340061201 梓弓・獣刻・メデューサ 蛇が示す凶兆
【梓弓】 わたくしの瞳に囚われ、 動けぬ哀れな的よ!
【トレイセーマ兵】 ぎ、あ…
【梓弓】 鳴弦の音を聞きたい方は いらっしゃいますか?
戦場の最前線に立つ彼女は、 最近マスターの隊に加わった梓弓
かつてトレイセーマにいた、 メデューサを獣刻された斬ル姫だ
彼女の持つ、メデューサの邪眼 それに囚われ動けなくなった兵を 容赦なく射抜く彼女の目は冷たく鋭い
しかし―
【梓弓】 くっ…! この、くらいなさいっ!
弓を扱う彼女が最前線に立つ そのせいで、常に傷が絶えない
どうしてあんなに、 自分を省みないんだろう…
心配するマスターをよそに 梓弓を初めとした隊の斬ル姫達が あたりの敵を一掃する
【梓弓】 …っ 失礼します…
苦痛に顔をゆがめる梓弓だが、 戦闘が終わった途端、 足早に戦場を離れてしまう
そんな彼女を見ていると、 放っておけない マスターはそんな風に思った
しばらくして、梓弓がよくいるという 森にやって来たマスター
【梓弓】 ふふっ…ふふふふっ…
深い森の中、 かすかに聞こえる彼女の声を頼りに マスターは奥に進んでいく
すると―
【梓弓】 さあ…本日の吉凶は… いかがでしょうか…?
どこか陰のある笑みを浮かべた 梓弓が手の中で なにかを熱心に転がしていた
あ、梓弓…?
【梓弓】 あ、ああ…マスターでしたか… どうかなさいましたか?
声を掛けた途端、 先ほどまでの暗い気配が 霧散する
なにをしているのかと思って 声を掛けたんだ なんだかすごく熱心だったし…
【梓弓】 ああ、これは占いです こちらで吉凶を占います
そうして手を開いて 見せてくれたのは… 白い骨だった
【梓弓】 蛇の骨です 骨を使った占いというのは 昔からあるのですが…
【梓弓】 せっかくですし、 あなた様の吉凶を 占ってみませんか?
【梓弓】 ちょっとした指針には なると思います
梓弓の言葉を聞いて、 頷くマスター
【梓弓】 では… 我が蛇よ… 我が主の進路を示せ
どこか物々しい雰囲気が 広がる
彼女の醸し出す空気に 飲まれそうになる その瞬間―
【梓弓】 え? これは…
乾いた音が辺りに響く 見れば、彼女の持つ骨の一つが 二つに割れていた
【梓弓】 マスター、 この数日間お気をつけ下さい
【梓弓】 大きな災いの予兆です 気を付けていて損はありません
梓弓の迫力に押され、 マスターは小さく頷いた
なにもなければ いいんだけど…
一抹の不安が、 マスターの脳裏をよぎった
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