530341212 グランテピエ・獣刻・バハムート 破滅を覆す未来への一閃
ある日の戦闘――
【グランテピエ】 さあ、行こう! 歪な世界に、 救済をもたらすために、ね!
姫達を率いて戦うグランテピエ
彼女の活躍により、 今日も隊は勝利を上げた
やったーーーっ! と、大喜びの姫達
また君に助けられちゃったな マスターもグランテピエに称賛を送る
【グランテピエ】 ふふ、言ったでしょ? お姉さんに任せておいて、って
笑顔で応える彼女だった
そして、少しの時間経過――
マスターの元に、 意外な客がやってきた
【ムー】 よぉ、マスター ちょっといいか?
それは グランテピエのオートアバター、 ムーだ
どうしたの?と 尋ねるマスターを、 ある場所に連れて行くムー
【ムー】 あれを見てくれ
【グランテピエ】 ………
そこには、 一人で佇むグランテピエがいた
【グランテピエ】 ………つっ!
驚くマスター
【ムー】 わかったか?
【ムー】 グラは戦闘で受けた傷を 誰にも気づかれないよう、 いつも自分で治してるんだ
その姿を見て、 マスターはようやく気が付く
その強さや優しさ、 絶大なる信頼感から 見落としていたが、
彼女はいつも姫達を守り、 自己犠牲的な戦い方をしていた
【ムー】 そう、グラは誰にも頼らず、 ずっと一人で頑張っているんだ
【ムー】 でも、そんな様子は おくびにも出さない そういう奴なんだ、グラは
【ムー】 それだけ、あんたに伝えときたくてな
【グランテピエ】 痛っ……… 次はもっと気をつけなきゃ……
一人で傷を治す彼女を見て、 マスターはある決意を固めるのだった
数日後――
戦闘に出るマスターの隊
【グランテピエ】 さあ、行こう!
グランテピエは、 いつものように戦おうとする
だが……
【グランテピエ】 ………?
いつもとは、 なにか勝手が違うことを 察する彼女
【グランテピエ】 みんな、どうして……?
【グランテピエ】 どうして今日は…… 私の言うことを 聞いてくれないの…?
【グランテピエ】 それにマスターも……
【グランテピエ】 いつもと違って…… 私を放置している気が……
隊は勝利したが、 彼女は少し悲しい気持ちに なるのだった
その後――
草原で一人佇む彼女
【グランテピエ】 ……つっ
今日もみんなに隠れて、 傷の治療中だ
【ムー】 いつもに比べて、 傷が少ないんじゃないか?
【グランテピエ】 うん、そうなんだけど…
【ムー】 なんだ? 浮かない顔だな
【グランテピエ】 ………
【グランテピエ】 それは…… みんなが私を戦闘から 遠ざけたから
【グランテピエ】 もう私を…… 頼ってくれないのかな…
寂しげな目を見せる彼女
――と、そこに、
【グランテピエ】 マ、マスター!
いきなり現れたマスターに驚き、 サッと傷を隠す彼女
取り繕うように、彼女はまくしたてる
【グランテピエ】 さ、さっきの戦い…驚いたよ! みんなにビシバシ的確な指示を出して
【グランテピエ】 ほんと、すごくなったね、 たくましくなったね お姉さん、感激しちゃったなっ♪
褒めてくれた彼女に、 マスターは答える どうして、いつも弟扱いするんだよ?
【グランテピエ】 ……え? 嫌……だった?
どうして、みんなを妹扱いするんだ? ……腹が立つ、と
【グランテピエ】 そ、それは……
【グランテピエ】 そっか…… やっぱり私…… 嫌われちゃったんだ…
【グランテピエ】 …ごめんね、マスター 気を悪くさせちゃって…
落ち込む彼女 しかし、マスターはこう続ける
本当に腹が立つ… いつの間にか、君に頼り切っていた 自分達に、と
【グランテピエ】 ……!
マスターは彼女に懇願する これからは、もっと頼って欲しい
【グランテピエ】 ………
そして、宣言する 頼りない弟だけど、 今度は僕が君を助けていく
【グランテピエ】 ………あ
そして、彼女の怪我に 包帯を巻いてあげるマスター
【グランテピエ】 ………
【グランテピエ】 う…うぅ……
思わず涙が溢れてくる彼女
【グランテピエ】 嬉しいよ
【グランテピエ】 そんな風に言ってくれるなんて…
【グランテピエ】 大切な妹を守れる存在になりたい… 絶対にそうならなきゃいけないと 思ってた…
【グランテピエ】 だから… ちょっと気を張り過ぎてたのかな
【グランテピエ】 誰にも弱いところなんて、 見せちゃいけないと思ってた
【グランテピエ】 だって私は… お姉ちゃんだから
【グランテピエ】 でも、本当は……
【グランテピエ】 頼れる人が…… ううん、弱音を聞いてくれる 人が欲しかった
そう言って、マスターを見つめる彼女
【グランテピエ】 これからは… 少しだけ頼ろうと思ったよ
【グランテピエ】 だって、私には… こんなにも頼もしくなった、 素晴らしい弟がいるんだから
【グランテピエ】 …ううん、違う 素晴らしい仲間、だね
目に涙を湛えながらも、 微笑む彼女
その心の変化が、 新たな力を授けるのだった
包帯を巻き終えたマスターは、 涙ぐんでいる彼女の頭を そっと撫でてあげる
【グランテピエ】 ……ふふ
【グランテピエ】 君は優しいね うん…本当に優しすぎるよ
涙を拭いながら、彼女は呟く
【グランテピエ】 あ~あ…こんな弱い姿、 誰にも見せたくなかったのに
【グランテピエ】 このことは、二人だけの 秘密だから、ね? 絶対のぜーったい、だぞ?
少し困ったような表情で微笑む グランテピエ
そんな彼女と 微笑み合うマスターだった
【ムー】 やれやれ、手のかかる二人だぜ
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