540221211 イチイバル・神令・オーディン 天才だからね
マスターの隊に、 また新たな姫が入隊してきた
【イチイバル】 イチイバル・神令(コマンド)・ オーディンだよ
【イチイバル】 ボクのことは、そうだなぁ…
【イチイバル】 天才美少女戦姫、 イチイバルさんと呼んでくれて 構わないよ?ドヤッ
そんな調子のいい セリフを言ってのけるが、 感情の起伏が少なく、
なにを考えているのか、 いまいちよく分からない 不思議少女だ
【イチイバル】 これから戦闘? OK
マスターの号令に従い、 戦場に出て行く彼女
【イチイバル】 それじゃあ、何をして遊ぼうか 子犬さんたち
――と、 ものの数秒で敵を殲滅してしまった
【イチイバル】 ボクが本気を出したら こんなものだよ ドヤッ
そんな彼女の活躍のおかげで、 マスターの隊は見事勝利を収めた
また、それは戦闘に限らず 日常でも、
【イチイバル】 つまり、こういうことさ 原因さえわかれば、 対処の方法はいくらでもあるよ
【イチイバル】 えっへん、イチイバルさんは 何でも知っているからね 不可能なことなんて存在しないよ
天才的なセンスを持つイチイバルを 羨望の眼差しで慕う姫たち
【イチイバル】 フフフ、みんな仲良くしよう、 キラン
そうは言うものの、 彼女は広く浅く 付き合っている感じで、
心の奥ではなにを考えているか 掴みづらい雰囲気の少女だった
そんなある日、 彼女は隊のみんなに向って、 こんな言葉を口にした
【イチイバル】 ボクはオーディンの能力で、 未来を見る力を持ってるんだ
【イチイバル】 だからキミたちの運勢も ボクが見てあげるよ
ふと、そんなことを 言い出すイチイバル
え~、ほんとに!?見て、見て! と、占い好きの姫たちは大盛り上がり
【イチイバル】 ふむふむ… キミは努力家だから、 数日中に願いが叶うよ
【イチイバル】 ふむふむ…今日のキミは冴えてるね リーダーシップを取ると、 ラッキーなことがあるよ
驚くことに、 彼女の占いは本当によく当たった
隊の姫たちは喜び、 夢中になって占ってもらう
少し変わった子だけど、 みんなと仲良くしてくれるならいいか
…と、マスターも その様子を微笑ましく見守っていた
【イチイバル】 ………
そんな、ある日――
【イチイバル】 お兄さん
【イチイバル】 退屈凌ぎに キミの未来を占ってあげる
本当に当たるのかな? そう思いながら、見てもらうマスター
【イチイバル】 ほあああっ、見えるー 見えるぞー、 真っ暗な未来がぁ~~
そっか… 真っ暗かぁ…それは残念 呟くように言うマスター
【イチイバル】 あれ? 反応薄いね つまらないなぁ
そして、その後 彼女はしれっと言い放つ
【イチイバル】 …まあ、真っ暗っていうのは 嘘なんだけど
じゃあ、これまで 姫たちにしてた占いは? あれも嘘?…と、尋ねるマスター
【イチイバル】 あれは占いっていうか、 予想・予測だよ
【イチイバル】 本物の予知能力を使ったんじゃなくて その子の性格や 日頃の行動から予想して、
【イチイバル】 起こりそうな出来事を 言ってただけ
【イチイバル】 すごいでしょ ドヤッ
なるほど…よく当たってたのは彼女の 天才的な観察力と思考力の成せる業 だったのか…と感心するマスター
【イチイバル】 さっき見たキミの運勢は、 完全に嘘っぱちだから、 気にしないで
単純に僕をからかったのか と、苦笑いのマスター
【イチイバル】 だって予知とかしても 面白くないからねぇ テヘッ
と、無表情に言う彼女に マスターが賛同する
確かに予知とか、 未来が見えるのはつまらないね と
【イチイバル】 …なんで、そう思うの?
だって未来なんて、そもそも 思い通りに行かないものだし、 だからこそ面白いからね…とマスター
【イチイバル】 ………
その言葉になにを思ったのか、 じっとマスターを見つめている イチイバル
ど、どうしたの……? と不安げに尋ねるマスター
【イチイバル】 フフフ、別に…… あと、さっきの言葉は撤回するよ やっぱりお兄さん、面白いね
これまでは、あまり人に 執着を示さなかった彼女
だがその日以来、 なぜかマスターを 試すような言動が増えた
【イチイバル】 見えるー 見えるぞー、 真っ暗な未来がぁ~~
【イチイバル】 フフ、今度は本当かな? それともまた嘘かな?
マスターをからかってみたり、
【イチイバル】 それくらい ボクがいなくても大丈夫でしょ? キラン
戦闘において、 わざと手を貸さず 様子を見ていたり…
【イチイバル】 ………
なにを考えているか 分からない無表情で、 常にマスターを観察している
なんでボクに ピッタリついてくるの…? というマスターの問いに、
【イチイバル】 だって…
【イチイバル】 興味深い観察対象には、 しっかりマーキングして おかないとねぇ…
【イチイバル】 なーんちゃって テヘッ
狂気が見え隠れする表情で、 嬉しそうに笑う彼女
【イチイバル】 フフフッ
なぜか分からないが、 変な子に気に入られてしまった… と、マスターは困惑するのだった
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