350061211 メギド・獣刻・バロール 拒絶の瞳
新たに入隊した姫が、 マスターを見据えて呟く
【メギド】 この私の前に立つ、 もしや私を害すつもり…?
【メギド】 ……そうではない?
【メギド】 ですが、 それを証明する術がないのなら 弁明は無意味
【メギド】 …いいでしょう、 貴方のことを見定めましょう
【メギド】 もし貴方が穢れた存在であるのなら、 私の…
【メギド】 メギド・獣刻(ぷらんと)・ バロールの魔眼が、 貴方をいつか焼くでしょうけれど
バロールの魔眼は 大勢の敵を倒すという 不思議な力を持つという
その言葉通り、彼女は 魔眼を持つ王・バロールを 霊装支配されている
【メギド】 ……
その魔眼で、 マスターの瞳の奥を覗き込んだ後、 彼女はどこへともなく立ち去った
その後も、 マスターはおろか、 隊の姫にも心を開くことのない彼女
【メギド】 ……
常に距離を保ったまま、 壁を作ったまま、 一同を見定めているようだ
マスターが みんなで一緒に食事を摂ろう と誘っても……
【メギド】 誰かが私を毒殺する 可能性すらあるのです
【メギド】 やはり食事は、 自らの手で作らなければ…
そう言って、一人で作って食べる
入浴の際に、 キル姫達に誘われても……
【メギド】 いつ、誰に襲われるか 分からないのに、 他人と一緒に入るだなんて……
――と、ひっそりと一人で済ませる
戦闘のない休日も……
【メギド】 みんなで遊びに……?
メギドを誘いに来たマスターと姫達
【メギド】 ……
共に世界を救う仲間なんだし …と笑顔を見せるマスター
【メギド】 …共に……
一同の顔を見渡し、彼女は答えた
【メギド】 お断りします
【メギド】 私は…… 一人で結構ですから
そう答え、相変わらず 誰とも関わらずに過ごすのだった
そんな、ある日の戦闘で――
【メギド】 ……援護?
【メギド】 私に……ですか?
君一人だと、苦戦するだろうし 負傷する可能性が高いからね みんなと連携を取ってほしい
【メギド】 ……必要ありません
【メギド】 私は一人で充分ですから
マスターの命令を聞かず、 仲間と共闘することなく、 たった独りで敵を撃破したのだった
【メギド】 ……だから言ったでしょう
【メギド】 『一人』で充分だと
【メギド】 共に世界を救おうなど…… 興味がありません
【メギド】 私は私に害を為す者を排除できれば それでいいのです
魔眼で姫達を見据え、 そのまま一人で去っていった
そんなメギドの背中を見送る姫達
中には、彼女を恐れる姫も 現れるようになっていた
これでは隊にいながら、 いないのと同じ……
心配になったマスターは、 メギドの後を追った
そうして、 荒野へとやってきたマスター
彼女は一体、どこに……? 辺りを見渡す
――すると
銃声と共に、 恐れて逃げていく魔獣を発見した
もしかして…… マスターの視線の先には、 今にも崩れそうな廃墟が
こんな所に…… そう思い、メギドを探すマスター
――と、その時
マスターの足元に、 数発の銃弾がめり込んだ
飛んできた先を見るマスター
!! そこには銃を構えたメギドの姿が
【メギド】 ……
見据えてくる彼女に、 マスターは尋ねる
僕は隊のマスター、いわば君の主だ なぜ、こんなことをするんだい?と
【メギド】 ……なぜ?
冷たい視線を向けたまま、 彼女は答えた
【メギド】 『主』と言いましたか……?
【メギド】 今日まで、貴方を……
【メギド】 隊の姫達を見定めてきましたが、 私にとっては……
【メギド】 決して相容れることのない 敵同然の存在と分かりました
……!
その発言に、 驚きを隠せないマスターだった
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