510491212 ラキナ オーダースレイヤー
ラキナが入隊してから 幾度かの任務を終えたある日のこと
マスターはラキナに 隊にはもう慣れた? と質問する
【ラキナ】 そうだなぁ
【ラキナ】 キル姫の子達はみんないい子だし みんなとっても個性的で 話を聞いてるのもすごく楽しいよ
【ラキナ】 でも…隊全体のことだと ひとつ心配なことがあるかなぁ …なんて
ラキナの心配事 そう聞いて焦るマスター
僕でなんとか なることならいいんだけど とマスター
【ラキナ】 というより、マスターにしか なんとかできないかも…
なに?教えて! とマスター
【ラキナ】 それは… あなたのことなの、マスター
自身に焦点を当てられ 驚くマスター
【ラキナ】 あ、急にこんなこと言って 驚かせちゃったよね
マスターは気持ちを落ち着けて 何が問題なのかな、とラキナに訊ねる
【ラキナ】 問題…問題? そうかも?
【ラキナ】 わたしとしてはマスターのことも 守りたいなって思うんだけど…
【ラキナ】 それは隊にいるから ということだけじゃなくて わたし自身の思いとして
遠慮するような話し方のラキナ マスターは大丈夫だから言ってみて と促す
【ラキナ】 うん、あまりこういうこと言うの 慣れてないから上手く伝えられなくて
【ラキナ】 でも、大事なことだから言うね
【ラキナ】 マスターは とっても危うい人だと思うの
【ラキナ】 あ、マスターが変な人とか そういうことじゃないんだけど…
【ラキナ】 もうちょっと自分のことを 大切にしてほしいかな なんて思ったりして
その後もぽつぽつと ラキナが話したマスターへの心配
要約すると、自己犠牲をいとわない その献身的過ぎる姿勢は危険だ そうラキナは言いたいようだ
【ラキナ】 わたしも…ね その気持ちはわかるの
【ラキナ】 でも、マスターは 自分が戦える訳じゃないから それがすごく心配なの
【ラキナ】 キル姫のみんなはマスターが 一緒だと共鳴で力を増幅できる そのことはわかってるんだけど…
【ラキナ】 それでも、マスターが身を挺して みんなを守ろうとするのとか わかっていても危ないって思う
ラキナの心配は真っ当だ
でも… とマスターが言おうとすると ラキナは優しく微笑む
【ラキナ】 うん、わかってる
【ラキナ】 だから、 困ったことがあったら わたしに言ってほしいな
ラキナはいつも通り あたたかな笑顔を見せている
だが、その奥には 強い思いが秘められている そう感じるマスター
ラキナはマスターに 「危険なことはするな」 そう伝えようとしている
それはたしかに心配と そして優しさに満ちたものだったが マスターには耳が痛いものだった
ラキナからの指摘を受けた その数日後の任務中
マスターはまさに 危機的状況に立っていた
【ラキナ】 困ってる人を助けるために すぐ動いちゃう気持ちはわかるけど 後先は考えないと…ね?
任務とは別で 異族に襲われている人達と遭遇し 救助に入ったのがほんの少し前
異族の一部はキル姫達が抑え マスターが助けた人達の介助
そこまではよかったのだが 潜んでいた異族がマスターと その人達に襲い掛かってきたのだ
マスターは思わず身を挺して その人達をかばおうとして… ラキナに助けられた
【ラキナ】 ひとりで動かずに わたしに声をかけてくれたら こんなことにはならないんだよ?
マスターの行動は褒めつつ けれど、諫めるように言うラキナ
【異族】 グギャアアアア!
【ラキナ】 話はあと、だね
【ラキナ】 誰かのために動けるそのまっすぐさ わたしは、本当はそれを責められない
【ラキナ】 太陽みたいにまぶしい …そのまっすぐさを責めたくない
【ラキナ】 でも、マスターは… 守られる存在だと、思う
【ラキナ】 なのに… どうして怯むことなく 脅威に立ち向かうことができるの…
戦いの最中にありながら 思考が巡ってしまうラキナ
その思考が 思わず漏れてしまった
【ラキナ】 あっ
マスターにも その声は届いていた
だからマスターは答える 怖いけど、それでも体が動いたからと
動いちゃった、かもしれない わからない、けれどそれが自分に できることだったから、とマスター
【ラキナ】 動いちゃったから、なんて… そんなの答えじゃないよ
マスターは続ける 自分にはみんながいるから ラキナもいてくれるから
【ラキナ】 ああ、そっか…ふふっ
【ラキナ】 わたしも…なんだね そっか… わたしも仲間なんだね
【ラキナ】 もう、こんなときだけ ちゃんと頼ってくれるんだから …しょうがないなぁ
【ラキナ】 けど…ふふっ、そうだよね ひとりじゃないって強いんだ
【ラキナ】 相手を守りたい気持ちと 相手を信頼する気持ち… これが仲間ってことなんだね
マスターの信頼を受け取り ラキナは新たな力を発現させる
【ラキナ】 今のわたしは あなたの力、だから――
【ラキナ】 『オーダースレイヤー』!
ラキナが異族を倒し 助けた人達は無事帰路についた
【ラキナ】 マスター、お疲れ様 今回もすごく頑張ったね
【ラキナ】 でも、何度でも言うけど 危ないことはしないでほしいな
う、ごめんなさい とすぐさま謝るマスター
【ラキナ】 そう言っても 次にまた同じ状況なら マスターはきっと同じように動く
言葉に詰まるマスター
【ラキナ】 けど…わたしがすべて守る
【ラキナ】 わたしは最初からずっと ここに来た意味を考えてた
【ラキナ】 マスター、それに隊のみんなを 守ることがわたしの運命なんだと思う
【ラキナ】 だから、マスターは はじめからちゃんとわたしのことを 頼ってほしいな
ラキナは運命と言うが どうしてそこまで言ってくれるのか とマスターは問う
【ラキナ】 うーん… ふふっ、これでも騎士団長だから …なんてね
ラキナはそう言うと また微笑むのだった
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