510481212 忍野 忍 たまやー
【忍】 どうした? お前様
【阿良々木】 いや……えっと 一つ試したいことができた
僕が手を伸ばした先にあったのは、 花火セットだった
【忍】 そんなものを打ち上げて どうするのじゃ?
【忍】 まあ、日本の夏の終わりを 飾るには、いい趣向かもしれぬが――
【阿良々木】 いや、そりゃお前とふたりきりで 花火を楽しむってのも、 すげー乙じゃああるんだけれどな
【阿良々木】 一見滅びたと思える この世界ではあるが、 ひょっとしたら誰か、
【阿良々木】 万一だけれど、 生き残ってる奴が いるかもしれないだろう?
【阿良々木】 何て言うか……、夜になれば 現れる大量のゾンビに怯えて、 隠れ住んでいる奴が
【忍】 ふむ……
【阿良々木】 せめて、少しでも遠くまで、 花火の光が届くように、
【阿良々木】 曇りの日を待ってから 花火を打ち上げようと 僕らは決めた
光輪は見事に花開いた
【阿良々木】 たまやー
【忍】 かぎやー
【阿良々木】 ――さて、これでしばらく、 夜になるまで待ってみるか
【忍】 うむ
【阿良々木】 まあ、あくまでも 変な期待はしないようには しておこう
【阿良々木】 本当に万が一、 誰かが難を逃れて 生きて潜んでいたところで、
【阿良々木】 こんな花火に釣られて 出てきてくれるとも 思えないしな
【阿良々木】 人類が吸血鬼の手で 滅ぼされてしまったんだ、 罠かと思うのが普通だろう
【阿良々木】 それに――
【忍】 こら
足を踏まれた ぐりぐりと
忍に
【阿良々木】 ぐああああああああああああっ!
【忍】 そんな大声で悲鳴をあげるほど 痛いわけがなかろう……
【忍】 過度の期待を持つのはよくないが、 かといって過度に悲観的に なっては、何もできまい
【忍】 無駄だ無駄だと思いながら 待ち続けるくらいじゃったら、
【忍】 おびき寄せられて のこのこ出てきた 生き残りの人間と、
【忍】 上手にコミュニケーションを 取る方法でも考えておけ 相手は女子中学生とは限らんぞ
【阿良々木】 そうだな
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