350361211 サンジョウノ・春姫 英雄譚の世界
【春姫】
わたくしにできることであれば
なんでもお申し付けくださいませ
【春姫】
戦場では
直接戦うことはできませんが、
お洗濯など身の回りのお世話は…
春姫が隊の姫達に 自分にできることはないかと 聞いてまわっているようだ
異なる世界から訪れた 冒険者だという彼女だが 直接的な戦闘はあまり得意ではない
だが、後衛としての支援能力は 頼もしいもので、戦闘以外でも 姫達の世話を甲斐甲斐しく焼いている
【春姫】
戦闘もひと段落致しましたし、
お茶を淹れてきますね
献身的すぎるその姿勢は ありがたいとともに申し訳なくも 思ってしまうマスター
何かお礼ができないかと マスターが考えていると…
【春姫】
あの…マスター様
お茶が入りましたので
一息つかれませんか？
いろいろ考えてしまうが せっかくだ、と春姫の誘いを ありがたく受けるマスター
【春姫】
不満…ですか？
いい機会だ、と春姫に 隊の生活において不便はないかと 聞いてみたマスター
【春姫】
そうですね…不満というものは
ないのですが、知らない世界
ということに不安はありました
【春姫】
しかしながら、自身が暮らしていた
世界とは異なる場所…ということに
胸の高鳴りを感じております
意外な答えに驚くマスター どういうことなのだろうと その理由を聞いてみる
【春姫】
その、笑わないでくださいますか？
…わたくしは英雄譚というものに
憧れを抱いているのです
英雄譚、それは世界を救う 英雄と称される者の冒険を記した物語
【春姫】
住み慣れた地を離れ
理すらも異なる地での冒険…
【春姫】
それはまさにわたくしが
幼き頃より愛読していた
英雄譚のようで…わくわくするのです
元の世界ではダンジョンという 様々な現象の起こる迷宮での 出来事がそれに該当したらしい
【春姫】
今はマスター様の隊に
身を寄せさせていただいているので
不安なことはありませんし…
【春姫】
むしろ、新しいものを見て
知ることが楽しくさえ思えて…
【春姫】
なんて、
そんなことを思うのは
おかしい…でしょうか？
そんなことはないよ とマスター
けれど、この世界にも 危険なことは多いから 気を付けてね、とマスターは忠告する
【春姫】
はい…ありがとうございます
マスター様はお優しいのですね
【春姫】
こんなわたくしを
気遣ってくださるなんて…
申し訳なさそうに縮こまる春姫に それは当然のことだよ とマスターは言う
【春姫】
その優しさに報いるためにも
より一層皆さんのお役に立てるよう
尽力してまいります
真面目過ぎる春姫は、 戦闘で、後方支援でも 積極的にやってくれる
それは戦闘の中で 目立つ存在ということだ
そのことが春姫にとって 危険なことにならなければいいけど と、心配になるマスターであった
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