340171211 神令スイハ 静かなすれ違い
【スイハ】 食事を共に? 問題ないが (独りで食べたいが)
公私ともに「孤高」を貫くスイハは 食事時であっても そのスタンスを変えない
宿営地の端っこで ひっそりと食事を取っていたスイハに 同席を提案するマスター
【スイハ】 それは命令?
少量の食べ物を細かく咀嚼しながら 目も合わせず言葉を発するスイハ
彼女の相変わらず素っ気ない態度に 命令、というわけではないけど…と 言葉を濁すマスター
【スイハ】 了承(命令でないのなら 必要性は感じられないが ここで議論しても不毛だな)
…隊には慣れた? マスターは食事を 卓に置きながら尋ねる
【スイハ】 ああ(慣れるも何も 仲間も助力も不要… 聞いて何になる…?)
…ケガとか、してない? マスターは食事を 広げながら尋ねる
【スイハ】 ああ(体は常に最良に保ってあるし あの程度の任務、ケガを負う者の 気が知れない)
【スイハ】 (そもそも私がケガをしたとして それを聞いてどうする? 治癒でもしてくれるというのか?)
【スイハ】 (無理だろうな バイブスにそんな力はないし むしろバイブスは争いを呼ぶ…)
………食事、おいしい? マスターは食器を手に取り、尋ねる
【スイハ】 ああ(愚問だな… 食事は状態を維持するのに 必要なこと)
【スイハ】 (それ以外の価値なんてない 誰かと食べる時間など不要 会話なんて、その時間の浪費…)
【スイハ】 (感想を共有するなど 価値もなければ意味もない)
【スイハ】 (まあ、私は常に最良の食事を用意し 心がけているから栄養価・味・量 どれを取っても申し分ないけれど)
【スイハ】 (食事は習慣。自らの力に直結する だからこそ、おろそかには出来ない そこをわかっていない者が多い)
【スイハ】 (食事時の意識ひとつで 消化・吸収の仕方や、その後の活動に 大きな影響を及ぼす)
【スイハ】 (本来、こうゴチャゴチャと 物事を考えながら食べるべきでもない 同席を受け入れたのは失敗だったな)
マスターは次第に無言になる スイハは表向き、マスターとの食事を 了承しているものの…
【スイハ】 (うん 今度からは皆と もう少し離れて食べよう…)
彼女から聞こえてくる小声では、 全く乗り気でないことが明白…
【スイハ】 (それにしても 共に食事をしようなど… なぜ、この人は私に声を…?)
チラと一瞬 マスターへ目線を向けるスイハ
その視界にはマスターの他 奥で和気あいあいと食事をする 隊のキル姫たちも見える
【スイハ】 …
その様子に気づいたマスターは 一緒に食べる? と、スイハを誘う
【スイハ】 …! (…ああ、なるほど)
食事を残したまま、その場で すっくと立ち上がるスイハ
【スイハ】 よくも、そう気安く…
マスターを見下す形となるスイハ
【スイハ】 何度も言わせないでもらいたい
【スイハ】 私が司るは共鳴無き勇気─孤高 だからこそ、私に仲間など不要
【スイハ】 私という矢さえあれば それで問題ない
【スイハ】 (私の孤独な状況に対して 同情や憐みを持って近づいて来た というワケだ。あなたは)
…! 違う!
【スイハ】 !?
思わず、スイハの心の声 (彼女から絶えず漏れる小声)に 答えてしまうマスター
【スイハ】 …私の、考えを、読むのか …これが、バイブスの力か
いや、それも違うような… 今度は考えを口に出さず 抑えたマスターだが…
【スイハ】 ……私の心に入るな
かつてバイブスが共鳴し 禍々しい仮面が取れた スイハだったが…
その下には マスターを射抜く 冷々たる視線があった
【スイハ】 私は犬が嫌いだ
【スイハ】 失礼だが 今のあなたは まとわりついてくるソレのよう
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