520072212 キズナアイ 動画の邪魔はさせない!
【キズナアイ】 いっちに、さん、しっ! にーに、さん、しっ!
アイの宣言通り、 特訓は開始された
【キズナアイ】 い…ち、に…さんっ、し ごーぉおおおおお!
ストレッチに始まり、 腕立て伏せや腹筋などと言った トレーニングをしているようだ
【キズナアイ】 マスターくん! この世界ってタイヤないのタイヤ!
【キズナアイ】 特訓といえばタイヤをロープで 腰に括りつけて走るのが定番って なんか漫画とかで読んだからっ
要は重い物を引きずりながら 走るのが特訓だということらしい
それを聞いたキル姫達が 腰を痛めちゃうよ?と心配する
【キズナアイ】 ぐぬぬ… 痛めたりとかは縁のないAIだけど コンプラ的にアウト…?
【キズナアイ】 なら私はどうしたら~!
キル姫達は「代わりに…」と アイに提案を申し出る
【キズナアイ】 えっ、一緒に走り込み… 特訓してくれるの?
アイの頑張る姿を見て 感銘を受けたキル姫達は自分達も 一緒にやりたいと言い出したのだ
【キズナアイ】 ありがと~! うぅ、ひとりじゃないって心強い…
かくして隊の中で アイと一緒に特訓するということが 大流行するのだった
【キズナアイ】 あはは、うふふ
アイとキル姫達は今日も楽しく みんなで特訓に励んでいた
【キズナアイ】 そうだ、誰があの丘に 一番早くつけるか競争しよ~
【キズナアイ】 よーいどーん!
アイの合図で 駆けていく一同の姿をマスターは 微笑ましく見送った
【キズナアイ】 でしょー! それでね…
マスターが遅れて丘に辿り着くと、 敷物を広げてわいわい楽しい時間を 過ごしているようだった
【キズナアイ】 あーマスターくんおっそいよー
楽しそうな雰囲気に マスターは「特訓も順調だね」と にこやかに告げる
すると…
【キズナアイ】 あっ…
【キズナアイ】 ちっがーーーう!
【キズナアイ】 全然違うよ! こんなの特訓じゃないって!
【キズナアイ】 走りはしたけど リラックスしちゃっているし!
【キズナアイ】 汗と涙の特訓は キツくて辛くて 大変で辛くてキツくて…
【キズナアイ】 そういう感じのやつだよー! 今のこれはピクニックってやつ!
ツッコミを入れるアイに マスターは違うとは思わないけどな と首をかしげる
【キズナアイ】 えー…だってめっちゃ楽しいし 疲れも感じてないし…AIだから 疲れとかないんですけどね!?
それでもマスターは これでも特訓になっているよ と言い、大丈夫だと笑う
【キズナアイ】 本当かなぁ…
そんな話をしていると 周囲を見ていたキル姫が 敵の存在を察知する
【キズナアイ】 はっ、そうだった! 一応特訓だからちょっと危ない ところをコースにしてるんだった…
【キズナアイ】 よしっ 気合い入れ直して戦闘だね!
アイをはじめ、キル姫達は 一斉に戦闘態勢に入る
【キズナアイ】 いくよーっ!
【キズナアイ】 次っ! 決めちゃうよ!
アイの掛け声に合わせ動くキル姫達
【キズナアイ】 ナイスー! 今のすっごくいい感じだったよね!
連携が上手くいっているようで キル姫達やアイ本人も以前と 見違えるほどよく動けている
【キズナアイ】 最後、いくよ!
【キズナアイ】 ふぅ…これでおしまいみたいだね
それじゃあ帰ろうか、とマスター
【キズナアイ】 うん…そうだね、マスターくん
【キズナアイ】 …………
いつも賑やかなアイが 戦闘の後からずっと黙っていたので 気になったマスターは声をかける
【キズナアイ】 あ、マスターくん… えっと、何かあったとかじゃなくて ちょっと、うーん?
【キズナアイ】 話、聞いてもらってもいい?
【キズナアイ】 ごめんね、みんなの前で言うと 嫌なことかなって思って…
アイがそう言う話って… と身構えるマスター
【キズナアイ】 あ、違うの、 悪いことではないと思うんだけど…
【キズナアイ】 さっきの戦闘が上手くいったの 理由が全っ然わかんなくて!
【キズナアイ】 キル姫のみんなに 気を使ってもらったからかなーって…
【キズナアイ】 だから、そんな風に言うと 嫌な気持ちになっちゃうかなって
アイの話を聞いたマスターは つい笑みをこぼしてしまう
【キズナアイ】 ええっ! 笑うのってひどくなーい!?
ごめんごめん とマスター
【キズナアイ】 ちょっとぉ 説明してもらえますかー
頬を膨らませて怒るアイに マスターは謝りつつ説明する
【キズナアイ】 え…特訓はちゃんと特訓になってた?
そう、楽しいだけじゃなくて 特訓としてキル姫達と過ごしたこと それは無駄じゃなかったとマスター
【キズナアイ】 楽しいを抜きにしても お菓子食べてお茶してただけのような
お茶の最中にキル姫達とお喋りして お互いを知ることで連携が上手く いくようになったのでは、とマスター
【キズナアイ】 そう…なのかなぁ? ピンと来てないんですけど
何よりもアイのミスをなくしたくて 特訓してまで頑張ろうという思いが 成長に大事な要素だ、とマスター
【キズナアイ】 思いが…成長の要素?
厳しい特訓をしても、気持ちが 入ってないと身に付かないからね、 とマスター
それに気持ちが無かったらキル姫達 みんなが一緒に特訓することも なかったと思うし、と続けるマスター
【キズナアイ】 気持ちが…成長に
心って、意外と見えるものだから とマスターはアイの頑張りを褒める
【キズナアイ】 自分の思いが形に…成長に 繋がったよって言われるの、 なんだか照れ臭いけどうれしいなぁ
【キズナアイ】 その気持ち、忘れないようにしないと
アイが手を当てた胸の奥に 新たな力が宿る、その名も―― 『動画の邪魔はさせない!』
【キズナアイ】 気付けなかったら 空回りしてるだけだったかも…
【キズナアイ】 だから、ずっと見守って そうやってアドバイスをくれる マスターくんの存在も大事だよ!
【キズナアイ】 そんなマスターくんや 一緒に頑張ってくれた みんなの為にも!
【キズナアイ】 私、もっと頑張るからね!
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