんでも相談所! 本日開業だにょ~ん!
困りごとが無いのなら、 向こうから来て貰おう
という考えから、 街の外の空き家を借り 相談所を始めることにした
【アポロン】 …はぁ
【アポロン】 初日から行列が並ぶと 思ってたんだけどなぁ~
やはりそうそう 困りごとはないようだ
【アポロン】 ううん困りごとがあっても、 見ず知らずのキル姫に 相談するのは抵抗あるのかな
それもあるだろう、 と同意するマスター
なかなか相談出来ないからこそ、 困りごとになることもある
【アポロン】 難しい話だね… って、んん?
と、そんな時だった
相談所の前にぽつんと 小さな子供たちが立っていた
【アポロン】 どうしたの? お嬢ちゃんたち? もしかして迷子?
【アポロン】 …ええっ? ボクに相談事!?
【アポロン】 マスター!マスター! 最初の相談者だよ! お茶とお菓子!
意気揚々と幼い少女たちを 招き入れるアポロンは さっそく困りごとを聞く
【アポロン】 ふむふむ…
【アポロン】 そっかあ、兄弟が多い家で お小遣いが少ない…
【アポロン】 だからみんなでお金を合わせて 何かを買おうってことに なったんだけど…
【アポロン】 何を買うのが一番いいか… って相談かぁ
【アポロン】 えへへ♪大丈夫! ボクに任せて!
【アポロン】 マスターも見てて! 今度こそしっかり 解決してみせるから!
これまでの経験で 自信をつけたアポロンは さっそく姉妹と出かける
【アポロン】 やっぱり子供はお菓子だよね! みんなで食べれば幸せいっぱい!
【アポロン】 …え?お菓子は食べたら なくなるからイヤって子がいる? ううう~~ん…
【アポロン】 じゃあ玩具! これなんて可愛いよ♪
【アポロン】 …兄弟には男も女も いるから可愛いのはダメ?
【アポロン】 そ、それじゃあ みんなが使えるような…
【アポロン】 それだと取り合いになって困る? うううううう~~~~
【アポロン】 む、難しいよぉ… どうしよ、マスター…
しばらくして、しゅんとした 様子で戻ってきたアポロン
どうやら予想以上の難題らしい
【アポロン】 子供たちみんなが納得して、 取り合いにもならない… そんな物って、あるかなぁ?
【アポロン】 むむむ…
考え込むアポロンに対し、 マスターは大事な物はお金で 買える物とは限らない、と告げた
【アポロン】 そっか… 何かを買ったから それで解決する…
【アポロン】 それがそもそも 間違ってたのかも!
マスターの言葉に 顔を明るくしたアポロンは 姉妹に向き直る
【アポロン】 ねえ、君たちみんなに とって一番大切なこと って何かな?
アポロンの言葉を聞いて、 首を傾げる姉妹たち
が、しばらくして 何かに気付いたかのように 彼女たちは家へと帰っていった
それから数日後…
【アポロン】 ふぅ…今日も暇だなぁ
【アポロン】 でも、悩み事が無いって 平和でいいことだもんね
【アポロン】 これはこれで…
とアポロンがマスターと 平和な時間を送る中、 先日の姉妹が訪ねてきた
【アポロン】 あっ♪あれからどうしたの? みんなが納得することは出来た?
アポロンの言葉に 笑顔で頷く姉妹
どうやら兄弟みんなは 両親へプレゼントを 贈ることにしたようだ
ことの顛末を告げ、 姉妹は笑顔で感謝の言葉を アポロンへ贈る
【アポロン】 …ううん、ボクは 何もしてないよ
【アポロン】 みんなが自分で考えたら、 一番いい解決方法が生まれたんだ
アポロンがそう語ると、 姉妹は笑顔で相談所を 出て行ったのだった…
【アポロン】 マスター、ボクひとつ 大切なことに気付いたよ
姉妹が去った後、 アポロンはマスターを見て、 照れくさそうに笑う
【アポロン】 ボクがなんでも やるんじゃなくて、時には 相手を信じて任せてみること
【アポロン】 それもきっと、 ひとつの解決法なんだ♪
【アポロン】 ありがとう、マスター! えへへ、またキミに 助けて貰っちゃった♪
そんなアポロンに対し、 マスターは自分もアポロンを 信じているからこそだと言う
【アポロン】 うんっ♪
【アポロン】 これからもみんなのため! そして大切なキミのため!
【アポロン】 アポロンは、どんな 小さな悩みでも解決しちゃうよ♪
ふたりの信じ合う心が 天戒『創造の記録』という 新たな力として宿る
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