510023212 レーヴァテイン・擬彩 家族
【レーヴァテイン】 ……
寂しげな目で遠くを眺めながら、 一人佇むレーヴァテイン
そんな彼女にマスターが声を掛ける “世界を終わらせる魔剣”って どういう意味?
【レーヴァテイン】 ………
マスターを一瞥した後、 また遠くを眺め、 彼女が答える
【レーヴァテイン】 ………そのままの意味よ
【レーヴァテイン】 魔剣レーヴァテインの力と、 異族の力を併せ持つ私に掛かれば、 世界なんて吹き飛ぶってこと
ぼんやりと呟く彼女に、 マスターが尋ねる
だから…あえて仲間を 寄せ付けないようにしてるの?と
【レーヴァテイン】 !!
驚く彼女 どうやら図星のようだ
君のこと、詳しく知りたいんだ 教えてくれないかな? 真剣な目でマスターが尋ねる
【レーヴァテイン】 ………
普段は誰に対しても 素気の無い態度の彼女だが、
マスターの瞳に何かを感じたのか ぽつぽつと 自分の感情を語り始めた
【レーヴァテイン】 ……仕方ないわね
自分でも不思議に思いながら、 彼女は己の心情を語り出した
【レーヴァテイン】 私には 大きな理想を持った 大切な仲間がいるわ…
【レーヴァテイン】 彼女は私に言ってくれた いつでもあなたを助ける、 だって私たちは…
【レーヴァテイン】 “家族”のようなものでしょ …って
【レーヴァテイン】 それから、 私も彼女を“家族”と 思うようになった
【レーヴァテイン】 でも…
【レーヴァテイン】 その子と違って、 私には新たな世界を創るという 大きな理想は無かった…
【レーヴァテイン】 だって、私は 世界を終わらせる魔剣
【レーヴァテイン】 家族が目指すものと、 相容れない存在 だから
そう呟いて 寂しそうに目を伏せる
【レーヴァテイン】 だけど あの子たちと一緒にいたかった
【レーヴァテイン】 新しい世界を創ることはできなくても あの子たちを…
【レーヴァテイン】 家族を守ることなら 私にもできるんじゃないか そう思ったの
【レーヴァテイン】 なのに 今、私はここにいる
【レーヴァテイン】 やっぱり 世界を終わらせる魔剣は 新しい世界には不要なの
【レーヴァテイン】 きっと 私も選定されたのね
かける言葉が見つからず マスターはただ レーヴァテインの横顔を見つめる
【レーヴァテイン】 ひとりぼっちには慣れてるわ だから もう私に構わないで
最後にふっと笑ったレーヴァテインは もうマスターには見向きもせず、 その場を後にする
数日後――
マスターの隊を大軍が襲った
その圧倒的物量の前に、 大苦戦の姫たち
【レーヴァテイン】 こんな数……
レーヴァテインは、 力強く剣を握る
【レーヴァテイン】 私に掛かれば…… はぁっ…!
だが、今回の敵は 圧倒的物量で、彼女も 本気を出さないと対応できない
【レーヴァテイン】 はぁ…めんどくさいけど やるしかないか はぁぁぁぁぁぁっ!!
レーヴァテインの活躍により みるみる敵の数は減っていく しかし…
【レーヴァテイン】 あぁぁぁぁっ!!
力を制御できなくなり、 暴走を始めるレーヴァテイン
敵だけでなく、味方にまで 危害を及ぼしてしまいそうな その姿は…
まさに魔剣だった
【レーヴァテイン】 うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!
剣先にエネルギーが集中する この剣が振り下ろされたとき 世界は終わる…誰もがそう思った
まさにその時…
レーヴァテイン!!
【レーヴァテイン】 !!
マスターの手が、 剣を持つ彼女の手を 握り締めた
【レーヴァテイン】 わ……私は……
我に返った彼女に向かって、 マスターが叫んだ
大丈夫!僕たちは、君を信じている! その強大すぎる力で、 本当に世界を滅ぼしそうになったら…
僕達みんなが君を止める!! いつでも君を助ける! だって僕たちは…
“家族”だから!! …と
【レーヴァテイン】 !!
【レーヴァテイン】 ……家族
過去、大切な仲間から 掛けられた言葉を思い出す レーヴァテイン
【レーヴァテイン】 なんだか… 少しだけ思い出した気がする……
【レーヴァテイン】 こういうのが… 家族
【レーヴァテイン】 私が…守るべきもの!!
正気を取り戻した彼女は、 力をコントロールし、 見事に敵の大軍を打ち倒すのだった
戦闘後、 マスターのもとへやってくる レーヴァテイン
【レーヴァテイン】 あなたのこと…
【レーヴァテイン】 ずっと不思議な存在だと思ってた
【レーヴァテイン】 でも、少しだけその理由が 分かったような気がする
【レーヴァテイン】 私に向かって叫んでくれた姿は… 何だか本当の家族のような… そんな気がしたの
そう話す彼女に、マスターは答える ともあれ、これからは 共に進もう、と
だが彼女の答えは、 意外な物だった
【レーヴァテイン】 家族のようになれるのは 嬉しいけど…
【レーヴァテイン】 家族だからといって やっていることすべてが 正しいかどうかは分からないわ
どういうこと?と、 マスターが尋ねる
【レーヴァテイン】 あの子たちは、 新しい理想の世界を創るため 人々の選定を行っていた
【レーヴァテイン】 それは… 本当に正しいこと だったのかな…?
マスターは答える 今はまだわからない でも自分で考えることが大切だよ
家族に流されるんじゃなく、 導いていくことも大切
もし僕たちが間違えた道に 進もうとしていた場合は、 今度は君が止めてほしい…と
【レーヴァテイン】 ………
【レーヴァテイン】 わかった
【レーヴァテイン】 導くとか、ほんと めんどくさいけど…
【レーヴァテイン】 家族だもんね
それは、彼女が新たな家族と共に 進むことを決意した瞬間だった
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