Phantom of the Kill

Story scripts of Phantom of the Kill (ファントム オブ キル)

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510383212 アルマス・擬彩 彩果てに散る露花

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5103831.png 【アルマス】 なに? ここ……

姫たちに連れられやってきたのは、 喫茶店だった

5103831.png 【アルマス】 ………

だまって紅茶を口にするアルマス

ケーキも食べようよ! アルマスのお祝いなんだし! と、テンションの高い姫たち

5103831.png 【アルマス】 じゃあ…… チョコレートケーキを

ケーキも運ばれてきて、 姫たちはわいわいとお喋りに 花を咲かせる

5103831.png 【アルマス】 ………

最初は特に会話にも入らず、 淡々と過ごしていた彼女

だが…

5103831.png 【アルマス】 …え?ケーキ…?

5103831.png 【アルマス】 うん、好きだよ

5103831.png 【アルマス】 やっぱり… チョコレートかな

徐々にみんなと打ち解け始める

5103831.png 【アルマス】 ……あ

5103831.png 【アルマス】 おいしい

5103831.png 【アルマス】 ……ふふ

あ、笑うんだ とアルマスを見て言う姫たち

5103831.png 【アルマス】 なによ、それ

他愛もない話で盛り上がる

5103831.png 【アルマス】 チョコを『ちょこ』っと、 ちょうだいって… 絶・おもしろいこと言うんだね

みんなに笑顔がこぼれる

その様子を見ながら 安心するマスター

だが…

5103831.png 【アルマス】 ………

それ以降の、 アルマスの表情が気になる

5103831.png 【アルマス】 ………

どことなく元気が無いようにも 見えるのだ

5103831.png 【アルマス】 …え?マスター…?

マスターはそっと、 彼女を外に誘い出した

5103831.png 【アルマス】 ……どうしたの?

さっきまでは笑顔だったのに… どうしちゃったの? と尋ねるマスター

5103831.png 【アルマス】 …!

5103831.png 【アルマス】 …よく見てるんだね

5103831.png 【アルマス】 いいわ、話してあげる

彼女が、その理由を語り出した

5103831.png 【アルマス】 私は剪定者…

5103831.png 【アルマス】 世界のために 平等に人々を剪定しないと ならないの

5103831.png 【アルマス】 でも、これ以上、馴れ合ったら 私はきっと平等に見れなくなる

5103831.png 【アルマス】 だから、不必要に 仲良くならないようにしないと…

そんなアルマスに対して、 そこまで固く考えなくても いいんじゃないかと言うマスター

5103831.png 【アルマス】 私の正義を否定する気?

いや、そんなつもりじゃ… 慌てて弁解しようとするが、 彼女は背を向けて、行ってしまった

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次の日――

マスターの隊は、 道中で盗賊に襲われる

だが…

5103831.png 【アルマス】 枯れ落ちろ!

難なく盗賊を倒し、 縛り上げるアルマス

そして、次の瞬間―

5103831.png 【アルマス】 世界に不要な魂… 命の芽を摘んであげるわ

殺そうと 剣を振り上げた

何も殺すことはないよ! 慌てて、止めに入るマスター

5103831.png 【アルマス】 生かす理由がないわ

と、マスターを押しのける

剣を向けられ、 家族がいるんだ!と、 命乞いをする盗賊

5103831.png 【アルマス】 だからなに?

剣を振り下ろすアルマス

待て! 盗賊を庇うマスター

そして、アルマスの剣が、 マスターの腕を掠めた

5103831.png 【アルマス】 あっ…

マスターの傷を見て、 目を見開く彼女

5103831.png 【アルマス】 ………

こんな傷、大したことないよ と、マスターは笑ってみせるが…

5103831.png 【アルマス】 ………

剣を収め、彼女は 無言で立ち去っていった

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数日後――

5103831.png 【アルマス】 ………

彼女は一人、 花畑で佇んでいる

5103831.png 【アルマス】 …!

やあ と現れ、隣に座るマスター

5103831.png 【アルマス】 ………

なにしてたの? と尋ねるマスターに、 アルマスはポツリとつぶやく

5103831.png 【アルマス】 この前、マスターを 傷つけたことを思い出してた

5103831.png 【アルマス】 もし、あの時、 マスターを斬ってしまってたら…

5103831.png 【アルマス】 マスターや他のみんなが いなくなったらって思ったら、 絶・気分が悪くなっただろうなって…

5103831.png 【アルマス】 …この感覚って なんだろう?

マスターは微笑みながら返す それは絆なんだと思う…と

5103831.png 【アルマス】 キズナ……

アルマスは思い出す

一緒にケーキを食べた姫たちを… 一緒に笑い合った姫たちを…

5103831.png 【アルマス】 なんか、温かい感じがする

戸惑いの表情を見せる彼女に それは悪いものじゃないと 語りかけるマスター

5103831.png 【アルマス】 ううん きっとこれは私にとって 悪いことなんだと思う

5103831.png 【アルマス】 …だって、この絆のせいで アナタを斬ることができなかった

5103831.png 【アルマス】 本当なら、あのとき アナタごと、あの男を 斬るべきだったのに…

あの男というのは 盗賊のことだろう

5103831.png 【アルマス】 絆が増えていけば、 増えた分だけ 剪定できなくなる

5103831.png 【アルマス】 私の正義が崩れていく…

壊すだけが正義じゃないと思う そんなマスターの言葉を聞き、 不思議そうな表情をするアルマス

マスターはさらに続ける 剪定することが、 世界を救うことになるかもしれない

でも、剪定する以外にも 世界を救う方法が あるかもしれないんじゃないかな?

5103831.png 【アルマス】 …そんなこと、 考えたこともなかった

もしかしたら 見つからないかもしれない

それでも、少しでも可能性があるなら 諦めずに探していきたいんだ

熱く語るマスターを見て、 アルマスの表情が緩む

5103831.png 【アルマス】 …わかった 少しだけ、アナタを信じてみる

5103831.png 【アルマス】 でも、その方法が見つからなかったり 新しい世界に相応しくないと思ったら 剪定する

5103831.png 【アルマス】 それが例え、 アナタや他の姫たちだったとしても

マスターは表情を引き締めて 大きく頷く

5103831.png 【アルマス】 ただ今だけは、 マスターと繋がっていたい

5103831.png 【アルマス】 絶・そう思うわ

…と、 マスターの肩に寄り掛かる

触れ合った場所から、 強い繋がりと、 温もりを感じるアルマスだった

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