520021212 ダフネ 固い意志
落ち込むダフネの気分転換になればと マスターは散歩に誘ったのだが…
彼女は護衛を頼まれたと思い、 周囲を警戒しながら 厳しい表情で歩いている
マスターが、おいしそうなお菓子や 綺麗な花を一緒に見ようと誘っても…
【ダフネ】 私は任務中ですので
と、断られてしまう そして、その表情は あいかわらず曇ったままだった
歩き回って少し疲れたマスターは、 人気のない町外れで休むことにした
【ダフネ】 …………
マスターは、暗い顔をしたダフネに なにか悩んでるって顔だね と、話しかける
【ダフネ】 そ、そうですか? 普段から、こういう顔ですが…
自分が負傷したことだったりする? と、マスターが 彼女の悩みを言い当てると…
【ダフネ】 えっ!? どうして、それを?
と、大きな声を出して驚く いつもの彼女との落差に、マスターは 思わずクスッと笑ってしまう
【ダフネ】 あ…その、申し訳ありません 嘘をつくつもりでは なかったんですが…
【ダフネ】 私の個人的な悩みですので、 貴方にお話することではないかと… そう判断したのです
あれは、ダフネのせいじゃない 君が責任を感じることはないんだよ と、マスターは優しく諭す
【ダフネ】 いえ、私の力不足です 仲間を守ること… それが、私の責務なのですから
そんなに気負いすぎなくてもいいのに と、マスターがなだめても、 ダフネは思いつめた表情で話を続ける
【ダフネ】 私は、盾を託された者として 強くあらねばなりません… それが騎士としてあるべき姿なのです
【ダフネ】 さらに精進を重ね、 すべてを守れるようにならなくては…
辛そうな表情でそう語る彼女に、 それが本当にダフネの望みなの? と、マスターは問いかける
【ダフネ】 私の…望み…? それは…
なぜそんなに自分を追い詰めるのか、 よかったら聞かせてもらえないかな と、マスターはダフネを見る
マスターの言葉を受けて、 ダフネは静かに語り始める
【ダフネ】 …私は、誰かに期待されるような 立派な人間ではないのです
【ダフネ】 盾の乙女として、 白銀の盾を託されたことは… とても誇らしいことだと思います
【ダフネ】 …ですが、なぜ私なのでしょうか? もっとふさわしい人物がいるのでは ないかと、不安になってしまうんです
【ダフネ】 私は…こんな風に悩んでばかりだし、 盾も満足に使いこなせないし、 仲間を守ることもできない…
【ダフネ】 鍛錬をしても、戦いを重ねても、 迷いや悩みは増えるばかりで、 自信なんて持てません
【ダフネ】 私は、弱い人間なんです… ご期待に沿えず、申し訳ありません…
ダフネは、そう言って視線を落とす マスターに失望されたのだと思うと、 その顔を見ることはできなかった
彼女の話を聞いたマスターは、 本音を話してくれてありがとう と、感謝の気持ちを伝える
【ダフネ】 え…
それと、やっぱりダフネは偉いと思う と、マスターは彼女を褒める ダフネはその言葉に驚き、顔をあげた
【ダフネ】 どうして…? 失望したんじゃ…ないですか?
悩むのも悪いことばかりじゃないよ ダフネは悩んだから訓練を重ねて、 立派な騎士になったんだし、とマスター
【ダフネ】 ですが…
ダフネを見ていると、悩んだ分だけ 大きく成長するんだなって思う だから、悩んだっていいんだよ
だけど、それでも自信が持てなくて、 1人で悩みを抱えきれなくなったら、 その時はまた話を聞かせて欲しい
君が辛いと、それを見てる自分も辛い どうせ2人とも辛いんだったら、 一緒に悩んじゃえばいい、とマスター
【ダフネ】 …………
無言でマスターを見るダフネに、 …ダメかな? と、マスターは聞いてみた
【ダフネ】 いえ、そんなことは…
【ダフネ】 …ふふふっ
【ダフネ】 悩むのも悪くない… そんな風に考えたことは ありませんでした
【ダフネ】 それに、一緒に悩もうだなんて… 初めての申し出で、 頭の中が混乱しています…
そんなに難しく考えないで、 ただ気軽に頼ってほしいってこと と、マスターは笑う
【ダフネ】 はい… 少し、気持ちが軽くなった気がします
微笑むダフネを見て、 マスターも安心して微笑む
【ダフネ】 あの… ありが…
【異族】 ギャギャギャギャッ!
ダフネが感謝の言葉を伝えようとした その時、2人の前に異族が現れた
【ダフネ】 貴方は私の後ろに! 私が守ります!
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